夕日の向こうに・・・8

　それは4年生の終わりから学校中ではやっていた遊びだった。

　冬休みが終わって3学期の始業式、校長先生がお話をしている最中、中年の男の人がつかつかと体育館に入ってきたかと思うと、みんながあっけにとられている中、そのまま司会の先生のマイクをうばって演説しはじめたのだ。

「皆さん、聞いてください。私たちは今、世界中からいわれのない攻撃にさらされています。この学校にも工作員が何人も入りこんでいます。だから私たちは‥‥」

　あわてて先生方が止めに入っても、男の人はなかなかつかまらない。タナベ先生が何とかうでを抑えたが、

「さわるな！　けがらわしい」

　と大声で一喝され、びっくりして手をはなしてしまった。みんなの目の前でしばらくおにごっこが続いて、ようやく男の人は4人の先生にかかえられて出ていった。

（夕日の向こうに…9）に続く…