昨日地下鉄で週刊新潮の車内吊り広告を見て驚いた。
「えっ、もう一週間が過ぎたのか」
早速購入しスタバで読んだのだが、今週号でも高山正之は戦後の世界で唯一無二のジャーナリストである事を遺憾なく証明している。
以下は掉尾を飾る彼の名物コラム「変見自在」からである。
見出し以外の文中強調は私。
昔の名前で出ています
教祖麻原彰晃の刑が執行されたあと朝日新聞に「暴走の闇、私たちと無縁か」の見出しで今は隠居暮らしのOB記者が追想録風のコラムを書いていた。
中で「驕慢な支配者を神と崇め、その先兵の役割を果たして罪を問われ道連れ死刑にされた弟子たち」に思いを馳せる。
弟子たちはあのとき「戦前の軍国主義国家のような狭苦しい集団にあって、一切の思考を止め、神の指示を絶対と信じ、疑うこともやめていた」と続く。
三つ子の魂というか、記者をやめても呪縛のように戦前暗黒史観で語る。
悲しい性を見る思いだが、それに続けて「自分たちの気に入らぬ者は力でねじ伏せようとする精神の荒廃、民主主義の後退、戦争の記憶の風化……」と三段重ねの形容詞句で弟子の心の荒みを語っている。
その書き方に既視感を覚えた。
改めてOB記者の名を見たら「降幡賢一」とあった。
そう。今から30年前になるか、朝日新聞は馬鹿な日本人に説教を垂れるのが大好きな時代があった。
イエスの山上の垂訓に似るが、イエスと違って語る内容に真実は一切ない。
日本軍は南京で30万人も殺した。
遺骨の一片も出てこないけれど己の残忍さを直視せよとか。
それと「西表の珊瑚」訓話がある。
朝日のカメラマンが濳ったら世界最大級の貴重なアザミ珊瑚に「KY」の落書きがあった。
今、日本の海山は支那朝鮮人の観光客で溢れる。
蔵王の樹氷や京都の嵯峨野の竹林は見苦しいハングルや簡体字のいたずら書きで埋められる。
でも珊瑚に落書きが見つかったとき朝日は躊躇いなく「犯人は日本人」と断定した。
なぜなら彫ったのが発見者を装った本田嘉郎カメラマンだったからだ。
その上で日本人に向けた説教話が写真に添えられた。
「日本人は落書きにかけては世界に冠たる民族かもしれない」「百年単位で育ってきたものを瞬時に傷つけて恥じない、精神の貧しさの、すさんだ心の……」見事なほどの嘲りの三段重ねだ。
記事には執筆者の癖が出る。
指紋みたいなものだ。
それで降幡が筆者と分かつたが、この悪意ある虚報では本田カメラマンと社長の一柳東一郎のクビを飛ばしただけで終った。
降幡は日本人を偽りのネタで侮辱したくせに謝罪もせずに逃げてしまった。
OB面して三段重ねの筆法を得々と披露する前にまず昔の謝罪が先だろが。
この稿続く。