第269回「残念ながらLOTRにはなれませんでした。」
皆さんも小さい頃から多くのおとぎ話を耳にしてきたことでしょう。桃太郎や浦島太郎、シンデレラや赤ずきん等々、数え上げればキリがありませんがそんな中でも人気の高い「白雪姫」を斬新なアプローチで実写映画化した作品「スノーホワイト」を観てきました。単純に実写化しただけではおそらく観なかったと思いますが、予告編などを観る限りではおとぎ話の「白雪姫」の枠を飛び出して、ファンタジー色の強い作品になっているように思えたので、楽しみにしながら映画館に足を運びました。
昔々、あるところに民に慕われた偉大な王と可憐で美しい王妃が治める平和な国がありました。その2人にはそれは可愛らしい一人娘の「スノーホワイト」がいました。ところが病弱だった王妃は彼女が生まれてほどなくして死んでしまいました。悲しみに暮れる王とスノーホワイト。さらに追い打ちをかけるように現れた闇の軍勢による攻撃。王は総力を挙げて闇の軍勢を倒すことに成功し平和が訪れたように見えた。ところがそれは罠だった。
闇の軍勢に囚われていた美しい女性ラヴェンナ。彼女を助けた王はその美しさに魅了され妻として迎え入れることにする。新たに王妃となったラヴェンナだったが、その日のうちに王を殺害。城の門を開け闇の軍勢を招き入れる。彼女は初めから国を乗っ取るつもりで潜り込んだのだった。次々と殺される人々、逃げ惑うスノーホワイトも捕えられ、城の牢獄に幽閉されてしまう。それから数年が経ち、美しく成長したスノーホワイトだったが、ラヴェンナの若さを保つ為に生贄になろうとしていた。
まずは私が覚えている限りの「白雪姫」のお話を思い出してみました。魔法の鏡で自分の美しさに執着する女王。ある時、森の奥に七人の小人と暮らす白雪姫が女王よりも美しいと言われ激怒。りんご売りの老婆に化けて白雪姫に毒入りのリンゴを食べさせ殺害。白雪姫の亡骸の前で悲しむ小人達。偶然通りかかった王子が白雪姫に恋をし、キスをすると目覚める白雪姫。2人は幸せに暮らしましたとさ。めでたし、めでたし。
あれ?こんな話だったっけ?色んなところが欠落しているんじゃないか?とまあ、私の覚えている限りの「白雪姫」はこの程度です。だからこそ、その欠落した部分をファンタジー色を強めた、ジャンヌ・ダルクばりに力強いスノーホワイトの活躍を楽しみにしていました。
ところが、結果は残念ながらファンタジー作品の傑作「ロード・オブ・ザ・リング」の足元にも及びませんでした。その原因は脚本にあると私は思います。登場人物の数やキャラクターの種類。俳優さん達の演技や衣装・VFXなどは素晴らしかったと思います。スノーホワイトを演じたクリステン・スチュワートも可憐な中にも芯の強さを秘めた素敵な白雪姫を演じていたし、悪の女王ラヴェンナを演じたシャーリーズ・セロンはその狂気を秘めた美しき女王を見事に演じてくれました。さすがオスカー女優だと思います。この作品には欠かすことの出来ない「七人の小人」もなかなかいいキャラクター揃いで好感が持てました。
では脚本のどこが悪いのか?まずはスノーホワイトが子供の頃から牢獄に幽閉されていたというところ。女王は目障りならばすぐに殺せばよかったのに。わざわざ大きくなって美しく成長して鏡に「危険だ」と言われてからというのは、あまりにも無理がある。だったら「プリンセス・トヨトミ」のように逃げ延びたスノーホワイトが平民に紛れて隠れ住んでいて、美しく成長した為に鏡に発見されてしまう・・・みたいなほうが自然だったのでは?そうすることで映画前半の城から逃げ出すプロットが無くなり、とっても魅力的だった「七人の小人」とのエピソードや、スノーホワイトが生まれ持つ特殊な能力の件などをもっと深く描くことができ、面白くなったと思います。
点数は★★★☆☆です。せっかく「リアル白雪姫」とでもいうべき作りにして、妖精やトロール、小人(ホビット)を登場させLOTRとなれそうな要素は持ち合わせていたのに、残念ながらそれを生かせずに、色んなことが駆け足で過ぎてしまい、感情移入が出来ずに終わってしまいました。
それにしてもどうして「白雪姫」を題材にした映画なのにウォルト・ディズニーではなくユニバーサルが制作しているのでしょう?ちょっと残念な作品だっただけに、もしディズニーが制作していたら・・・なんて余計な勘繰りをしてしまいます。
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皆さんも小さい頃から多くのおとぎ話を耳にしてきたことでしょう。桃太郎や浦島太郎、シンデレラや赤ずきん等々、数え上げればキリがありませんがそんな中でも人気の高い「白雪姫」を斬新なアプローチで実写映画化した作品「スノーホワイト」を観てきました。単純に実写化しただけではおそらく観なかったと思いますが、予告編などを観る限りではおとぎ話の「白雪姫」の枠を飛び出して、ファンタジー色の強い作品になっているように思えたので、楽しみにしながら映画館に足を運びました。
昔々、あるところに民に慕われた偉大な王と可憐で美しい王妃が治める平和な国がありました。その2人にはそれは可愛らしい一人娘の「スノーホワイト」がいました。ところが病弱だった王妃は彼女が生まれてほどなくして死んでしまいました。悲しみに暮れる王とスノーホワイト。さらに追い打ちをかけるように現れた闇の軍勢による攻撃。王は総力を挙げて闇の軍勢を倒すことに成功し平和が訪れたように見えた。ところがそれは罠だった。
闇の軍勢に囚われていた美しい女性ラヴェンナ。彼女を助けた王はその美しさに魅了され妻として迎え入れることにする。新たに王妃となったラヴェンナだったが、その日のうちに王を殺害。城の門を開け闇の軍勢を招き入れる。彼女は初めから国を乗っ取るつもりで潜り込んだのだった。次々と殺される人々、逃げ惑うスノーホワイトも捕えられ、城の牢獄に幽閉されてしまう。それから数年が経ち、美しく成長したスノーホワイトだったが、ラヴェンナの若さを保つ為に生贄になろうとしていた。
まずは私が覚えている限りの「白雪姫」のお話を思い出してみました。魔法の鏡で自分の美しさに執着する女王。ある時、森の奥に七人の小人と暮らす白雪姫が女王よりも美しいと言われ激怒。りんご売りの老婆に化けて白雪姫に毒入りのリンゴを食べさせ殺害。白雪姫の亡骸の前で悲しむ小人達。偶然通りかかった王子が白雪姫に恋をし、キスをすると目覚める白雪姫。2人は幸せに暮らしましたとさ。めでたし、めでたし。
あれ?こんな話だったっけ?色んなところが欠落しているんじゃないか?とまあ、私の覚えている限りの「白雪姫」はこの程度です。だからこそ、その欠落した部分をファンタジー色を強めた、ジャンヌ・ダルクばりに力強いスノーホワイトの活躍を楽しみにしていました。
ところが、結果は残念ながらファンタジー作品の傑作「ロード・オブ・ザ・リング」の足元にも及びませんでした。その原因は脚本にあると私は思います。登場人物の数やキャラクターの種類。俳優さん達の演技や衣装・VFXなどは素晴らしかったと思います。スノーホワイトを演じたクリステン・スチュワートも可憐な中にも芯の強さを秘めた素敵な白雪姫を演じていたし、悪の女王ラヴェンナを演じたシャーリーズ・セロンはその狂気を秘めた美しき女王を見事に演じてくれました。さすがオスカー女優だと思います。この作品には欠かすことの出来ない「七人の小人」もなかなかいいキャラクター揃いで好感が持てました。
では脚本のどこが悪いのか?まずはスノーホワイトが子供の頃から牢獄に幽閉されていたというところ。女王は目障りならばすぐに殺せばよかったのに。わざわざ大きくなって美しく成長して鏡に「危険だ」と言われてからというのは、あまりにも無理がある。だったら「プリンセス・トヨトミ」のように逃げ延びたスノーホワイトが平民に紛れて隠れ住んでいて、美しく成長した為に鏡に発見されてしまう・・・みたいなほうが自然だったのでは?そうすることで映画前半の城から逃げ出すプロットが無くなり、とっても魅力的だった「七人の小人」とのエピソードや、スノーホワイトが生まれ持つ特殊な能力の件などをもっと深く描くことができ、面白くなったと思います。
点数は★★★☆☆です。せっかく「リアル白雪姫」とでもいうべき作りにして、妖精やトロール、小人(ホビット)を登場させLOTRとなれそうな要素は持ち合わせていたのに、残念ながらそれを生かせずに、色んなことが駆け足で過ぎてしまい、感情移入が出来ずに終わってしまいました。
それにしてもどうして「白雪姫」を題材にした映画なのにウォルト・ディズニーではなくユニバーサルが制作しているのでしょう?ちょっと残念な作品だっただけに、もしディズニーが制作していたら・・・なんて余計な勘繰りをしてしまいます。
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