文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

原子力委員会の方針は、日本の核燃料サイクルを断ち切り、原子力産業を終焉に向かわせるものと読める。

2018年08月06日 15時44分28秒 | 日記

以下は前章の続きである。

わが国の原子力政策は文字通り、根幹から崩されようとしている。

日本は原発燃料のウランを米国などから輸入し、原子炉で使用したウラン燃料を処理してプルトニウムを抽出してきた。

これを高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県)や普通の軽水炉(プルサーマル)で再利用するのが核燃料サイクルで、日本の原子刀政策はこの基本の上に成り立つ。 

ところが、もんじゅは廃炉と決められた。

核燃料サイクルを維持するにはプルサーマルしかない。

再稼働した原発のうち、プルサーマルが可能なのは4基のみだ。

一基の年間消費量はプルトニウム0.4トンである。

3年後に完成するとみられる青森県六ヶ所村の再処理工場が稼働すれば使用済み核燃料の再処理で年間8トンのプルトニウムが抽出される。

そこでプルトニウムの保有量を減らすという原字力委員会の“公約”を実行するために、使用済み核燃料の再処理をしない、もしくは再処理を制限するという議論が生まれている。 

原子力委員会の方針は、日本の核燃料サイクルを断ち切り、原子力産業を終焉に向かわせるものと読める。

菅氏の企みとぴったり重なるではないか。

再生エネルギーの巨額負担を国民に払わせ、原子力政策に失敗し、石炭などの化石燃料に突出して頼り、C02の大量排出国に転落する。 

なぜわが国はこんな愚かな道に追い込まれるのか。 

日米原子力協定の自動延長に至る中で日本側で、あるいは米国側からも飛び交ったのが「日本のプルトニウム保有量47トン」「原爆約6千発分」「核拡散の危険」などの情報だった。 

だが、これらは正確ではない。

日本の保有する47トンのプルトニウムは、原子炉級プルトニウムであり、核兵器になる兵器級プルトニウムとは組成も異なり純度も著しく低い。

日本のプルトニウムのうち約36トンは英仏両国に委託して再処理したもので両国が保管している。

また六ヶ所村の再処理工場には国際原子力機関(IAEA)の査察官が常駐しており、日本は厳しい管理の下にある。

日本が原爆を造ることなど科学的にも物理的にも不可能である。

日本のプルトニウム保有には何の問題もない。

問題解決の唯一の方法は再処理工場の稼働と核燃料サイクルの完成だ。

にもかかわらず、不正確な、あるいは特定の目的を内包した情報の前で日本全体が萎縮した。 

メディアは、日米原子力協定が自動延長されると早速、「国際社会の懸念」を報じた。

NHK解説委員の水野倫之氏に至っては「中国や北朝鮮が日本を名指しして核開発の可能性を指摘した」と論難した(8月1日「時論公論」)。

こうした情報の狙いは再処理工場を廃棄に追い込み、核燃料サイクルを崩壊させ、日本の原子力全体を葬り去ることだ。

日本のエネルギー政策に責任を持つ安倍政権は、反原発情報で日本の未来が危機に直面していることを自覚してエネルギー政策の立て直しに取り組むべきだ。

 

 

 

 


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