しんちゃんの徒然なる映画日記

劇場で観た映画の感想を中心に綴っていきます。これからの参考になれば・・・

ラブリーボーン

2010年01月31日 23時33分49秒 | 作品名(ら行)
第170回「それは彼女が旅立つまでのお話です。」

今週はずっと何を観ようか悩んでいました。「ラブリーボーン」に「ゴールデンスランバー」「パラノーマル・アクティビティ」と観たい映画が同時に公開になるという珍しい週末でした。先々週あたりから始めたtwitterで「パラノーマル・アクティビティ」の公式ページからフォローされたりしましたが、私が選んだのは「ラブリーボーン」でした。
「パラノーマル・アクティビティ」は最寄りの映画館では上映していなかったのです。

物語は1973年、奇しくも筆者である私が生まれた年。主人公のスージー・サーモンはごく普通の女の子。両親と妹と弟の5人家族で幸せに暮らしていました。彼女は映画の冒頭で殺されてしまいます。生と死の間の世界に辿り着いた彼女は安らかに眠ることができません。それは彼女を殺した犯人は今も近所で平然と暮らしているからです。

まずはこの映画の評価すべき点、凄惨な事件を直接的に描くのではなく、演出で彼女の死を観客に見せた事。そして生と死の間の世界にいる彼女と生きている家族との接点を蝋燭の火の揺らぎや、ビンの中の帆船など、良くあるファンタジー映画のように直接的にせず、あくまで「もしかしたら近くにいるのかも?」程度の繋がりに留めている事。
あまりに簡単に死んだはずの人間が、現れて自分を殺した犯人を家族に知らせたりするお話はありふれていますからね。
生と死の間の世界は、ティム・バートン監督やテリー・ギリアム監督などが描く幻想的な世界観を思い出させるような演出でうまく描けていたと思います。

評価できない点は、物語の結末が許せなかった事。犯人である彼にはそれ相応の報いを受けてもらわなければならないのに、ああいう結末では簡単すぎるような気がします。
事件の解決を匂わせておいて、結果としてああいう最期では、傷ついた家族は本当に救われたのでしょうか。同じような事件は実際に起こっていて、救われない被害者達がいます。だからこそ、映画でだけは・・・みたいな思いが私の中にありました。

点数は★★★☆☆です。映画の出来としては及第点だったと思いますが、あの結末は個人的にはどうしても納得が出来ません。彼女は安らかに眠ったのかも知れませんが、家族は果たして救われたのでしょうか?

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マーク・ウォールバーグ,レイチェル・ワイズ,スーザン・サランドン,スタンリー・トゥッチ
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サロゲート

2010年01月24日 22時33分18秒 | 作品名(さ行)
第169回「SF映画の名作となり得た作品だったろうに・・・」

今夜の映画「サロゲート」はSF好きな私としては、決して見逃せない作品でした。数ヶ月前に見た予告編からワクワクさせられてしまい、今週は迷わず劇場へ足を運びました。
「近未来」「サロゲート・システム」「謎の事件」などなど、SF&サスペンスの要素を含んだ本作は、SFファンの私を満足させてくれる1本になるだろうと期待していました。

物語は近未来、「サロゲート」と呼ばれる代行ロボットが人口の98%を超える普及を遂げた世界。人々は家から出ることなく、サロゲートを使い、安全に平和に暮らしていた。ところがある事件をきっかけに、サロゲート・システムそのものを揺るがす事件が起ころうとしていた。サロゲートを使い始めてから、犯罪は激減し殺人事件は皆無となった世界で、数年ぶりに殺人事件が起こった。
もし、サロゲートが破壊されるような事故が起こったとしても、操縦者である人間には何の影響もないはずだった。しかし、容疑者はある武器を使いサロゲートを通じて、操縦者までもを殺したのである。FBI捜査官のグリアーは、サロゲートを開発したVSI社と事件とのかかわりを調査するが・・・

映画を観る前の期待の大きさとは裏腹に、観終わった今は残念でなりません。映画を鑑賞中に「お、おしい・・・」と声を上げそうになりました。
物語の主となるプロットは殺人事件なのですが、もう1つのお話として主人公であるグリアーの家族の話が大きく取り上げられています。事故で子供を失った彼ら夫婦は、子供を失って以来、傷ついた心を隠すように常にサロゲートで生活し、お互いの顔すら見ていないという設定で、この夫婦の再生も重要なプロットとして描かれています。
決して、そのプロットが悪いわけではないのですが、かなり重く描かれているのです。もちろん子供の死を軽く描くことはできないのですが、事件と家族の再生と2つのお話を同時に描くには2時間という上映時間では足りないのです。
映画ではうまくまとめていましたが、どちらのお話も解かり難く物足りない印象を受けました。

もう1つ残念だったのは、サロゲート・システムについて。映画の冒頭にこのシステムが普及に至るまでを、開発者のインタビュー風の映像で語られるのですが、その期間が14年とかなり短い。サロゲートというアイテムが人口の98%まで普及しているという事は、今で言う車と同程度の価格で販売されていることが考えられるが、それにしては使うに足るメリットがあまり考えられず、説得力に欠けるところ。

点数は残念ながら★★☆☆☆といったところです。先日観た「アバター」や「アイ・ロボット」に通じるところがある作品でしたので、もう少し脚本を変えれば、SF映画を代表するような1本になったのではないでしょうか。

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かいじゅうたちのいるところ

2010年01月17日 23時31分08秒 | 作品名(か行)
第168回「大人の為のおとぎ話・・・なのかな?」

映画を選ぶ時にいくつかパターンがあります。予告編からホームページなど事前に細かい設定などを詳しく調べてから劇場に行く場合と、テレビのCMなどでおおまかなストーリーだけを頭に入れて余計な情報を入れずに劇場にいく場合。
今夜の映画「かいじゅうたちのいるところ」は後者のパターンに属します。劇場での予告編を観ただけで鑑賞を決めました。全世界で2000万部売れた絵本と聞けば、お話の内容はさておき、映画ファンとしては劇場へ足を運ばなくてはと思っていました。

物語は、反抗期を迎えた9歳のマックスは、思春期の姉と仕事に忙しい母親の3人家族。誰かにかまってほしいがいつも1人で遊んでばかりいた。その寂しさをうまく表現できずに家族とはケンカばかり。ある日、母親が男友達を連れてきたのが面白くないマックスは、母親とケンカをして家を飛び出してしまった。海岸に辿り着いた彼の目の前には小さな船が・・・何かに導かれるように船に乗り海へと漕ぎ出した。どれくらい経っただろう。目の前に島が見えてきた。辿り着いたその島には個性豊かな「かいじゅう」達が暮らしていた。ちょっとした勘違いで彼らの王様となったマックスは、彼らとこの島で暮らし始める。

通常、おとぎ話というのは最後には「末永く幸せに暮らしましたとさ。めでたし、めでたし。」というフレーズがお決まりの終わり方で、見終わった後には心が暖かい気持ちになるのが、素敵なおとぎ話のはずなのですが、この作品はちょっと違いました。

主人公のマックスが抱える心の闇のようなものを、島のかいじゅう達のそれぞれが抱えていて、彼らの行動や言動を見て、マックスが大人になっていくというプロットはわかるのですが、このお話は楽しい時間の後には必ず切ない時間が訪れます。
子供の持つ残酷さであったり、やり場の無い怒りのようなものが、観ていて心に突き刺さりました。これは子供が観ても楽しい作品じゃないぞ・・・。と思ってしまいました。

私は主人公のマックスとよく似た幼少期を過ごしました。だからこそ、この作品が持っている陰の部分が思い切り心に突き刺さってしまい、おとぎ話のはずなのに寂しい気持ちになった作品でした。

点数は★★★★☆です。色々な事を書きましたが、1番大事な人と一緒に鑑賞してみてください。きっと、その人をもっと大事にしようと思える作品だと思います。
個人的にはあまりにもお話の進め方が強引な為に寂しい気持ちだけが残る作品となってしまいました。
きっと立場が違えば、もっといい作品だったんだろうなと思います。

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マイケル・ジャクソン/THIS IS IT

2010年01月10日 23時50分09秒 | 作品名(ま行)
第167回「とても不思議な作品でした。」

2010年最初の映画鑑賞が、この作品になろうとは、なんだか不思議な感じがしています。その作品とは「マイケル・ジャクソン/THIS IS IT」です。
この作品は以前からNさんにオススメされていて、観よう観ようと思いながら、なんとなく乗り気にならないまま、今まで鑑賞せずにいた作品でした。

Nさんの絶賛の声に加えて、Yahoo!の映画ページでも多くの諸手を挙げた高評価を見ていた私は「どうして、そんなに高評価なのだろう?」と疑問に思っていました。日本人という人種は死を美化しすぎる傾向があると思っています。亡くなった人間に国民栄誉賞を贈ったり、すでに亡くなっている画家の作品を高額で購入したりと、まあ日本人に限ったことではありませんか・・・この作品が高評価なのもそのせいだろうと思っていました。

基本的にドキュメンタリーというジャンルの映画をあまり観ないのです。数年前に「ボーリング・フォー・コロンバイン」という作品を観たのが、ドキュメンタリー作品を観た最初で最後だったでしょうか。
ドキュメンタリーというのは、事実を伝えるジャンルですから基本的に終わりというものがないわけです。通常の映画は起承転結があり、一様のエンディングを迎えます。それが映画を評価する重要な基準にもなっているのですが、通常のドキュメンタリーには結末という結末が用意されているとは限りません。そこが私をドキュメンタリー作品から遠ざけている理由でもありました。

この作品は、昨年6月に亡くなったマイケル・ジャクソンが7月に行なう予定だったイギリスでのコンサートのリハーサル風景を納めたドキュメンタリー作品です。この作品を観る前は「リハーサル風景なんて映画にして、面白いわけないじゃないか。」と思っていました。
ところが始まった作品から流れてくる曲の数々は、私の心を捕らえました。熱烈なファンではないのに、これだけ楽曲を知っている外国のアーティストはかなり珍しいのではないでしょうか。特に「スムーズ・クリミナル」「スリラー」のコンサート用に新たに作られた映像は素晴らしい出来でした。
リハーサル風景を見せられているのに、2時間があっという間に過ぎて行きました。

私は彼が黒人である事を否定した時期から、ちょっと彼のことを嫌いになっていました。しかし、この映画を観て、ジャクソン5時代の歌を唄う彼の姿をみて、彼のエンターテイナーとしての姿勢に感銘を受けました。

彼は私の誕生日に亡くなりました。(日本時間)おそらく毎年、誕生日には思い出すでしょう。
しかし、私は思いました。彼はエルビスやマリリン・モンローのように自分の星に帰ったのでしょう。そんな事を考えながら映画を観ていました。

映画としての評価は★★★★☆です。私が語るまでもなく、彼のファンは必見です。彼のファンでなくても観れば、改めて彼の偉大さを確認することになるでしょう。

心よりご冥福をお祈り致します。

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