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今回の裁判は「ヘマル」が請け負ったというよりも、民弁所属の弁護士グループが請け負ったとするほうがより厳密な表現であるかもしれない

2018年12月20日 20時08分53秒 | 日記

以下は前章の続きである。

弁護士集団「民弁」の影響力 

2006年1月13日の朝鮮日報の報道によると、ヘマルの代表弁護士、林鍾仁は2006年1月11日に静岡県熱海で開かれた日本共産党第24回大会に来賓として参加し、緒方靖夫国際局長から紹介され、拍手で迎えられたという。 

この時の参加目的や活動を具体的に知ることはできないが、ヘマルの弁護士と日本共産党との付き合いがもはや旧友、とでも表現できるほどに長いということだけは間違いない。

これを考えれば、今回のヘマル弁護士による日本共産党訪問、そして共産党による協力表明は、むしろ予定どおりのものであったかのようにすら見えてくる。

ヘマルの弁護士には、同じ弁護士法人に属している点以外にもう一つの共通点がある。

それは、韓国社会の「権力集団」とも呼ばれる「民弁」に所属しているということだ。 

民弁(民主社会のための弁護士グループ)はその名のとおり、「民主社会」を志向する弁護士たちのグループであり、親睦を深めるための交流会のようなものだ。

民弁に加入している弁護士は約1200名で、韓国の弁護士協会に登録されている24000名あまりの弁護士のうち、わずか5%に過ぎない。 全体への割合としてはさほど高くないが、韓国の政治、社会問題にその名前が頻繁に登場するのは、彼らの影響力と権力が韓国社会にとって無視できないものだからだ。

民弁の力は、民弁所属の弁護士から二人(盧武鉉、文在寅)も大統領として選ばれたことでより一層高まった。

政府の要職を続けざまに民弁所属弁護士たちが占め、弁護士たちの間では「出世したければ民弁」という言葉が出るほどであるから、その力の大きさが想像できるだろう。

文在寅も「民弁」で活動 

二人の大統領と民弁は、決して離れることのできない関係だ。

ヘマル所属弁護士、千正培が盧武鉉と親交を深め、ヘマルに連れてくる土壌を作ったのも民弁であり、文在寅は設立初期から最近までここで活動し、1991年からは釜山京南地域民弁代表も務めた。

盧武鉉政権時、民弁出身者たちが政界の要職に躍進し、民弁の「人脈」が世間の注目を浴びたのだが、この時に躍進した人物の一人であり、民弁の主要人物の一人である文在寅がのちに大統領となったことで、民弁は再び世間の注目を集めた。 

今回の徴用工裁判における原告団の弁護士たちが民弁所属であることは言うまでもない。

判決を下した14名中8名の大法官は、民弁出身の文在寅大統領により任命されているのである(しかも、うち1名は元民弁会長だ)。 

今回の裁判は「ヘマル」が請け負ったというよりも、民弁所属の弁護士グループが請け負ったとするほうがより厳密な表現であるかもしれない。 

ところで、この民弁の性格がよく表れた事件として、2016年に中国で韓国へ集団亡命した北朝鮮女性従業員たちの事件を挙げることができる。

当時、中国にあった朝鮮料理店で働いていた北朝鮮の女性12人と支配人が集団で韓国へ亡命。

韓国の情報機関が管理する施設に収容された。

北朝鮮は「韓国側の拉致」と主張して北朝鮮への送還を強く求めたが、韓国側は自由意思による亡命だと要求を拒否した。

ここで登場したのが民弁だ。

民弁は北朝鮮にいる亡命者たちの家族から「委任状」をもらい、韓国政府に人身保護救済審査を求めた。

人身保護救済審査とは、特定施設に不当に収容されていないか裁判所に審査を求める制度で、主に精神病院などに不当に収容されている人の救済に使われてきた。

民弁は「韓国情報機関が北朝鮮の従業員を拉致した」と北朝鮮の主張に同調したのだ。 

これについて、すでに韓国で生活する脱北者を含め、韓国内部から「脱北者を北へ強制送還しようとしている」「北朝鮮への協力だ」と批判を浴びた。

結果的に審査は行われなかったが、民弁が北朝鮮からの委任状によって動いたことは大きな話題となった。 

他にも民弁は、国家保安法廃止や北朝鮮の開城公団正常化を主張するなど北朝鮮を擁護するかのような声を出してきた。

徴用工裁判にも、その所属弁護士たちが深く関与しているのは注目すべき点といえる。

この稿続く。


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