以下は前章の続きである。
最大の敗因は何か
なぜ、平成日本は敗れてしまったのか。
理由はいくつもある。
前出の財界人は、「危機感の欠如だ」と喝破したが、個人的には、①焼け跡からの奇跡の経済復興に慢心してしまった②30年閧に首相の座に就いた政治家がのべ18人を数えるほど政治が混迷を極めた③中国の共産党独裁体制を支援したーの3つの敗因を挙げたい。
ことに3番目は、取り返しのつかない失策である。
平成元年、北京・天安門広場に自由を求めて集まっていた市民や学生を人民解放軍が虐殺した天安門事件は世界に衝撃を与えた。
国際的に孤立し、苦境に陥っていた中国共産党政権を助けたのが日本だった。
海部政権は円借款をいちはやく再開し、続く宮沢政権は天皇陛下訪中を実現させた。
産経新聞は当時から慎重論を唱えていたが、多勢に無勢、中国は難なく国際社会に復帰した。
一党独裁を維持したまま世界第2位の経済大国に中国が成り上がった出発点は、まさにここにある。
歴史に「もしも」は、ない。あのとき、ああしていれば、というのも何の意味もない。
この稿続く。