文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

この期間には清朝による諸外国への中国の権益の譲渡や、第二次アヘン戦争での清朝海軍の英仏連合海軍に対する敗北もありました

2018年08月04日 12時19分55秒 | 日記

以下は前章の続きである。

中国の夢

-福建省の人民解放軍といえば台湾への軍事態勢を保つ直接の責任を持つ部隊ですね。 

「そのとおりです。その結果、習近平氏の国家最高指導者としての姿勢にも影響が及びました。習近平氏は台湾作戦を受け持つ福建省の人民解放軍幹部たちとのつながりがきわめて深くなったため、軍事面での台湾攻略という狙いにも強い関心や知識を抱くにいたったのです。その結果、政治や外交の面でも台湾の中国から離れようとする動きには、とくに強硬な態度を示すようになりました」

-習近平氏の軍部とのつながりは、前任の最高指導者たちの経歴にくらべると異例とのことですが、その結果、習氏の統治の基本になにか大きな特徴が生まれていますか。 

「はい、習氏の主張する総合政策用語の一つ『軍民融合』は、彼の軍部重視の基本姿勢から生まれていると思います。国家は軍部と民間とが溶け合うように融合してこそ、繁栄するという思想です。国家の統治に関して普通の指導者よりも人民解放軍の役割を重要視するという姿勢の反映ともいえましょう。軍部と民間、つまり、非軍部とが一体となり、しかも軍が民を先導するような優先順位を表しています」

-アメリカや日本の軍に対する「文民統制」という概念とは逆の感じさえしますね。 

「そうですね。習近平氏はさらに『強軍興国』とも唱えています。文字どおり軍事力を強くすることで国全体を興していく、国家をより豊かに、より強くする。その主体はあくまで『強軍』だというわけです。これも軍事力を極端に重視する思想です。習近平氏はまた『中国の夢』とか『中国の復興』『中国の偉大さ』という標語をも強調します。これらは中国民族は将来、強大で指導力のある、経済力も巨大な国家を作ろうという励ましの概念です。その土台にあるのは『強軍』、つまり強力な軍隊です。人民解放軍が中国の内外の安定した戦略的環境を保護するというのです。この任務は変わりません」

中国の復興

―「中国の復興」というような標語にも軍事力の強化という意味が含まれているということでしょうか。 

「はい、『中国の復興』という言葉自体はソフトな概念と響くかもしれませんが、じつは非常に強固で攻勢的な意味あいが隠されています。つまり過去の恨みを必ず晴らすという戦いの準備という意図さえが含まれているのです。中国共産党の指導者たちが持つ恨みとは中国の教科書にもよく記された『屈辱の世紀』に依拠しています。この『世紀』、つまり、100年は1840年の第一次アヘン戦争から1945年の日本の敗北による中国共産党の興隆までの期間を指します。この期間には清朝による諸外国への中国の権益の譲渡や、第二次アヘン戦争での清朝海軍の英仏連合海軍に対する敗北もありました。さらには1894年、95年の日清戦争での中国側の敗北へと続くわけです。こうした歴史上の『屈辱』を晴らす相手としてはまず日本があげられます。歴史を原因とする恨みや敵意が、いまの中国の対外戦略上の大きな要因となっているのです」

この稿続く。

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