この章まで読み進んで来た読者は朝日新聞やNHKなどの原発絶対反対、原発再稼働絶対反対報道を中国は、どれほど、ほくそ笑んでみていた事だろうかと思ったはずである。
それどころか原発反対運動に中国から資金が入っていたと言っても全く過言ではない事に気づくだろう。
以下は前章の続きである。
多彩に取り組む次世代炉
次世代炉の技術開発については、日本だけでなく世界的にも関心が高く、ロシアも着実に歩を進めているが、中国の挑戦は広範囲に及ぶところが特色といえる。
その一つに、高温ガス冷却炉(HTGR)がある。
中国では清華大学が開発を進め、2003年に基礎研究炉HTR-10を完成、2012年12月には清華大と中国核工業建設集団公司(CNEC)は、中国華能集団公司を出資者として、実証炉となるHTR‐PM(山東省・華能石島湾原発、出力20万kW)を着工。
近く発電を開始するとの情報がある。
さらに60万kW級実証炉、100万kW級商業炉を開発中で、HTGRは内陸立地原発の有力候補になるとの見方もある。
日本でも注目されている小型モジュール炉(SMR)では、CNNC傘下の中国核動力研究設計院が地域暖房熱源等に適した多目的SMRとしてACP100(凌龍一号、熱出力38.5万kWt、電気出力12.5万kW)を開発中。
原子炉をモジュール化、工場で組み立てることで建設コストの低減を目指しており、CGN、SNPTCも独自のSMR開発に取り組んでいる。
また、洋上原発として浮揚型SMRの開発も進められており、CNNCはACP100Sを研究中で、CGNはすでに2016年11月、ACPR50S(出力6万kW)の製造に着手した。
高速炉(FR)では、中国は1965年に研究を開始、CNNC傘下の中国原子能科学研究院(CIAE)が高速実験炉(CEPR、出力2.5万kW)を建設、2010年に臨界、2011年に系統接続が行われた。 CIAEはさらに高速中性子炉(FNR)実証炉として2017年12月に福建省・霞浦で出力60万kWのCFR600の建設を開始している。
トリウム溶融塩炉(TMSR)は水資源の不足する内陸部で期待される技術で、上海大学応用物理研究所に2011年、TMSRセンターが設置され、研究開発が進行中だ。
そのほか、進行波炉(TWR)では、マイクロソフト社のビル・ゲイツ氏らが米国に設立したテラ・パワーとCNNCが、2015年に協力覚書を締結。
低温熱供給炉(LTHR)も地域暖房熱源としてCNNC、CGNが技術開発を実施している。