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アフリカ、中国へ反感拡大 「ひも付き」投資 現地潤わず…日経新聞10月18日6面より

2011年10月18日 16時29分41秒 | 日記
ザンビア 全契約見直し アンゴラ 抗議デモ頻発

【北京=森安健】アフリカ中南部の国々で、天然資源の確保へ経済進出を強める中国への反感が急速に強まってきた。中国の企業や労働者を優遇する「ひも付き」の投資が多く、現地の雇用や貧困問題の改善につながらないためだ。

ザンビアは中国企業との契約の全面見直しに入り、親中派政権が総選挙を控えるアンゴラでは抗議デモが続く。中東・北アフリカの「アラブの春」が波及したアフリカ住民の政権批判が。「中国マネー依存」に向かう構図だ。

「彼らはインベスター (投資家)ではなくインフェスター(寄生者)だ」。9月20日のザンビア大統領選で勝利したサタ氏は、選挙戦で中国からの投資を徹底して批判。

当選直後に中国大使を呼び、中国企業が絡む事業の全ての既存契約を再点検すると告げた。
反発が広がる最大の原因は、投資先の国の経済底上げにつながらない中国の進出モデルにある。

労働者を本国から大量に派遣するなど「現地に富を落とさない」 (日系商社幹部)手法に不満が噴き出す。サタ大統領は中国からの資金で道路や病院はできていくが、現地企業に恩恵が及ばない現状を批判した形だ。
 
■労働者の制限示

唆銅とコバルトを豊富に埋蔵するザンビアには、すでに中国企業約300社が進出。2010年の中国からの投資は10億ドル(約770億円)で、国内総生産(GDP)の6%に相当する。

11年の政府歳入は前年に比べ26%増える見込みだが、国連によると、1日1ドル以下で生活する国民は人口の60%(地方では76%)を占める。

大統領はこうした貧困層を支持基盤に当選した。中国大使に「これまでのように(中国が)本国から無数に人を呼び寄せるのはやめねばならない」と指摘。中国人労働者の受け入れ制限も辞さない構えを示した。

■失業率25% 

中国の原油輸入の16%を占めるアフリカ最大の調達先のアンゴラは来年、総選挙を予定する。在職32年のドスサントス大統領は中国企業を積極的に誘致・優遇してきたが、これを批判するデモが頻発するようになった。

アンゴラは大量の石油マネー流人で1人当たりGDPが5061ドル(11年、国際通貨基金予測)と、豊かさではアフリカ有数だ。しかし、人口の4割を占める貧困層はいっこうに減少しない。

地元の大学の推計では、失業率は25%前後で推移し、11年通年で15%と予想される物価上昇が庶民の生活に追い打ちをかける。一方で、同国には中国企業での雇用が保障された中国人労働者が一時、10万人近くいたとされる。

■襲撃事件も 

現地の雇用への悪影響が表面化した例もある。ナイジェリアでは中国製の繊維が流入し、地元繊維工場の8割が閉鎖に追い込まれ、25万人が職を失つたという。

中国企業や中国人を直接狙う事件も起き、タンザニアでは今月11日、銀行に向かう中国人女性が強盗グループに襲われて死亡。12日にはタンザニアの中国系の病院が襲われ、現金やコンピューターが盗まれた。

アフリカではマダガスカル、ガンビア、コンゴ民主共和国なども年内に選挙を予定している。混乱がこのまま広がれば、対中政策が各国の選挙の主な争点に浮上する可能性もある。

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