労働者のこだま(国内政治)

政治・経済問題を扱っています。筆者は主に横井邦彦です。

闘い方が悪かったのかも?

2006-11-20 01:33:36 | 政治
 注目の沖縄県知事選挙が終わった。
 
 結果はわれわれの予測に反して、野党候補が敗退した。
 
 久しぶりに民主、社民、共産の野党統一候補での選挙をやり、それで負けたのだから、なぜ負けたのかという総括はきちんとする必要があるし、われわれ赤星マルクス研究会にしてもこの選挙は野党候補が勝つと予測していたのであったのだから、なぜ予測通りにはいかなかったのかをきちんと説明する義務がある。
 
 われわれの失敗としてはこの選挙を単に党派闘争としてのみ見ていたことである。
 
 しかし、自民党は最初から、この選挙を党派闘争として闘うつもりはなかった。(もちろん、無党派主義自体が一つの党派主義であることはいうまでもないことだが、)
 
 そしてこれがこの選挙の一つの勝敗の分かれ目になっていた。
 
 つまり、党派闘争として知事選を闘おうとした野党と党派闘争として闘うつもりのない与党の知事選に対する態度の差が、選挙結果となって現れたのである。
 
 大票田である那覇市の有権者たちは、横暴な安倍晋三ファシスト政権反対、教育基本法の強行採決反対、米軍基地の再編反対、といった政治的なテーマではなく、沖縄における失業率の高さの改善、沈滞する地域経済の立て直し、産業誘致といった現実的なテーマで投票する候補者を選定したのである。
 
 もちろん与党候補者の産業誘致やら、地域経済立て直しによる雇用状況の改善といったものが、どの程度現実的なものであるのかははなはだ疑問なのだが、少なくとも沖縄の都市部の有権者たちがそのような主張をする候補に投票しようという誘惑にかられたことは、総じて、彼らの雇用状況、生活状況が劣悪であり、政治によって何とかしてほしいという願いのあらわれであった。
 
 つまり「背に腹は代えられない」という情況を野党候補が打ち破れなかったのだが、今回の選挙を見るかぎり、「打ち破れなかった」というよりも、むしろ、打ち破る方策自体を野党候補は採用しえなかったというべきであろう。
 
 実際、相手候補に抵抗して、野党候補者が私も工業団地を造って雇用促進をやります、などといえば、沖縄の自然を守れ、乱開発反対という意見が仲間うちからでてくるであろうし、逆に、資本主義の矛盾を改良政策によって解決しようとすること自体が幻想だなどといえば、選挙協力の解消を求める政党が続出するであろう。(もっとも「資本主義の矛盾を改良政策によって解決しようとすること自体が幻想だ」などという党派はわれわれ赤星マルクス研究会だけで、われわれが選挙に参加するなら、迷うことなく野党統一候補の側ではなく、「諸派その2」の道を選択したであろう。)
 
 そういう点からするなら、今回の沖縄選挙は、地方自治体の首長を選ぶ選挙を国政選挙のように党派闘争そのものとして闘うことはどうなのか?また野党の「統一戦線」のあり方はどうあるべきか?という、今後の選挙闘争のあり方を考える上で有意義な闘いであったと思う。もちろん有意義といえるためには「負けた軍隊はよく学ぶ」という鉄則を生かさなければならないのはいうまでもないことであろう。
 
 そして、安倍晋三ファシスト政権との「政治決戦」が回避され、先延ばしにされたことは、参議院選挙を安倍晋三政権の墓場にしてやろうというわれわれの基本的な戦略にいささかの変更もない。
 
 むしろここで自民党内で安倍晋三政権の指導力に「?」マークがつくことによって、自民党内がゴタゴタするよりも、安倍晋三政権が無傷のまま参議院選挙に突入する方が自民党の痛手は大きいのだからわれわれとしては歓迎すべきことである。