文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

中国に大波瀾が起きたとき、日本人はどのような覚悟で対処すべきかを、日本人全員に考えておいてほしいと思うのです。 

2018年12月10日 22時53分53秒 | 日記

宮脇淳子さんの存在を教えてくれたのは高山正之氏だったと思う。

伊勢高校~京都大学~大阪大学大学院で、モンゴル語を専門として学んだ宮脇淳子の学識が世界有数であることは、それぞれの高校、大学の同窓生は大いに誇りに思わなければならないだろう。

以下は先日、新聞の下段広告で知って早速購読している本の前書きである。

文中強調は私。

はじめに

2011年11月にビジネス社から刊行した拙著『真実の中国史【1840-1949】』(岡田英弘監修、李自社発行)は、著者である私自身も驚くほど評判がよく、2014年10月には9刷りを重ねました。

しかも、2015年11月と続いて2016年1月には台湾から、拙著『真実の満洲史【1894-1956】』(岡田英弘監修、ビジネス社、2013年刊行)とともに、繁体字に翻訳された華字本が刊行されました。 

『真実の中国史』で、私はこれまで通説とされてきたことがいかに誤りであったかを、いろいろあけすけに書きましたが、なかでも注目を浴びたのが、孫文がじつは大言壮語の大嘘つきで、どのようにして日本と日本人を裏切ったかを暴露したことです。

だから、この本を台湾人が翻訳したいと言ってきたことにはビックリしました。 

孫文を国父と仰ぐ台湾の人までが、本当の中国史を知りたいと思うようになったということは、まことに喜ばしいことです。

台湾で繁体字本が出さえすれば、香港はじめ、大陸の知識人も必ず読むことでしょう。

政府のみならず、中国人が書くことがいかに嘘ばかりかということは、中国人すべてが自分たちでも自覚していると思うのです。 

右の本が、1949年の中華人民共和国誕生で終わっているのは、私は中国現代史の専門家ではなく、中国共産党の真実の歴史を書くことはとてもその任ではないと思ったからです。

私の専門はモンゴル史で、なかでも、17、18世紀に中央アジアを席巻し、清朝とロシアに脅威を与えた最後のモンゴル遊牧帝国ジューンガル史で博士号を取得しています。

それでもモンゴルに関係のあることは何でも調べているうちに、満洲史や朝鮮史に興味が拡がり、19世紀末から朝鮮や満洲に深く関係した日本の近現代史にも首をつっこむことになりました。

もともと東洋史学科の出身ですから、シナ通史にも普通の人よりは詳しいつもりです。 

でも、現代中国はわけのわからない厄介な存在ですから、手を出すつもりはありませんでした。

私が続編を固辞したので、ビジネス社は主人の岡田英弘の旧友の黄文雄先生に続編をお願いして、『真実の中国史[1949-2013]』が2013年に刊行され、私はほっとして、黄先生に感謝したのでした。

けれども、拙著の読者からは私の続編も期待する声があったということで、ビジネス社はあきらめることなく、続編執筆を私に依頼し続けました。

私は苦し紛れに、宮崎正弘先生にいろいろ教えていただけば、私にでも現代中国史が書けるかもしれないとつい言ってしまったのが、本書の企画の始まりです。 

ビジネス社の唐津隆社長は宮崎先生と懇意で、すぐに企画会議が設定され、『真実の現代中国史』は将来のこととして、とりあえず中国に関する対談本を出そうと、あれよあれよといううちに話が進みました。 

宮崎先生は、無料のメルマガ「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」を毎日更新されて、2018年10月には通算5870号余にもなっており、私は毎日これを拝読することによって大手マスコミの報道しない中国の現況を知り、判断の根拠にしていますから、私が先生に何か寄与できるとはとても思えません。

宮崎先生は、他人の書いたものをそのまま信用することなく、あらゆる現地はすべてご自分で踏破して判断する、ジャーナリストの鑑のような方ですから、現状で知らないことはなく、私に聞かなくてはならないことなど何もないでしょうから、さて困つたな、と私は思いました。 

でも、本書を読んでくださればおわかりのように、宮崎先生とはもともと西尾幹二先生の主宰する「路の会」でかなり前からのお知り合いだし、誰にでも親切な紳士でいらっしゃるから、私が答えやすい質問をしてくださったので、話がはずんで、とても楽しい対談になりました。私は宮崎先生のメルマガだけでなく、最近のご著書はだいたい拝読しています。

30年前の『中国の悲劇』も20年前の『中国大分裂』も、今回の対談のためにネット購入して拝読しました。

『出身地でわかる中国人』(2006年、PHP新書)も再読しました。

中国の文化やその他の諸事情に関する先生の見方は、私と完全に一致します。 

意見が不一致で激論になる部分がなかったことが、読者にとっては残念なところかもしれませんが、中国に対するわれわれの見方は、一般の日本社会ではまだまだ少数派ではないでしょうか。

でも、中国の将来を考えるとき、このまま無事で行くわけがないと思います。

中国に大波瀾が起きたとき、日本人はどのような覚悟で対処すべきかを、日本人全員に考えておいてほしいと思うのです。 

宮崎先生に現代中国について教えていただいた私の結論は、「真実の中華人民共和国史」を書くことは当分は無理ということです。

なぜなら、中国人の出す統計が嘘ばかりで、書いたもののなかに真実がないのに、そんなものを史料として、どうやって真実の歴史が書けるでしょう。

歴史学というのは、ものごとが終わったあとで結果から遡って因果関係を明らかにする学問であって、進行している最中のことを描写できるものではないからです。

もちろん、これからも興味を持って現代中国をウォッチするつもりですが、『真実の中国史』の続編は、中国共産党が終焉を迎えたあとでなくては書けないと思ってくだされば幸いです。

宮脇淳子

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