末光道正のブログ  八尾から日本の政治を変えよう

労働者・市民・学生の団結を強めるコーナーです

八尾北医療センター労働組合の新型コロナウイルスに対する見解

2020-04-11 16:04:21 | 医療・介護労働者は団結しよう
「ただちに保健所を増やし、全ての公的関係機関の予算と人員を増やせ、正規職を雇え」

新型コロナウイルスによる医療崩壊の危機は、30年にわたる新自由主義の民営化と予算・人員削減、非正規職化が生み出した!

 安倍政権は4月7日、緊急事態宣言を行った。オリンピックのためにクルーズ船を隔離し、事態を小さく見せようと必要な対応を遅らせてきたのが安倍政権です。さらに、根本的には、この30年にわたる新自由主義政策、目先の利益のために公衆衛生に対応する機関や公的病院をとことん減らし、民営化し、予算・人員を減少させ非正規職に置き換えてきたなかで新型コロナの爆発的な感染を生み出したのです。

 接触者外来の相談窓口、感染者の追跡調査、PCR検査の3つを担っているのが保健所です。その保健所がこの30年間で全国300以上(全体の40%)も減らされ469か所に。予算も人員も減らされました。日常業務をこなすだけで手一杯のところにコロナ危機が襲いました。

進む非正規化
 感染症対策の担当省庁である厚労省は非正規職員が53%にまで増え、専門機関である「国立感染症研究所」「感染症病院」も予算・人員が削減され非正規職化が進んだ。
 治療と入院の拠点となる公的病院の民営化も激しく進められてきました。さらに安倍政権は、昨年全国の公的病院424か所の統廃合を打ち出し、小池都知事は、都立病院の独法化(民営化)をこの3月31日に決定しました! 東京都内の感染症病床がパンク寸前の中であまりにもむちゃくちゃな決定です。今新型コロナウイルスと必死で格闘しているのは、こうした公的機関とそこで働く労働者であるにもかかわらずです!
 コロナウイルス蔓延の責任はどこにあるのか。「命より金儲け」の新自由主義が作り出した現実です。安倍も小池も自らの責任を頬かむりして、さらに公的部門の民営化と非正規職化=労組破壊に突き進んでいます。コロナ危機を使った改憲の動きを許してはなりません。
 医療崩壊の危機が襲い掛かるイタリアでは、財政赤字の削減のために、過去5年間の間に760もの医療機関を閉鎖し、医師5万6000人、看護師5万人が不足しています。

 私たちは訴えます!
 今必要なのは保健所を増やすこと、公的病院を増やすこと、全ての関係機関の予算と人員を増やし、職員を正規で雇うことです。検査と治療ができる体制を作るためにすべての予算をつぎ込むべきです。

 そもそも人類の歴史は感染症との闘いの歴史でもありました。基本的に70%の人が感染して免疫が獲得されて収束することがわかっています。薬やワクチンの開発が期待されますが、基本は本来人間が持っている自然治癒力(免疫力)が大切です。実際、今回のワクチンが開発されるまで1年半かかるといわれています。普段から、食事・睡眠・運動・人のつながりによって免疫力を高めておけば、80%の人が軽症で免疫を獲得できます。普通の風邪の対応と大きな差はありません。但し高齢者や基礎疾患のある人は重症になりやすいので早期発見・早期治療が必要です。この早期発見・早期治療を妨げているのが新自由主義30年の現実です。

他国の現状
 アメリカではインフルエンザによって年間3万人もの死者が出ています。多くの労働者が免疫力を奪われているからです。ダブルジョブ・トリプルジョブによる疲労と体力低下。不規則な食事、新鮮な野菜のないフードスタンプによる肥満と糖尿病の多発。家賃が支払えずホームレスに(家で眠れない生活)。医療保険が高すぎて加入できない、治療が遅れ(受けられず)重症化する。世界中で激しく命と健康が奪われています。
 実際、新型コロナによる死亡者をアメリカの地図に点打ちすると、貧困地域に重なっていると報告されています。
 コロナウイルスが単なる自然災害ではなく、貧困と格差、資本家による労働者への徹底的な搾取と団結破壊、分断の問題であることを突き出しています。

 こうした現実に対して、世界中で怒りの声が上がり、ストライキが闘い抜かれています。その先頭に労働組合が立っています。
 韓国、香港、アメリカ、イタリア……。イタリアでは「命の危険がある現場での業務停止」「休業中の賃金全額保証」「雇用保険」「衛生管理の実施、必要器具の配付」を突き付けてストライキに決起。緊縮財政の犠牲にされてきた保健・医療の現場では、行政当局に予算支出と改善措置を強制しました。
 団結した労働組合、労働者の闘いこそが命を守れることを示しています。日本でもこの闘いに続きましょう。

生きるための医療
 武漢での事態と封鎖、クルーズ船の隔離は、1947年の天然痘の流行と200人の命を奪った西郡の隔離を思い出させます。その悲しみと怒りの中から住民が資材と労力を持ち寄って1951年に西郡平和診療所(八尾北医療センターの前進)を建設しました。赤痢の流行時には労働組合が阪大公衆衛生研究所と協力し、保健所を動かし34か所の井戸水の水質検査を行いました。すべての井戸水の汚染が確認され、上下水道の完備につながりました。あらゆる感染症の予防には手洗いが不可欠です。コロナの予防も同じです。しかし現在でも世界人口の60%(40憶人)が水道がありません。新自由主義による貧困と格差の現実を変えなければなりません。
 八尾北医療センターは、新自由主義による国鉄分割・民営化と一体となった大阪府下27か所の地域の病院廃止・民営化攻撃を地域住民と共に打ち破り、労組が自主管理している診療所です。八尾市による「倒産」攻撃に住民と闘う労働者の英知を集めて勝ち抜いています。
 病院資本や製薬会社、医療機器メーカー、保険産業などの金もうけのための、「高度医療」「薬漬け」「検査漬け」ではなく、共に生きるための医療をめざしてきました。

 命を守れるのは労働組合と住民の団結した力です。新自由主義30年で奪われてきたすべてのものを奪い返そう!

結論
「保健所を増やせ! 公的病院を増やせ! 人員を増やせ! 正規で雇え!」

八尾北医療センター 労働組合