以下は前章の続きである。
山口二郎氏は安倍批判研究?
公開されている情報から、どのような研究に科研費が付与されているのかは明らかなので、この点についてより深く調査することにした。
「安全保障関連法に反対する学者の会」の呼びかけ人になっているからといって、必ずしも安全保障の専門家というわけではない。
いや、正確に言うと、安全保障の専門家よりも安全保障に関して門外漢の学者の方が多い。
従って、その研究分野も様々だ。
例えば、高山佳奈子氏の「東アジアの経済刑法と国際的相互作用の動態」やら、内海愛子氏の「真珠・ナマコをめぐるモノとヒトの移動と国際関係」などは、純然たる研究というべきであって、特に問題があるようには思われなかった。
ノーベル物理学賞受賞者の益川敏英氏らの研究も、純粋に科学的研究のように見える。
全てがこのような研究ならば、誰に何を追及されようとも、何も動ずることはないはずだ。
しかし、こうした「研究」-これを研究と呼ぶべきかどうかも検討が必要だと思う―に血税が投入されていると思うとうんざりするというか、怒りを覚えるような「研究」もあった。
例えば、科研費の使い方を追及され激怒している山口二郎氏の研究はどうだろうか。
山口氏が研究代表者を務める研究の一つが「政権交代の比較研究と民主政治の可能性に関する考察」。
3500万円もの血税が投じられた研究だ。
この研究テーマを見て、特に目くじらを立てる必要はないと思うだろう。
しかし、この研究成果報告書を見ると、疑問がわいてくる。
報告書は、21世紀に入って、欧米、日本のデモクラシーが劣化したと断定し、「各国に共通するデモクラシーの劣化には次のような特徴がある」という。
① きわめて自己愛の強い幼児的人物が権力を握る。
② 自己愛の裏返しで、権力者は批判や忠告を聞き入れることができず、逆に批判する者を憎悪する。
③ さらに批判する者に対して、権力者は虚言、捏造などあらゆる手段を使って攻撃を加える。特に批判的なマスメディアとの関係でこのような行動をとる。
④ 権力者は嘘がばれても恥じることがなく、常に自己正当化を図る。
⑤権力者とそれを支持する勢力において、事実と虚偽の区別ができない反知性主義が蔓延する。
*私は、この山口二郎の分析を初めて知ったのだが、これは全て彼の事を言っているのではないかと慧眼の士は皆思ったはずである。*
これは研究成果というよりも、研究成果の名を借りた安倍批判そのものではないだろうか。
というのも、理由がある。
以前、山口二郎氏の法政大学における講義と称する写真がアップされたことがあった。
そこには次のような文言があった。
(アベ化とは何か?
・自己愛の強い幼児的リーダーの跳梁跋扈
・批判に対する耐性の消滅・虚言、デマをためらわない、ウソがばれても恥ずかしくない
・事実と虚構の区別ができない反知性》
いくら何でも厳粛なる大学の講義でこのようなことをするはずがないと思っていたので、これは誰かが悪ふざけして作成した合成写真ではないかと疑っていた。
しかし、山口氏が科研費という公金を得て研究した成果と重ねてみると、内容がほぼ一致する。
もし、血税が投入された研究成果が、安倍政権憎悪ならば、あまりに酷くないだろうか。
山口氏が安倍政権を批判しようと、呪詛しようと、それは彼の自由だが、こうした「研究」に国民の血税が投入されることには違和感を覚えずにはいられない。
本当に血税を投入してまで研究する価値のあるものなのだろうか?
この稿続く。