しんちゃんの徒然なる映画日記

劇場で観た映画の感想を中心に綴っていきます。これからの参考になれば・・・

大脱出

2014年01月27日 00時46分45秒 | 作品名(た行)
第334回「彼らに衰えという言葉は無いのだろうか?」
来週からはアカデミー賞に向けて、多くの作品が続々と公開されていきますが、今週は特に観たい作品がありませんでした。今夜の作品「大脱出」は公開日に劇場へ行っていないことからもわかるように、全く期待はしていませんでした。だって、シルベスター・スタローンとアーノルド・シュワルツェネッガーという2大アクションスターを主演にし、役者先導の作品が面白いはずがないと思っていました。

刑務所に自らを収監し、その刑務所を実際に脱獄してみせ、刑務所にある問題点を炙り出すことを仕事としているセキュリティーコンサルタントのレイ・ブレスリン。ある日、彼らの会社にCIAの捜査員が訪れ、ある刑務所を脱獄してほしいという話を持ち掛けてきた、ところがその刑務所の場所すら極秘扱いだというのだ。外部からの協力が受けられない状態は危険だと反対するメンバーに対し、500万ドル前金という条件に二つ返事でOKを出した社長。気乗りはしないブレスリンだったが、いつもと同じ仕事という自信が彼を後押しした。準備を整え合流場所で待っていると、いきなり現れたワゴンで拉致されてしまう。気が付くと彼は刑務所にいた、目の前に現れた所長は事前に説明された人物とは違う男だった。万が一に備え用意されていた避難コードも役に立たないとわかった時点で孤独な戦いが始まったことを悟ったブレスリンだった。そんな状況の中、いきなり彼に接触を図ってきた囚人がいた。彼はロットマイヤーと名乗り、ブレスリンの行動から脱獄をするのだろうと話しかけてきた。思わぬ協力者を得たブレスリンは着々と脱獄の準備を整えるのだった。

どのサイトを観ても上記したようなあらすじが書かれたところはありませんでした。個人的にとても重要だと思われる刑務所の場所もすでに予告編などで明らかにされてしまっている。さらに刑務所の設計にブレスリンが携わったとか、ロットマイヤーが囚人たちのボスだとか、映画の内容と微妙に違うあらすじが紹介されていて、映画を観ながら違和感を持ってしまいました。だから映画がつまらなくなるというほどのものではありませんが、間違った設定のまま映画を観てしまうと、がっかりするところもあるのでは?と思いました。

で、肝心の映画の内容ですが、想像していたキャスト頼みの駄作ではありませんでした。起承転結がキッチリと出来上がっていましたし、物語の展開もスムーズで、用意された結末も敷かれた伏線もお見事でした。ただビックリするほどの結末ではありませんでしたが。(途中で予想がついてしまいました。)もう少し脚本を練ったら、もっと面白くなったと思います。サム・ニール演じる刑務所担当医がいい役者さんを使っているのに、すごくアッサリとお手伝い的な役割で終わってしまったのがとても残念でした。

点数としては★★★☆☆です。2大スターの共演によるアクション映画としては良く出来た作品だと思います。それにしてもお二人とも60代だというのにあれだけのアクションを見せてくれるのはスゴいと思うのと同時に、若手に新たなるアクションスターが育っていないのか?と心配になってしまうのでした。候補は何人かいるのですが、1人で主演を務められるほどでは無いのでしょうねぇ。

大脱出 [Blu-ray]
シルベスター・スタローン,アーノルド・シュワルツェネッガー,ジム・カヴィーゼル,サム・ニール,ヴィニー・ジョーンズ
ポニーキャニオン


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エンダーのゲーム

2014年01月19日 22時27分30秒 | 作品名(あ行)
第333回「襲いかかる睡魔との壮絶な戦いの末に見えたものとは?」
先週の3連休は久しぶりに思いっきり風邪をひいてしまい映画を観にはいけませんでした。でも、それほど観たい作品も無かったのでいいのですが・・・ですっかり元気になった今週は以前から気になっていた作品「エンダーのゲーム」の公開でした。数か月前にアメリカのヤフーで観た予告編ですっかり魅了されてしまい、楽しみにしていた作品でしたのでワクワクしながら劇場に足を運びました。SF映画というだけで私のテンションはMAXでした(笑)。

舞台は五十年後の地球。五十年前に突如として現れた昆虫型生命体「フォーミック」。彼らは地球への侵略を開始した。壮絶な戦いの末に何とか勝利した人類だったが多くの犠牲が払われた。それから地球では国際艦隊が組織され、来る第二次侵攻に向けて準備が進められていた。世界中から優れた少年兵士たちが防衛軍ベースキャンプのバトルスクールへと集められ、宇宙で戦う技術と知識をたたき込まれていた。そんな中、戦いを終わらせる特殊な能力を秘めているとして少年エンダーもベースキャンプに送られる。生命を持つ者同士が戦争で殺し合うことに強い疑問を抱きながらも戦士としての才能を発揮し、エンダーは艦隊を任されるまでに成長していった。そして、最後の戦いは目の前に迫っていた。

物語の破綻は映画が始まってすぐに訪れる。私は映画の冒頭で違和感を覚える。何度もこのブログでも書いているが、SF映画というのは観客をその作品独特の世界観へと引き込むことが一番難しい作業である。それがうまくいくかどうかが作品の成功へ直結してくるのだ。この「エンダーのゲーム」という作品は五十年前に侵略してきたエイリアンとの壮絶な戦いを描いた作品のはずなのですが、その侵攻が起こったのはなんと五十年前の一度だけ、それからの時間は二度目の侵攻に備えた準備だったというのだ。なんて根気のあることだ。その五十年の間に国際艦隊に所属した隊員達は一体何のために厳しい訓練を受けて、そして退役していったのだろう?と映画の冒頭で疑問を持ってしまった。

違和感はさらに続く。タイトルにもあるように主人公であるエンダーが所属するスクールで行われるゲーム=戦闘シミュレーションを中心に物語は展開していくのだが。観ている私はいつになったら敵は登場するのか?緊迫した戦闘はいつ、どこで行われているのか?と思い始める。結果として最後までそういう戦闘は行われないまま映画は終了してしまうのですが、死と隣り合わせの戦闘が行われているのだという緊迫感のようなものが皆無な作品でした。あまりにもその戦いはアッサリとまさに「ゲーム」のように行われてしまうのです。観ている方としては、やり直しのできる戦闘をどれだけ見せられても、この後に待っているはずの戦闘を期待してしまって、あくまで物語のプロットとしてしか観ることが出来ませんでした。

点数としては★★☆☆☆です。ハリソン・フォード、ベン・キングスレーという名優を配しながらも、脚本があれでは作品としての評価が高いものになるとは思えません。アメリカではヒットした原作を映画化したと聞いていたので、かなり期待してのですが、襲いかかる睡魔との戦いのほうが壮絶でした。もしかしたら、原作が長い物語で映画向けにした脚本が失敗したのかも知れませんね。

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ハリソン・フォード,エイサ・バターフィールド,ヘイリー・スタインフェルド,ヴィオラ・デイヴィス,アビゲイル・ブレスリン
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ゼロ・グラビティ

2014年01月05日 21時42分39秒 | 作品名(さ行)
第332回「音の無い世界で繰り広げられる生への戦い」
いつもこのブログを読んでくれる皆さんへ。明けましておめでとうございます。今年もこの「しんちゃんの徒然なる映画日記」を宜しくお願いします。年末がバタバタしていて、前回から随分と間が空いてしまいましたが、新年最初の映画鑑賞に行ってきました。特に新作が公開されない年末年始に選んだのは「ゼロ・グラビティ」です。

地表から600キロメートルも離れた宇宙空間で、ミッションを遂行していたメディカルエンジニアのライアン・ストーン博士とベテラン宇宙飛行士マット・コワルスキー。それは幾度も訓練した簡単なミッションのはずだった。ところが別の場所でソビエトが自国の不要となった衛星を爆破処理した為に、その破片が時速900キロで彼らのスペースシャトルへと向かっていた。凶器となってシャトルへと襲いかかる宇宙ゴミによって無重力空間へと放り出される2人。地球に戻る交通手段であったスペースシャトルを失い、残された酸素も2時間分しかない絶望的な状況で、彼らは懸命に生還する方法を探っていく。

予告編でも宇宙空間におけるトラブルによって放り出される部分が取り上げられ、詳しいストーリー展開がわからなかったのですが、その答えはすぐにわかります。それは物語の全容がそれ以上でもそれ以下でもない、とてもシンプルな設定で繰り広げられるからでした。観る前はそれが薄っぺらい物語になってしまうのではと心配していたのですが、観終わった今ならわかります。そのシンプルな設定であれだけ見事な作品を作り上げてしまう脚本と監督の手腕には驚かされました。

登場人物も主人公のライアン博士を演じたサンドラ・ブロックとお喋りな宇宙飛行士を演じたジョージ・クルーニーの2人だけというとってもシンブル。もちろん声だけの出演で何人か登場するのですが、基本的には2人だけ。回想シーンや時間軸を入れ替えるなどの場面転換は一切使うことなく、最後まで観客をスクリーンに引き付けます。それはもう見事なワン・シチュエーション劇でした。

点数は★★★★★です。91分という時間をワン・シチュエーションで描き切った脚本と監督は賞賛に値します。さらに極限状態の中での意外な演出にもニヤリとさせられてしまいました。とにかく場面転換がなく、登場人物の会話だけで進められていくお話なので、きちんと会話を聞いて、キャラクター設定や心の動きなどを感じ取る必要があります。

2014年最初の作品がこの作品で本当に良かったと思います。新年の最初から苦言を綴るのは気が重いですからね。

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サンドラ・ブロック,ジョージ・クルーニー
ワーナー・ホーム・ビデオ


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