ムクロジ科(Sapindaceae); カエデ属(Acer); イタヤカエデ(Acer pictum subsp. mono)学名: Acer pictum Thunb. subsp. mono和名: イタヤカエデ(板屋楓)
近所にあるイトーヨーカドーの駐車場には道路に沿って大きな木が10本近く生えている。この木には桜の咲く頃黄色い花がたくさん咲く。何という木なのか気になっていたが、図鑑を調べてみてイタヤカエデだと分かった。
イタヤカエデの名は大きな葉が屋根のように良く茂ることから付いたと言われる。確かに、イトーヨーカドーに生えている木はあまり選定されずのびのび育っているせいか、こんもりとしたほぼ円形の樹冠をしている。これが本来の姿だろうか。イタヤカエデにはたくさん変種があるらしいが、どうもはっきりしない。葉の裏に毛が多いようなのでひょっとしたらオニイタヤという品種かも知れない。しかし、亜種のレベルなので余りこだわらずに、今回はイタヤカエデとしてあつかうことにした。
花がたくさん咲くので別名でハナノキと呼ばれることもあるらしいが、本家のハナノキはカエデの仲間に別にある。本家のハナノキは赤い花でやはり春先に咲くのだが、暗い赤色のため、遠目には余り目立たず、気がつかない人も多い。しかし、イタヤカエデの花は黄色で木全体を蔽うように咲き、華やかで目立つ花だ。
5月になるとカエデ特有のプロペラのような実がたくさん成る。イタヤカエデの特徴は葉が5から9裂し、全縁(葉の回りに鋸歯が無い)であることが特徴で、裂数、裂部の浅さと深さ、毛の有無などにより亜種が分かれてくるとのことだ。樹皮は暗灰色で、大きくなると縦縞が入る。秋には黄色に紅葉する。イトーヨーカドーのイタヤカエデもきれいに紅葉した。
木材はカエデの仲間として最も大きく育ち白くて美しいことから、建材や家具、楽器などに利用されるという。もう1つ。樹液を煮詰めるとサトウカエデの様にシロップを作ることが出来るようだ。以前参加した小岩井農場の自然観察会でイタヤカエデの樹液から採ったというシロップをなめさせて貰ったことがある。
イトーヨーカドーの駐車場に植えられているイタヤカエデ。あまり剪定されていないせいか、のびのび育ちほぼ円形のこんもりした樹冠だ。街路樹は一般に大きくなると邪魔者扱いされて見るも無惨に剪定されてしまうが、木を植えるならこのようにのびのび育てたいものだ。(花巻市下小舟渡、2014年8月1日)
たくさん咲いたイタヤカエデの黄色い花。(同上、2014年4月22日)
同上
花をアップ。(同上)
5月になると実が成った。(同上、2014年5月22日)
同上
イタヤカエデの葉。ほぼ5角形。(同上、2014年8月1日)
樹皮暗灰色で、大きくなると縦縞が入る。(同上)
紅葉したイタヤカエデ。(同上、2014年11月6日)
同上
小岩井農場の自然観察会でイタヤカエデから樹液を採取しているところ。(岩手郡雫石町丸谷地36-1、2015年3月25日)