以下は前章の続きである。
また、政府も東日本大震災以降滞っていた次世代原子炉「高温ガス炉」の研究炉を来年度にも運転再開し、研究開発を本格化する方針だ。
三菱重工幹部は「国内での次世代炉開発は不透明な状態にある。将来に向けて力を蓄える必要がある」と意義を説明する。
同機構の佐賀山豊特任参与は「われわれにとっても技術の維持につながる」と強調した。
ただ、次世代炉をめぐっては、ロシアや中国、インドなどが実用化に向けて研究・開発を行っている。
経済産業省の資料によると、高速炉でロシアが2025年に商用炉の運転を開始、中国が30年ごろに商用炉を導入する予定だ。
日本が次世代炉の開発で手をこまぬく間に、技術的な優位が失われる恐れもある。
「数年の断絶が命取り」
原子力の研究者らはこう口をそろえる。
エネルギーの安定確保と安全性の両立に向けた技術開発の灯を絶やさぬことが、日本の国際競争力維持には不可欠だ。
経産省幹部は、次世代炉開発が日本のエネルギー政策に与える意義を強調した。
「日本としての選択肢を数多く持っておくことは、将来のために欠かせない」