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マルキシズムが個人の自由、言論の自由を阻害する以上、自由主義の立場からは決して受け入れられなかったのだ。

2019年01月16日 21時51分34秒 | 日記

以下は環球時報に反論すると題して今日、産経新聞の湯浅博の連載コラム「世界読解」に掲載された論文である。

湯浅博もまた、今の世界で活躍する本当のジャーナリストである。

朝日新聞や中国、朝鮮半島などに操縦されている、これ以上ないほどに最低な人間達…記者と称して日本外国特派員記者クラブにいる連中の対極にいる本物の記者である。

よほど「全体主義」というフレーズが気に障ったのかもしれない。 中国共産党の機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)が、筆者が書いた『全体主義と闘った男 河合栄治郎』(産経新聞出版)に「右翼の本だ」とかみついた。

共産党が気に入らない批判者を右翼と決めつけるのはいつものことで、それが「全体主義の批判者」という意味ならば、その通りである。  安倍晋三首相が年末年始の休暇を読書などをして過ごすとしてフェイスブックに投稿した写真の3冊の1つに拙書が入っていた。

テーブルの上には、作家の百田尚樹氏の『日本国紀』、垣根涼介氏の 『信長の原理』、そして『全体主義と闘った男』が並んでいた。 

環球時報はこのうちの百田氏と筆者の本をやり玉に挙げた。

拙書については「自由主義を信奉した経済学者の物語を通じて、日本の左翼集団を批判する内容」であると紹介する。

そして、「著者は右翼メディアのベテラン記者」とくるから、批判の狙いは筆者の日頃の論調にあるのかもしれない。

人は理路より字句に怒るが、プロパガンダ重視の共産党はもっと怒る。 

ただ、環球時報は『全体主義と闘った男』を、勝手に「左翼集団を批判する内容」とそらしていたが、ここでは河合の人間像を概説するだけで、なぜ同紙が筆者を目の敵にするのかが分かるのではないか。 河合は戰前期の時代状況の中で、その生涯を「自由の気概」をもって生きた唯一の知識人であった。

昭和初期に、左の全体主義であるマルキシズムが論壇を席巻するとその危険性を追及し、たとえ左派から「御用学者」と罵倒されても決してひるまない。

マルキシズムが個人の自由、言論の自由を阻害する以上、自由主義の立場からは決して受け入れられなかったのだ。 

やがて、右の全体主義であるファシズムが台頭すると、身の危険を覚悟で専断的な軍部に抵抗した。

陸軍青年将校によるクーデター「二・二六事件」が発生したとき、マルクス主義者もメディアも沈黙する中で、河合は「帝国大学新聞」で一人、これを痛烈に批判した。 

まもなく、河合の『ファツシズム批判』など4著書が発禁処分にされ、東京帝大からも追われた。

危険思想家として有罪判決を受けると病魔に襲われ、終戦を前に死去する。

その「独立不羈の精神」は、戦後世界を形成してきた民主主義、法の支配などの自由の擁護につながるから、現在の国際秩序に挑戦する中国の習近平政権にとって、安倍首相にはどうしても読んでほしくない一冊なのだろう。 

習近平国家主席ご自身が、昨年12月中旬の改革開放40周年記念式典で、「マルクス主義の指導的地位を堅持」すると高らかにうたっている。

中国の特色ある社会主義の道を歩むことを求めていると繰り返すことからも、拙書を蛇蝎のごとく嫌う理由がそこにある。 

環球時報はさらに、筆者が本欄を通じて「何度も、日米が連携して中国に対抗するよう求めている」と指摘し、「中国脅威論を宣揚する著書もあり、中国を覇権国家だと騒ぎ立てている」と激しく非難した。 記事には、筆者の最新著『中国が支配する世界-パクス・シニカヘの未来年表』(飛鳥新社)の写真が掲載されていた。

この本には、中国がいずれ国内総生産(GDP)で米国を抜き、軍事力が米国をしのぐことになるとのさまざまな予測と根拠を書いている。 

その上で、ソ連崩壊を例に、全体主義を待ち受けるのは栄光か奈落かを問いかけ、衰亡のタネは繁栄の中に濳んでいるとして、その要件をあげた。

日米豪印とアジアの民主国家が、全体主義国家の野望にどう対処すべきかも提起しているから、これこそ「頑迷な右翼分子」のレッテルにふさわしいとの判断なのだろう。

著者として欣快にたえない。    

(東京特派員)

*私も同感である…快笑。


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