以下は前章の続きである。
安倍晋三首相以前の日本の首相は歴史問題で事実を発信しようとしてこなかった。
むしろ、政府は事実を押し隠して中国や韓国の主張を受け入れてきた。
政治がそうであれば、役所はそれに従う。
三菱マテリアルが中国で徴用工の件で訴えられた事例では、同社に、事実を争うのではなく、中国側の主張を呑んで賠償金を支払うように、外務省が事実上指示した。
「南京大虐殺」や「慰安婦強制連行・性奴隷」説についても、日本政府が事実を示すことさえ憚った時代がずっと続いてきた。
だが、事実だけが中韓両国の歴史捏造戦略に勝つ唯一の道である。
事実を知っている世代は少なくなってしまったが、それでも貴重な証言をしてくれる人々はいる。
西川清氏は、昨年夏に102歳で亡くなった。
氏は『朝鮮総督府官吏最後の証言』(桜の花出版編集部)の証言者である。
氏は昭和8年に朝鮮総督府江原道に任官し、朝鮮人の知事が統括する地方行政で内務課長を務めた。
敗戦まで12年間、朝鮮人の知事を上司とし、日本人、朝鮮人両方を同僚や部下に持って働いた。
この稿続く。