2017年9月3日 東京都
国立天文台三鷹キャンパス②
東京都三鷹市大沢
▼ゴーチェ子午環室 登録有形文化財
ゴーチェ子午環室は、1924年(大正13年)5月9日竣工、望遠鏡の建物としては極めて特徴的な半円ドームで蒲鉾型をしており、屋根は東西に開閉します。設計は東京帝国大学営繕課。またゴーチェ子午環は、南北100mの地点に真の南北を視準する子午線標室が附属施設として現存しています。
▲ゴーチェ子午環
子午環は、子午線上の天体の位置(赤経と赤緯)を精密に観測できるように工夫された望遠鏡です。
▼レプソルド子午儀室 登録有形文化財
レプソルド子午儀によって観測が行われていた建物で、1925年に建てられました。
▼レプソルド子午儀
レプソルド子午儀は、1880年(明治13年)ドイツのA. REPSOLD & SÖHNE社で製作され1881年(明治14年)に当時の価格15,200マルクで明治政府の海軍省海軍観象台が購入した近代天文学黎明期の有効口径135ミリメートル、焦点距離2120ミリメートルの本格的な観測装置です。
▼大赤道儀室(天文台歴史館)
天文台歴史館(大赤道儀室)は、東京帝国大学営繕課が設計、中村與資平が施工し、1926年(大正15年)に完成しました。構造は鉄筋コンクリート造2階建てです。焦点距離10メートルに及ぶ屈折望遠鏡をすっぽり納めた木製ドーム部分は、造船所の技師の支援を得て造られた大変めずらしい建築になっています。
▼太陽塔望遠鏡(アインシュタイン塔)
太陽塔望遠鏡は、東京帝国大学営繕課が設計、中村工務所が施工し、1930年(昭和5年)に完成しました。構造は鉄筋コンクリート造、地上5階、地下1階(この部分のみ1926年(大正15年)完成)建てです。高さ約20mの天辺のドームから入った光は、直径60cmシーロスタット(平面鏡2枚)に反射して垂直に取り込まれ、北側に続く半地下の大暗室で七色のスペクトルに分けられる構造になっています。塔全体が望遠鏡の筒の役割を果たしていることから「塔望遠鏡」と呼ばれています
建物の外観は直線的な四角で構成されていますが、入口や庇や屋上のバルコニーに曲線を採り入れたところに設計者の感性が感じられます。また、外壁の茶色のスクラッチタイルは焼きむらによる色の違いを巧みに組み合わせて貼っています。
▼第一赤道儀室
第一赤道儀室は、東京帝国大学営繕課が設計、西浦長大夫が施工し、1921年(大正10年)に完成しました。構造は鉄筋コンクリート造りの2階建てです。ドーム内にある口径20センチメートルの望遠鏡はドイツのツァイス製で、望遠鏡の架台は重錘時計駆動赤道儀という方式(ガバナー式)です。この望遠鏡は1938年(昭和13年)から61年間、太陽黒点のスケッチ観測に活躍しました。第一赤道儀室は、国立天文台三鷹キャンパスでは最も古い観測用建物ですが、機能性をそのまま形にした姿をしています。
▼口径50センチ公開望遠鏡
関連記事:国立天文台三鷹キャンパス①
cosmophantom
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます