文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

どうでもいいことを大問題にして、どうでもよくない大変な国際情勢への対処と国内の百年の計がなし崩しに遅れてゆく。

2018年05月18日 17時49分28秒 | 日記

以下は前章の続きである。

どうでもいいことを大問題 

…さてある日、首相官邸に愛媛県、今治市、加計学園の職員が陳情にやってきた。

柳瀬元秘書官が対応する。

その時、相手の職員が、「十回以上却下された案件だ、実はうちの理事長は総理と親しいのに、何でこんなに却下され続けるのやろ」と陳情のなかで話したとして、それは普通のことだろう。

陳情者のほとんどは、「総理と親しい」「有力議員や有名人の○○と親しい」などの言い方をする。

御挨拶のようなものだ。 

有力者との関係を誇張するのは、読者の皆さんだって聞き覚えも身に覚えもどちらもあるだろう。

そんな言葉にいちいち反応していたら陳情を捌けない。

「親しいアピール」のほとんどは誇張である。 

無論、加計氏の場合には実際親しかったわけだが、だからと言って、そもそも地方役場の課長と何人もいる出向秘書官一人の間で、半世紀も阻まれてきた獣医学部の新設がどう動くというのか。

地方の課長と首相秘書の一人とで話が動くなら、規制緩和に誰がこんなに苦労しようか。 

そもそも今回の案件の許認可官庁の安倍側近の国会議員-萩生田光一官房副長官(当時)、松野博一文科相(当時)、義家弘介文科副大臣(当時)など―は、一人もこの件を総理から託されていない。

拙著にも書いたとおり、それは朝日新聞がスクープした文科省文書からはっきりとわかることだ。

信頼している子飼いの政治家を誰も使わず、安倍総理は秘書官と地方役場の課長の間で話を進めさせたのか。 

「アホかいな」という他ない。 

「首相案件」という言葉を官邸の人間は使わず(言うなら総理案件)、柳瀬氏も使わなかったに違いないが、それは枝葉末節であり、要するに規制緩和や国家戦略特区、獣医学部が「首相案件」だという発言が、その時、柳瀬氏からあってもおかしくないだろう。 

実際、規制改革は安倍政権の最重要課題の一つであり、そうした意気投合は寧ろ国民本位、国家本位の情熱ではないのか。

それが、なぜ卑しい利権の話だという根拠ない貶めになってしまうのか。 

いずれにせよ、柳瀬氏の発言の内容は事の主筋ではない。 

国家戦略特区の行政プロセスと、地方役場の課長の陳情や首相秘書官の発言など全く関係ないからだ。 

どうでもいいことを大問題にして、どうでもよくない大変な国際情勢への対処と国内の百年の計がなし崩しに遅れてゆく。

この稿続く。


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