以下は前章の続きである。
7ヵ月前に決まっていた
財務省が、地方自治体の担当課を訪問するのは異例だ。
近畿財務局が自ら腰を上げて動くという異例の態度を示した以上、国有地払い下げ、学校設置はここで既定路線となったのである。
籠池氏が昭恵氏の名前を持ち出す7ヵ月前に事は決まっていたのである。
なぜ、そうなったと推定できるか。
ずばり、今回削除された項目のなかに、その答えと思われる次の一節がある。
《本件は、平成25年八月、鴻池祥肇議員(参・自・兵庫)から近畿
局への陳情案件》
「特例承認の決裁文書」の冒頭の一文だ。
これが近畿財務局の認識だったのである。
事実、鴻池氏が公表した事務所の陳情記録を見ると、奔走する籠池氏を鴻池事務所がフォローしていた有り様が明らかである。
《平成25年9月13日 相談 籠池から
〇9月12日に、大阪府庁へ近畿財務局が来て、小学校設立認可のお墨付きが必要と。一方大阪府は土地賃借の決定が必要と》
《平成25年9月13日 回答 近畿財務局から
○上記の件、三好の上司(前西課長補佐)にヨロシクと申し入れしたと籠池理事長に言うて下さい。
○ある意味、ニワトリとタマゴの話ですが、前向きにやって行きますから》
《平成25年10月12日 相談 籠池夫妻から 議員同席
○政治力で早く結論を得られるようにお願いしたい》
《平成25年10月15日 回答 近畿財務局前西統括官から
○従来どおり前向きに。但し、大阪府の認可を取って頂かないと進みません》
《平成25年10月16日 回答 近畿財務局 前西統括官から
○大阪府とは横の連携を取っているので(土地)
○賃借の件は本省と打ち合わせ済み》
《平成26年1月21日 相談 籠池から
○他の人が国有財産地を格安で購入した噂について、購入価格を知りたい》
《平成26日1月22日 回答 近畿財務局
○新関西国際空港に現物出資、払い下げ物件ではないので価格分かりません》
《平成26年3月19日 相談 籠池から
○私学経営費助成について質問》
《平成26年4月
○記録に残っていないが、籠池氏が鴻池氏を議員事務所に訪問。夫人が泣いて札束が入っていると思われる袋を渡しながら陳情したと鴻池氏は証言》
《平成26年4月24日 報告 籠池から
○近畿財務局へ書類一式提出します》
《平成26年6月17日 報告 近畿財務局管財課前西から
○籠池から諸手続きをコンサル業者に任せると報告あり、これでやっと事務処理が進むと思う》
このように、この件は鴻池事務所の働きかけで近財主体で動き始め、籠池氏は鴻池事務所に相談を重ねながら大阪府教育課と近財とを往復し、あの手この手で交渉の段取りを付けた。
この稿続く。