新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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エボラ隔離施設の襲撃に世界が震撼するもうひとつのワケ(リベリア)

2014-08-18 09:05:28 | エボラ出血熱・EVD・エボラ・エボラウイルス感染症

昨日紹介した、リベリアでエボラ感染者隔離施設が襲撃された件は、本日の日本語報道にも載ってきております。

この件に世界が震撼する理由のひとつは、

  • 感染者がエスケープした⇒所在不明のなかで歩き回り、感染拡大する

ということですが、もうひとつあります。

  • 襲撃が略奪に発展してしまい、感染者の所有物、明らかに血液が付着したものを含めて持ち出されてしまう

ということもあります。略奪ですから、当然、どこの誰が強奪してその物品がどこにあるのか(現地の警察捜査力では)迷宮入りになります。結果、

  • 血液の染みた医療機器やマットレスやシーツを略奪し、略奪した”戦果物”が家々にゆきわたっている。Westpointの街中が感染してしまうのではと恐れている・・・ということになっています。
    West Point residents went on a "looting spree," stealing items from the clinic that were likely infected, said a senior police official, who spoke on condition of anonymity because he was not authorized to brief the press. The residents took medical equipment and mattresses and sheets that had bloodstains, he said."All between the houses you could see people fleeing with items looted from the patients," the official said, adding that he now feared "the whole of West Point will be infected."

先進国なら医療廃棄物として厳重に管理され、かなりの途上国においても少なくともゴミ置き場に行くであろうものが、一般家庭において日常の用に供されてしまうという状況です。その背景には、デモや騒乱が容易に”略奪”に発展してしまう条件があります。

管理人はパリ在勤中に、ザイール⇒コンゴ民主共和国へと国名が変遷した国に定期巡回しておりました。クーデターで国名が変わる前後にわたって関与していたわけですが、その騒乱時の様子を現地の方からお聞きした内容は壮絶でした。政治運動は容易に略奪に変わってしまい、「トイレの便器を盗み出して嬉しそうに頭にのせて運搬していた」目撃談に、略奪の徹底ぶりを垣間見ました。いままでエボラ感染者が横たわっていたシーツやマットレスとて、無事でないのは容易に想像できるところです。

ソースはUSA today
http://www.usatoday.com/story/news/world/2014/08/17/west-africa-liberia-ebola/14195347/

Ebola fears heightened in Liberia as clinic looted

Johnathan Paye-Layleh, Associated Press 1:14 p.m. EDT August 17, 2014

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