東京里山農業日誌

東京郊外で仕事のかたわら稲作畑作などをしていましたが、2012年4月に故郷の山口県に拠点を移して同活動をしています。

ラジオ修理用のシグナルトレーサーを改造

2013年01月15日 | 古ラジオ修理工房

 晩秋八王子の我家に来た姪の成人式が14日神奈川県であったのですが、大雪で往生したそうです。しかし、この山口県は雨でした。農作業できないため、久しぶりに日立製トランジスタラジオTH-660の修理を再開しようと思いました。しかし、このラジオは受信周波数がずれていると思われるのですが、局部発信周波数などが分からないため本当にそうなのが分かりません。周波数カウンタがあるのですが、局部発信の電圧(0.1~0.2V)がとても低いので計測できません。高周波増幅器を作るのは大げさかなとも思います。そこで、自作したシグナルトレーサーを簡易な高周波増幅器にして、周波数カウンタが測定ができる電圧まで昇圧させる改造をすることにしました。もちろん、従来のシグナルトレーサーとしても使えるように。

              改造前のシグナルトレーサー部の基板


 まず、改造前のシグナルトレーサーでどのくらい高周波を増幅してくれるかテストしました。すると、低周波増幅用トランジスタ(2SB75)を使っているためか、さっぱり増幅してくれません。あたりまえですが。
 そこで、手持ちの数少ない高周波増幅用ゲルマニウムトランジスタと交換してみました。交換したのは2SA468(ft:15MHz,Hfe:70)で規格的には十分です。このトランジスタは、以前ラジオか何かから引き抜いてストックしておいたものです。このトランジスタと交換してテストすると、問題なく増幅してくれました。

    交換前のトランジスタ2SB75              交換後のトランジスタ2SA468
 

 中波程度の高周波を問題なく増幅することが分かったため、増幅した高周波を取り出す端子(数日前徳山で購入した端子)を取り付けました。ドリルで小さな穴を開け、丸ヤスリでこそげ落とすようにして穴を広げました。穴に端子をはめ込むと、トランジスタのコレクタ側から線を引きました。なお、トランジスタ入力側のインピーダンスは低いため、測定するラジオ回路に影響を与える恐れがあります。効果のほどは分かりませんが、インピーダンスを上げるためエミッタ直結に200Ωの抵抗を取り付けておきました。

      新たな端子用の穴を開ける           エミッタ直結の200Ωの抵抗
 

 これらの改造を経て新たなシグナルトレーサーが出来上がりました。ラジオを修理する時、ちょっとした改造や工夫がとても役に立つことがあります。現代の高校生にとってどうだか分かりませんが、私が高校生の頃は測定器などはとても高価でした。たった一本の真空管で、ラジオを作ったり,発信機に使ったり,増幅器に使いました。さらに、その増幅器を改造してシグナルトレーサーなどにしたりと、とことん使いまわしました。
 当時真空管はとても高価でしたので、おこずかいではとても買えませんでした。このため、あちこちのゴミ捨て場に行っては、捨てられたラジオがないかよく探しました。捨てられたラジオを見つけると嬉しくて胸が高鳴ったものでした。そして、捨てられたラジオの部品を大切に使いまわしました。その部品(主に真空管)は今も捨てられず、いくつかまだ残しています。

         新たに取り付けた端子、修理中のトランジスタラジオでテスト中


 新しくなったシグナルトレーサーの交流入力側に、修理中ラジオの局部発信波を取り出して入力してみました。そして、新しく取り付けた出力端子に周波数カウンタの入力側に結びました。すると、ちゃんと周波数をカウントしてくれました。改造は成功でした。ラジオの周波数ダイヤルを回すと、978.8KHzから2.26MHzまで変わりました。この値から455KHzを差し引くと523.8~1805KHzです。530~1600KHz位がラジオ受信周波数なので、少し高い方に寄っているような気がします。トラッキングがずれているのかも知れません。とにかくラジオ内部の高周波をカウントできるようになったので良かったです。

       局部発信最低周波数                局部発信最高周波数
 

コメント
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