以下は前章の続きである。
素人通訳を憲法起草員に任命
マニュアルがあるからだれでも同じと思うヒトもいるが、例えばロンドン塔の歴史を読むと、王の怒りを買った罪びとにはわざと新人の処刑人を当てた。
初めての処刑人は震え、一撃で首を落とせず、何度も斧を振った。
最大限の苦痛を味あわせる悪趣味がそこにあった。
GHQもそれをやった。
大学を出たての通訳ベアテ・シロタを憲法起草員にしたり、軍事用語辞典の編集者ロバート・ホールに日本語の英語化をやらせたり。
素人にやらせることで、白人支配を乱した日本により大きな苦痛を与えようとする悪意が見え透いていた。
その素人の中に「公衆衛生福祉局(PHW)のクロフォード・サムスとその配下の看護婦マチソン」(山村明義『GHQの日本洗脳』)がいた。
彼らは米国流が正しく、日本は野蛮国だと思い込んでいた。
「妊娠中毒者は1日1リットルの真水を飲め」とか、いまでいえば医療過誤で訴えられる間違った処置を次々命じた。
その中に「出産後、母子は直ちに別室に分離せよ」もあった。
日本側が「母子は一緒に寝かせた方がいい。赤ん坊の声を聞くと乳もよく出る、母子の愛情も育成される」と強く反論した。
しかしマチソンは別室制を命令でやらせた。
先日の新聞に60年前、江戸川の産院であった赤ちゃん取り違えがやっと確認されたとあったが、同様のGHQ製悲劇はかなりの数に上るとみられる。
この稿続く。