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知日派の都 復興支援 日本学盛ん オランダ・ライデン…日経新聞10月2日30面より

2011年10月02日 16時34分13秒 | 日記
公開講座・コスプレ・足湯… 震災への関心つなぎ留め

世界最古の日本学科を持つオランダ・ライデン大学のお膝元で、東日本大震災後の日本を応援する多様な行事が開かれている。コスプレ、カレーライス、足湯……。風変わりなチャリティーの一方で、大学は「日本のいま」をテーマに公開講座を集中的に開催する。

知日派の拠点ならではの知恵と工夫。日蘭交流の開始から400年を経て、両国の絆を再び強めようとしている。
鎖国時代の日本を訪ね、西洋医学を伝えたシーボルト(1796~1866年)。その弟子が19世紀半ばに日本学という学問をつくり、最初の教授職に就いて以来、ライデン大学は欧州での日本研究の中心的な役割を担ってきた。

震災後の日本支援の中心を担ったのは、博物館シーボルトハウス。シーボルトが実際に1830年代に住んだ場所にあり、日本から持ち帰った収集品を公開している。

「我々は蘭日両国をつなぐ特別の役割がある。すべてはここから始まった」と館長のクリス・スヒールマイヤーさんは話す。震災直後の3月19日、「千羽鶴に祈りを込め」と題するイベントを開催。約千人が5千羽の折り鶴をつくり、在オランダ日本大使館に寄贈した。

「コスプレ衣装の女性と写真を撮りませんか?」。5月29日、シーボルトハウスの周辺で開いた日本関連の青空市「ジャパン・マーケット」では、コスプレの衣装をまとったオランダ人が集結、写真1枚ごとに1ユーロを寄付してもらい、総額1680ユーロを集めた。

ライデン大に留学中の日本人らは「若武者」という組織を結成。青空市では日本風カレーライスを1杯4ユーロで販売した。メンバーの一人、有田千枝さんは「炊飯器を5台用意して走り回った」と振り返る。

10月29日には博物館の前に、足をお湯につけて温まる「足湯」が特設される。「日本の文化はお風呂。楽しみながら見えない日本文化を紹介したい」と主催者の一人、ロッテルダム在住の田嶋正行さん(40)は語る。

震災直後はオランダ国内でも義援金を集めるためのコンサートやサッカーの試合が相次いで開かれたが、最近は下火気味。ライデンの行事はオランダ人の関心をつなぎ留めようとあの手この手で工夫したのが特徴だ。

大学の日本学者も動いた。震災後、オランダ国内では「悲劇を前に感情を出さない日本人」「西欧の『罪の文化』とは違う『恥の文化』」といった日本人に対する紋切り型の報道が相次いだ。

義憤にかられたイフォ・スミッツ教授(日本学科長)はオランダ紙に「すべての日本人はストイックな神風なのか?一と題した記事を寄稿。一日本人だって感情的に反応している。ただ、それはオランダのメディアの期待している方法でないだけだ」と反論した。

「日本の社会、文化の事実をきちんと伝えたい」と話すのは、カタジーナ・チフィエルトカ教授(近代日本研究)。10月にはノルウェーの政治学者を招き、震災時の自衛隊の活動について講演。11月にはデンマークの漁業を専門とする人類学者が東北で調査活動をした結果を報告するという。

ライデン大日本学科には毎年100人超の学生が入学し、20~30人は日本に1年間留学する。若者が日本に関心を持つきっかけはアニメ、漫画、Jホップなど。

それでも「最近は地震をテーマに日本を研究したいという学生が現れてきた」とチフィエルトカ教授は目を細めている。(ライデンで、瀬能繁)

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