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iPhoneアプリ開発者のSHIKIBUさんが、歴史・文化・オカルトその他の雑学をいろいろ呟きます

スマートフォンは「子供の学力を低下させる」と言う報道はどこまで真実なのか?

2017-07-03 19:12:36 | 気になるニュースに二言三言

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  iPhone用ゲームアプリ(iOS6.0以上)

(担当S)

 

 まず初め断っておきますが、私はiPhoneアプリの開発に携わっている人間でありながらスマートフォン(と携帯電話も)に対しては、かなり否定的な意見をもってます。
 それがどれ位、否定的なのかについてはこちらの記事を見てもらえれば分かると思います。
 しかしスマートフォンを子供に与えたら「脳に悪影響を及ぼして、子供が馬鹿になるんだ!だから学力が低下するんだ!」と言う話には、正直ついてゆけません。
 ついてゆけないだけでなく、そう言う事を言っている人を見かけると「ハッ!?(この人、大丈夫か…汗)」と思ったりもします。
 何故なら、そう言う話には科学的根拠がなく、そればかりか場合によっては子供の教育に対して有害な情報も混ざっているからです。
 子供にゲームをさせると頭が悪くなる所謂「ゲーム脳」と言う話は、だいぶ以前から長い事まことしやかに囁かれていますが、この話は一体どこまでが本当なんでしょうか?
 まず、この「ゲーム脳」と言う話が本当なのか嘘なのかについて話を始めますが、結論を先に言うと「ゲーム脳」については、現在ではほぼ完全に否定されています。
 子供にゲームをやらせる事によって、かえって脳が活性化すると言う(「ゲーム脳」とは全く逆の)研究結果も発表されていますので、「ゲーム脳」で子供が馬鹿になると言う話は眉に唾をつけまくって聞く必要があるでしょう。
 ですが、ゲームばっかりをやってると学力が低下すると言う統計データーが実際にあるようなので、「ゲーム脳」の話をそう簡単には否定できないようにも思われます。
 その道の専門家がこう言う統計データーを元に『統計分析した結果「ゲーム脳」は事実なんだ!』なんて事を言い出すと「やっぱり本当なのかなぁ…」と感じてしまう人は大勢いるでしょうし(だからこそ、この怪しげな「ゲーム脳」と言う話が広く信じられるようになったのでしょうけど…)、何の根拠もなく専門家がこう言う事をいいだすとは、普通は考えられません。
 しかし、この「統計分析」と言う言葉こそが実は大きな誤解を生み出す元凶であり、医学などの専門家であっても統計学を正しく理解していない人が安易に行った「統計分析」には全く何の価値もありません。
 以下は私が昔読んだ統計学の教科書的な本に乗っていた実話(うろ覚え)を元に再構成した話なんですが、この話を読んだら間違った「統計分析」には、どうして何の価値が無いか分かって頂けると思います。
 
 アメリカのM州のH大学のS教授が行った、大学生5000人を対象にした研究によると「喫煙は大学生の脳に対して非常に有害」だという事である。
 統計学的に分析した結果、喫煙している学生は喫煙していない学生と比べて、明らかに学力が劣ると言う事が判明した。
 S教授は非常に高名な病理学者であり、統計データーも信頼の置ける機関で精査したが間違いがなかったので、発表当時この研究成果はとても正しいものだと思われていた。
 ところが、この研究について追跡調査を行ったところ、喫煙している学生の大半が良からぬ仲間とつるんで勉学そっちのけで遊び呆けており、その多くの”不良”大学生が喫煙も良からぬ仲間から教えてもらった事が判明した。
 ここで私は断言しなければならないだろう。「喫煙が大学生の脳に対して非常に有害」と言うのは間違いで、単に生活態度が悪い(当然、勉強もしていない)学生の大半が、偶然にも喫煙をしていただけに過ぎないのだと。
 
 とまぁ、こう言う話です(汗)。
 この話でS教授がどうして間違った結論を導き出してしまったのかと言うと、S教授は「結果」と「原因」をあべこべに解釈してしまったからです。
 S教授は「喫煙が”原因”で学力が落ちているのだろう」と睨んで研究を行った訳ですが、実際は「勉強もせず良からぬ仲間とつるみ遊び呆けた”結果”、喫煙まで覚えてしまった」と言うのが真相なので、S教授は研究の最初の出発点から既に間違っていた事になります。
 この様に、いかに優秀な学者が非常に信頼の置ける統計データーを用いて研究を行ったとしても、最初の出発点が間違っていれば当然、間違った結論を導きだしてしまいます。
 「統計分析」と言う言葉には、間違った結論をあたかも正しい事かの様に印象付ける魔法の様な効果があるので、注意が必要です。
 「ゲーム脳」学説はゲームは子供の脳に有害(※1)だと断じていますが、なんだかこのS教授の話と似ていると思いませんか?(笑)。
 ※1、ゲームが子供の脳に有害と言う研究については、その研究手法についても多くの専門家から問題点を指摘されており、統計分析だけが間違っていると言う訳ではありません。
 ここで断言しますが、ゲームのやりすぎで子供たちの学力が低下したのは、ゲームが脳に悪い作用をしたからではなくて、単に勉強もせずにゲームばっかりをやってたから学力が低下しただけなのです。
 これと全く同じ事は『スマートフォンは「子供の学力を低下させる」』と言う話にも、そっくり当てはまります。
 勉強もせずにスマホでSNSやゲームばかりをやってたら、そりゃ当然、学力も下がります。
 問題の本質は、スマホやゲームが子供の脳に悪影響を与えているという眉唾な話なんかよりも、保護者の子供に対する教育態度にあるはずです。
 勉強そっちのけで自分の子供がスマホのゲームばっかりをやってたら「あんた、ええ加減にしなさい!」と叱り付けるか、場合によってはスマホを取り上げるくらいの事を保護者はやらなければなりません。
 しかし『スマートフォンは「子供の学力を低下させる」』と言う報道は大抵「スマートフォンは子供の柔軟な脳に悪影響を及ぼすんだ!」なんて言うトンデモ理論を展開してますから、人によってはそのトンデモ理論を変な風に解釈して「自分の子供からスマートフォンを取り上げて、子供を退屈させない為の何か別のモノを与えたらいんだ!」なんて言うかなりズレた行動を取ってしまうかもしれません(かなりのレアケースでしょうけど、そう言うズレた行動を取る親はこの世の何処かに必ずいます)。
 その「何か別のモノ」が漢字ドリルとか計算ドリルとかだったらいいんですけど、ニンテンドーSwitchとかだったら目も当てられません。
 元々スマホのゲームのやりすぎで勉強をしてないから学力が落ちているのに、スマホの代わりにニンテンドーSwitchを買い与えたところで、それによって学力が回復するはずがなく、ますます学力が低下する結果を招くでしょう。
 これとは全く逆に、スマホが子供の脳に悪影響を与えると言う話を真に受けすぎて、スマホどころかニンテンドーSwitchその他のデジタルデバイス機器すべてを禁止にする親がいるかもしれません(こう言う親は結構沢山いると思います)。
 それは流石に子供が可哀想ですし、小学生ぐらいの年齢の子供たちの話題の中心はゲームかテレビアニメなので、そう言う話題にその子がついてゆけなくなる可能性もあります。
 学力が落ちない程度なら、子供がゲームをやるのは全然問題の無い事だと私自身は思っています。
 他所の家の教育方針に他人である私が口を挟んだりはできませんけども、『スマートフォンは「子供の学力を低下させる」』と言う話を変な風に解釈をしたり、あるいは真に受けすぎて、子供に対する教育方針を立てるのは賢明な事だとはいえないでしょう。
  
 
 
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 5月1日よりAppStoreから配信となりました、カラフルなサイコロが印象的なアクションパズルゲーム「ダイスポップ」。
 ゲームのジャンル的には落ちもの系ゲーム(いわゆる、落ちげー)になります。
 指一本で遊べるとても簡単な操作性ながら、ぷよぷよの様な「連鎖反応消し」等のテクニックも使えます。
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2 コメント

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スマホ依存 (じおこんふり〜く)
2017-06-25 11:16:30
 以前、スマホ依存の高校生の一日のドキュメントを見たことがあるのですが、スマホ依存というよりも、何事にも受け身の行動のほうが問題があるように思えました。
 スマホはツールであり、使い方次第で生活をより良くしてくれる「道具」です。
 人間は道具を使う数少ない動物の一つです。
 新しい道具を使うと馬鹿になる。
 ではなく、新しい道具をどう使えば賢くなるかを考えたほうが建設的だと思います。
やっぱり今の子供達意思脆弱 (大戸誠修)
2017-12-25 19:04:52
ゲームに夢中で学校の宿題もしない゜親に叱られてもやめない。ゲーム時間って中々守れない。ゲームが悪ではなく帰宅後一日の復習や活字読まない文章力のなさが問題!子供は自己コントロール出来ない事が親にとって悩みのタネなんです。いい解決法があれば世間はゲームが悪とは言いません。確実に学力低下している現実は子供の減少と高齢化社会によって国の経済衰退を危惧しているのです。体を使って遊ばない筋力の低下も見逃せません゜開発者の方々売れるものを売るばかりではなく国力は子供達にかかっていると理解して頂けませんか

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