以下は前章の続きである
八方ふさがりの東芝
私が疑問に思うのは、本当に「東芝メモリ」を売却する必要があるのかということだ。
東芝のドル箱と呼ばれる「東芝メモリ」なしでは、東芝は一時しのぎの資金を得ても、利益は大きいが事故の損失が莫大な原発事業だけでは真の意味での再建は難しいだろう。
東芝役員の平均年齢は六十九歳とかなりの高齢であり、そのうえ役員の七割が社外取締役で東芝出身の取締役はたった三人しかいない。
彼らの気持ちを”忖度”すると、一時しのぎの時間さえ稼げれば定年となり、十分な退職金ももらえるーそのため、長期的な戦略を立てるモチベーションが低いのは当然だ。
東芝に政府が介入するにも、役員の総入れ替えは必要条件となるだろう。
一番の足かせは「東芝メモリ」だけを売却しようとすることに、WDが横やりを入れてくることである。
東芝発表による来期のフリーキャッシュフローはマイナス六百~七百億円であるため、単純に東芝本体の株式を官民合同である産業革新機構に引き受けさせればいい。
そうすれば、外為法・独禁法の問題も生じず、企業売却にも該当しないので、WDから横やりなく債務超過とキャッシュフローのマイナスが一気に解消される。
さらに、今後必要な資金を政策投資銀行から融資させれば、本業自体は来期黒字見通しなので十分に再建できるはずだ。
この稿続く。