以下は前章の続きである。
同社説は次のようにも述べる。
《米国をおびやかす中国とロシアとの「競合」に勝つための、現実主義だという。その文面からぬぐえないのは、相も変わらぬ思慮不足と独善である。確かに近年の中ロには、既存の秩序に挑むような行動がめだつ。しかしだからといって、両国を国際的な協調枠組みに引き込む努力が「ほとんど誤りという結果に終わった」と切り捨てるのは短絡に過ぎる》
同社説はアメリカの同戦略の原因となった中国とロシアの動向については上記のように「米国をおびやかす中国とロシアとの『競合』に勝つための」と記すだけだった。
それ以外には「近年の中ロには、既存の秩序に挑むような行動がめだつ」と書くだけである。
同社説は中露両国が南シナ海や東シナ海で、そしてクリミアで、どれはどの軍事力の行使や威嚇をしてきたかをまったく伝えていない。
とにかく、アメリカだけがひとり相撲をしているように描くのだ。
中国とロシアの武力にものを言わせる行動があるからこそ、この米側の戦略があるのだ。
その因果関係を、この社説は隠したままなのである。
この稿続く。