以下は前章の続きである
試されるアメリカ
もちろん、中国の東シナ海や尖閣に対する主張は利己的であり日和見主義的でもある。
中国は尖閣問題を2009年になって取り上げた。
だが、そのことは問題でない。
でっちあげの領土の主張に精力をつぎ込むことは、独裁的な政権が民衆の支持を得るためにとる伝統的な策略であり、それにより国内問題から目をそらそうとしている。
東シナ海でおきている出来事はまた、米国が信頼に足る永続的な同盟国であるかを試している。
米国は日米安全保障条約に沿って、日本を守るか、あるいはそうしないか。
守らない、そしてその同盟国が強大な敵に一国で立ち向かわなくてはならない場合、米国が結んだ条約への関与に対する疑念が世界的に生じ、そのことを味方、敵ともに認識することになる。
それだけではない。
中国が東シナ海で争う余地のない支配権を獲得したら、台湾は米国や日本の多大な力を失い絶望的になる。
仮に台湾が「陥落」したら、「戦略上の要衝」である台湾を失うことで、米国のアジアにおける地位は崩壊する。
重要なことは、台湾はもはや中国の共産党政権にとって、その存在に関わるような脅威ではなくなってしまうということだ。
活気に満ちた民主主義と、「中国人民は厳しい監視下でのみ支配可能だ」という共産党政権の主張を非難する、そして合意によって成り立つ台湾の政権は、中国にとって今は脅威といえるが。
この稿続く。