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加圧水型軽水炉を採用する北電、四国電、関西電、九州電のうち、新規制基準のもとでの原発再稼働を一度も果たしていないのは北電だけ

2018年09月14日 16時40分12秒 | 日記

以下は、2018/6/22、日本経済新聞電子版からである。

北海道電力泊原子力発電所(北海道泊村)の再稼働に向けた原子力規制委員会の安全審査が長期化している。課題だった防潮堤の方向性については一定のメドが立ち、北電にとって「難関」となっている陸・海の断層に議論の焦点は移った。
約5年に及ぶ審査長期化には規制委も懸念を持っており、北電は正念場を迎えている。

これまで審査会合の場で議論されてきた泊原発を巡る主な課題は(1)地震が発生した場合に防潮堤が強度を保てるか(2)津波で防波堤が破損した場合の影響(3)積丹半島北西沖に海底断層があると仮定した場合の地震の大きさ(4)原発敷地内に存在する断層が活断層であるかどうか――の4点だった。

防潮堤は津波から原発を守る役割を持つ陸側の堤防。北電は昨年9月、規制委の行政窓口である原子力規制庁に対し、新たな防潮堤を建設する方針を示した。地震による地盤沈下の可能性が否定できないとする規制委の意見を踏まえ、地下深くの固い岩盤にくいを打ち込むことで、仮に地盤沈下が起こっても破損しない防潮堤を造る計画だ。

工費や工期は示されていないが、昨秋に同様の防潮堤へと設計変更した日本原子力発電の東海第2原発(茨城県)は安全対策費で1千億円増額、工期は2021年3月までとなった。対応が奏功し、東海第2は近く合格を得られる見通し。北電の負担も小さくないものの、北電は規制委側の意向に沿った対応をとることで防潮堤については一定の理解を得られるとみる。

海側の堤防である2本の防波堤は、原発敷地に接岸する船が風による波で揺れないようにするためのものだ。津波で破損した際に発電所の取水口に詰まらないかどうかが焦点だった。対策が比較的容易であることから北電関係者は「審査の大きなハードルにはならない」との見方を示す。

安全審査の議論は現在、陸と海の断層に集中している。海底断層については17年7月の審査会合で規制委から「地形・地質・地質構造についてはおおむね妥当な検討がなされた」と評価されて以来議論がストップしている。17年11月から18年5月にかけ審査会合は4度開かれ、ほぼ全ての時間が敷地内断層の議論に費やされた。原発敷地の直下にある断層が地震発生源になりうるかどうかを巡り、断層上部にある地層についての見解が北電と規制委で異なっているためだ。

5月の審査会合で規制委側は敷地内断層について「新たな調査が必要というわけでなく、データの整理の問題だ」「(規制委側の見解に沿って)地層を仮定した場合にもデータと矛盾しないかどうかの説明が必要」とコメントした。北電の主張を頭から否定するのではなく、一定程度の配慮をにじませた。

新規制基準が導入された13年7月から泊原発の審査会合は90回を数える。5月に泊を訪れた規制委の更田豊志委員長は「敷地内断層の活動性、地震と津波の想定、火山対策の3つのポイントが明確にならなければ先は見えない」と年内合格には厳しい見方を示した。

一方で加圧水型軽水炉を採用する北電、四国電、関西電、九州電のうち、新規制基準のもとでの原発再稼働を一度も果たしていないのは北電だけ。更田氏は「(審査の長期化に)人手もとられ、一定の懸念を持っている」とも話す。安全を大前提としつつ、いかに規制委と密接な意思疎通を図れるかが北電に問われている。(安藤健太)


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