業務&ITコンサルタントのひとり言

コンサルティング活動を通じて感じることを勝手気ままに記載

人事管理と給与体系のあり方(3):社員教育の重要性

2010年08月30日 08時28分33秒 | 日記
欧米を中心とする文化で働いている人と接する機会が多いと、日本人との違いが沢山見えてくる。国によって、多少の違いはあるが、日本人は特別海外の人達とは違うように感じる。それで、日本人にあった対応を人事管理として施す必要がある。

欧米人との主な違いとして以下がある。
①欧米系の人は必要な知識・技術は自ら学ぶが、日本人は教えないと学ばない。 → 社内教育が必要
②日本人の特徴として、世代を超えた人との会話が下手(年上、年下を強く意識している)。 → 結果、年下が年上をマネージメントできない。
③日本人は中々自分の意見を言わない。 → コミュニケーションが下手。
④マネージャー(管理者)として取るべき態度や振る舞い、部下への話し方・会話のし方などに、様々な課題がある。 → コミュニケーションが下手。
⑤欧米では職務に対して雇用があるが、日本では雇用が先で、その後に曖昧な職務が決まる。

上記①については、日本の教育の在り方も影響しているのだろうか。上を目指そうとしている人達を比較すると、欧米人の方がはるかに自分で新しい技術や知識を身につけようとしている。特に、コンサルティング業界においてはそれが堅調に見られる。なので日本人に対しては、教育制度などのOff-JTのみならず、On-JTでの教育または技術・知識の転移が大変重要になる。欧米人はOff-JTの機会を与えることで伸びて行くが、日本人にはOn-JTが必要なのである。その場合、やはり社員には長く勤めてもらった方が良いのである。

上記②も大きな課題である。欧米では10代の若者が、大人と大人の会話ができるのである。勿論、大人が多少手加減をして会話しているが、世代間のギャップは日本のそれよりははるかに少ない。そして③日本人は中々自分の意見を言わないのである。仲間内では会話が弾むが、会議では一部の声の大きい人だけが喋っている状態が多い。そして④日本の管理者の中には横柄な態度をとる人が多い。

欧米の社会では率先して意見を述べるので、マネージャは意見を吸い上げた後、まとめることを行えばよく、聞く態度と纏める力、そして決断力があればOKなのである。そして一流企業では、部下との会話のし方や聞く態度などのあるべき姿を教育している。反面、日本の場合は相手の意見を引出したり、自分自身の考えを相手に伝えるコミュニケーション能力が大変重要になってきている。しかし、これについてはまだ共通的な認識がされていないのではないだろうか。そして⑤の問題がある。自分がやりたい仕事に就けず、心を開かない社員も多くいる為、社内でのコミュニケーションを難しくしている。

これらの課題を解決する為には様々な教育が必要になってくる。中小企業では社内でまかなうことは出来ず、社外の教育機関の支援を受けるひつようがあるだろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

人事管理と給与体系のあり方(2):人事考課と給与体系のあるべき姿

2010年08月26日 10時13分16秒 | 日記
給与として含めるべき項目として、以下が考えられる。
・年齢を考慮した給与
・勤続年数を考慮した給与
・能力を反映した給与
・役割、役職を反映した給与

ボーナスのあり方:
・企業の業績
・所属する部門の業績
・個人の査定
これ以外に顧客満足を考慮している企業も多いが、この調査を行うにはそれなりのコストが掛かることを理解する必要がある。

上記をみると、「昔と同じではないか」と思ってしまうであろう。その通りで、基本的にはあまり変える必要はない。違いはまず第一に、年齢や勤続年数を考慮する年数と対応する金額を少なくすることである。例えば、40歳以上であれば、年齢を考慮した給与の上昇は無く、同じにするとか。そして第二に一番重要な事として、個人の能力がある人が昇進し易い組織・文化の構築にある。日本の従来型の雇用体系では給与体系に問題があったのではなく、昇進のありかたや若い人のやりがいを阻害していた仕組みにある。この”阻害”を作っていた社内の仕組みや文化を取り除くことをすることが一番重要なのである。

余談になるが、やりがいを阻害している原因の一つに、組織階層の深さにある。組織体系をフラットにしすることで、無駄な業務を削減できる可能性がある。また、業務の遂行方法にも無駄が多く、無駄な作業を新入社員に押し付けている場合もあるのではないだろうか。その無駄の作業を押し付けられることで、会社勤めが嫌になる新入社員も多いのではないだろうか。その為にも、業務の整理整頓(改革・改善)や、役割の明確化などを行っておく必要がある。

これも余談になるが、社員の”能力”の評価・設定や”個人の査定”をすることは大変難しい作業である、これについては各企業にて思考錯誤を続けているのであろう。ただ、基本的な考え方は、①企業が必要とする技能を明確にし、②管理者であればその人間像を明確にする、ことではないだろうか。その上で、複数の人間にて多面的に評価することが肝要である。また、海外ではマネージャ向けのトレーニングも盛んにおこなわれており、マネージャとしての部下との話し方などをシッカリ教育している。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

人事管理と給与体系のあり方(1):日本企業の給与体系の課題

2010年08月17日 08時24分30秒 | 日記
戦後長い間、日本の企業は年功序列の給与体系であった。その為、それほど努力をしなくても給与が上がっていた傾向があり、能力が伴わなくても組織上の立場が年齢と共に上がっていった。反面、欧米系の企業では、能力があれば若い時期から管理職に就くケースが多く、若者にとって”やりがい”を感じやすい傾向にあった。その為日本の企業でも、アングロサクソン系の国の多くの企業が採用している"成果主義的"な給与体系を導入した企業が多く出てきた。しかし、この成果主義的な給与体系に多くの欠点があり、最近は成果主義的な考え方を改めている企業も多い。がしかし、昔の年功序列には戻っていないのではないだろうか。そして、正社員の給与をある一定以上に保つ為に、低賃金の雇用を非正規社員として確保している傾向にある。

成果主義の導入に失敗した原因はいくつかあるが、まず一番に云えるのが、企業や社会の制度は、その国の文化に則っている、または人々の考え方を考慮した仕組みである必要がある。イギリスやアメリカ以外の欧米でさえ、アングロサクソン的なドライな成果主義に抵抗を感じているのに、日本人または日本の社会にそれが合うはずがない。これは、成果主義の導入を推し進めたコンサルタントの失態ではないだろうか。

また細かい話になるが、成果主義で仕事の内容を評価する前に、その仕事の内容を示した「職務定義(Job Description)」が必要で、そしてその職務を遂行する為に求められる基礎能力である「経験(Job Requirement)」の定義も必要である。外資系の日本法人でもこの定義が曖昧な中、純粋な日本の企業にこれらの明確な定義をしいるところは殆どないであろう(注:パートやアルバイトを多用している企業では明確になっている場合も多い)。仕事の内容も定義せず、その結果を評価する手段をつくることが出来ない為、その代わりとして社員個人に目標を設定させ、その目標に対する結果で評価している状態であった。要するに、公平な評価基準を持つことが出来なかったのである。

ではどうすべきだろうか。大きく分けて、二つの課題がある。一つは新しい日本的な給与体系の構築である。それは昔ながらの年功序列と欧米的な成果主義を旨く融合すればよいのではないだろうか。もう一つは非正規社員の待遇改善にある。これは政治的な判断も必要になるが、今回のテーマの最後に記載する。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中小企業へのアドバイスⅡ:原価管理の落とし穴(個別原価計算のみでは不十分)

2010年08月05日 07時51分36秒 | 日記
原価管理をシッカリ行えていたとしても、継続的に収益を上げることが大変難しいことである。個別の受注や製品に関して利益が出ていたとしても、企業が利益を出せるとは限らないからである。例えば5000の材料を使い、時間単価1000円の設備を10時間活用し、時間単価が2000円の作業者が10時間その設備で作業をした場合、コストは5000+10000+20000=35000である。そしてこの製品の受注金額が50000だとすると、この受注では15000円の利益が出たことになる。そして設備や人員がほぼフル稼働できる程の受注があれば、この企業は利益をだすことが出来る。しかし、この製品の受注が月に数個しかなく、設備や人員の稼働率が低ければ赤字になってしまう。

ここでは個別の原価管理が不要だといっている訳ではない。それは大変重要なことである。しかし、それだけでは不十分で、日々の収益管理も行っていく必要がある。その為に、日々発生しているコストも把握する必要がある。

一般的な企業では、各部や各組織単位で毎月売上目標を立て、その進捗状況を見ている。達成できれば良しとし、達成できなかった場合には、次の月に頑張る方策を考えている。しかし、仮に売上額が達成できたとしても、利益を上げられたかどうかは解っていないケースが多い。勿論、会社単位では、月次の締処理を行う事で、収益の状況は確認できる。
また、損益分岐点を把握することで、損益分岐点以下の売上のときは赤字と判断する方法もあるであろう。しかし、損益分岐点では売上とコストの比率が常に一定の場合の計画立案に有効なので、実績ベースでの収益確認では有効ではない。

そこで必要になるのが、売上の目標や実績の把握のみならず、コストに関しても目標や実績の把握である。そして受注や売上の数値とコストの数値を比較できると、企業の経営状況が良く把握できる。細かく見ている企業では、労務費や調達費などを細分化して推移をチェックしている。そしてそれらの情報と売上(受注)額と比較して、会社の経営状況の確認と問題点の早期発見に努めている。このように、原価計算のみならず、収益の管理をシッカリ行えている企業は継続的な収益を上げられているのではないだろうか。

実施方法の一例として、製造部門を一つの会社組織に見立て、製造部門での収益管理を行ってもよいのではないだろうか。そうすると、会社全体のみならず、製造部門としての経営状況がより鮮明に把握できる。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中小企業へのアドバイスⅡ(1):原価管理の実施

2010年08月02日 07時39分50秒 | 日記
中小企業のみならず、大企業においても原価管理をシッカリ行えていない企業が多い。
そして原価管理をシッカリ行えている企業は経営基盤もシッカリしている。
これはほぼ共通しているようだ。
すなわち、シッカリとした原価管理を行っていない企業は業績が不安定で、景気に大きく左右している傾向にある。それほど原価管理の実施は重要である。

製造業のみならず、サービス業においても原価管理は重要である。そしてその手法は製造業と殆ど同じにできるのである。
単純に云うと原価は以下に大別できる。
・原材料費(仕入)
・労務費(製造)
・製造関連経費(原価償却費、電気代、その他費用)
・販売管理費(販売経費)
製造業と非製造業との違いは、社内加工に費やした費用があるかどうかだけの違いだけだ。なので、原価管理のやり方は殆ど同じである。

殆どの企業では、ある程度の予定原価は計算しているであろう。レストランであっても、材料費や調理費と人件費などを計算して、売価を設定している。または売価を先に決め、それを実現する為の食材の調達や調理のし方、そして人件費を計算している。しかし問題は実際にどれだけの費用が掛かったかを計算している中小企業は結構少ないのである。(大企業では当たり前に行われているが)
実際の原価を把握していない、すなわち実際にどれだけのコストが掛かったのかを見ていない主な理由は、実際に掛かった時間(製品別の労務時間は設備使用時間、など)を収集していないことが多いからである。また実際に実績時間を収集していても、その収集している時間の精度が低かったり、原価計算自体がかなり面倒な作業なので、企業で定義している計算式に問題があるケースもありえる。

実際原価の計算を行う為に、管理コストを大幅に増やすことになってしまっては、これも問題になってしまう。その場合、全ての製造品の実際原価を計算する必要はなく、サンプルを抽出して原価の計算及び分析を行うべきである。そして、予定原価が適切だったのかを定期的に精査することが大変重要である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする