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壊れたニッポンを治す為の処方箋#3:青森市でのコンパクトシティー化失敗について

2024年05月06日 10時22分05秒 | 社会全般
4月22日に「コンパクトシティー青森市の失敗」と云うタイトルのネット記事を見た。コンパクトシティーについては失敗例しか聞かないが、記事の最後に書かれている「中心部の活性化に編重し、郊外の土地利用規制が不十分だった…」がその失敗理由であろう。

この記事には続きがあり、「土地利用規制はハードルが高く、行政は『街の賑わい創出』という聞こえが良いところから入ったが、結局規制ができなかったため、需要は郊外に流れてしまった」。続いて、「2014年には、自治体が住宅地や商業地を誘導するような『立地適正化計画』を作れば、国が補助金などで後押しする制度ができた。」とある。答えは正にこれであろう。箱モノ行政と同じで、何かを作れば、市民がそれに賛同してくれると勘違いしている事が問題である。

そもそも、行政に携わる人達が、理念や哲学を持ち合わせていない事が、そして市民が考えている事を理解しようとしない事が、コンパクトシティー失敗の原因である。

大元の問題は、コンパクトシティーを叫ぶ前に、街が郊外に無制限に開発してきた事である。これは地方行政単独の問題ではなく、日本人、そして日本人が行っている政治の問題であり、彼ら政治家が理念や哲学を持っていない事が問題の元凶であろう。

国家としての理念や哲学を持っていれば、田畑の無秩序な宅地や商業施設、そして工場への転換は行わさせない。限りある土地を有効活用する為には、今の田畑の中に虫食い状態の様な土地の活用(宅地や商業施設)は行わず、出来る限り集約させる。そういった意味では、工業団地の造成は悪くはない開発である。

それから、ちゃんとした理念や哲学を持っている人は、食料自給の重要性を分かっている。なので、たとえ工業団地であっても、田畑として一等地を潰しての工業団地の造成をさせる事はしない。工業団地を造成する際は、田畑としてあまり良くない所や山林を活用して開発すべきであろう。

工業団地が郊外にできれば、自ずと住宅も郊外に移る。特に家庭を持つと、庭付きの一軒家が欲しくなるが、町中では土地の値段が高い為、どうしても郊外に人は流れていく。そうなると、商業施設も郊外に移ると云う事は必然であろう。これが”コンパクトシティー”として町をコンパクトに保つ事の難しさであろう。

ちゃんとした理念や哲学を持っている人であれば、都市計画、または街作りの在り方を考え、無秩序な開発はさせない。西洋諸国の街並みはそうであり、また江戸時代の城下町でも都市計画がなされていたハズである。

昔、ヨーロッパから来た人に云われたのだが、日本の街並は、Organized Chaosだと…。無秩序的に各自が勝手に開発しているが、それ程悪くはないと云った意味であろう。

今までは、”職”、”住”に関連する街づくりが検討されてきてはいるが、最近はこれ以外に、”商”、そして”游”も含めて考える様になって来た。そしてこれら4個の項目では不十分で、”農”と”景(景観)”と云う二つのキーワードも含める必要がある。

大都市では、あくまで”職住商游”のみが検討対象であるが、”農”と”景観”を考える必要はあまりないだろう。昔は銀座、新宿そして渋谷などの山手線沿線の主要地域が商業の中心であったが、平成以降は立川、八王子、双子多摩川などの郊外にも商業施設が沢山できている。そういった意味で、”職住商游”を意識した街づくりが進んでいる。しかし地方では”農”と”景”も考える必要があるのだが、今まで誰もこれら6個のキーワードでの都市開発、または地域開発を行ってこなかった事が問題である。

今後は、これら”職住商游”、そして”農”と”景観”の6個のキーワードを意識した”コンパクトシティー”となる街づくりを行う事で、町の中心に活気がある街づくりを意識して欲しい。
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