以下は3/22に発信した章を再掲載する。
以下は昨日の産経新聞6ページ、国際欄からである。
中国の介入手法 日本も認識を チャールズ・スタート大学 クライブ・ハミルトン教授
オーストラリアに浸透する中国の影響に警鐘を鳴らす書籍を2月に出版した豪チャールズ・スタート大学のクライブ・ハミルトン教授が20日までに、産経新聞の取材に応じた。
教授は著作で、中国は「民主主義を利用して民主主義を破壊する」と指摘。
取材には「中国が豪州に介入した手法は日本にも適用される。日本の人々は脅威を認識する必要がある」と訴えた。
教授の著書「サイレント・インベーション(静かなる侵略)」は、豪州に移住してきた中国系の富豪が与野党の政治家や大学に多額の資金を提供している実態を紹介。
こうした政治家の発言や大学の研究が、南シナ海問題や自由貿易協定(FTA)などで、中国に望ましい方向に政策を誘導しようとした実態を明らかにした。
また、富豪らが中国の国政助言機関、全国政治協商会議(政協)の代表を務めていたとして、共産党との関係にも疑いの目を向けた。
著書は当初、契約した大手出版社から出版を拒否された。
中国からのサイバー攻撃や在豪中国系市民からの訴訟を恐れたためだという。
その後、2社にも断られ、ようやく出版にこぎつけた。
これに対し、英紙フィナンシャル・タイムズは「自己検閲だ」と批判。
教授は「言論の自由への抑圧に多くの豪州人が衝撃を受けた」と話す。
教授は、中国系企業家は、自ら進んで、または中国に残した親族が報復に遭うことを恐れ、「共産党の代理として行動する」と指摘する。
1970~80年代に日本企業が豪州への投資を増やした際、「誰も日本政府のために行動しているとは思わなかった。だが、中国はそうではない」。
このため、中国の国有企業やその関連企業が、豪州の電力や港湾などインフラ企業を買収する試みは「最大の安全保障上の脅威だ」と危機感を示した。
その上で、中国の豪州政治への干渉策は「(既存の)法律に違反しない点が新しい」とし、「政府の運営や民主主義の価値を損ねており、違法化すべきだ」と主張。
ターンブル政権が法制化を進める外国人・企業からの献金禁止や「スパイ活動」の定義拡大は「世界各国のモデルになるのではないか」と述べた。
また、法改正が中国からの経済制裁を招く懸念を示しつつも、「国家の独立を維持するためには、経済的な痛みを受け入れなければならない」と強調した。
(キャンベラ 田中靖人、写真も)