アザミは種類が多いので同定するのが難しい場合が多いという。このアザミも手持ちの図鑑(注1)をひっくり返して検討したが、なかなかすっきりしない。候補としてはナンブアザミ、ノリクラアザミ、タチアザミが上がった。しかし、ナンブアザミとは葉の切れ込み方が違うし、蕾の感じも違う。ノリクラアザミは花の感じがすごくよく似ている。しかし、花が下向きに咲く、葉の裏が白いという点が見つけた花と異なる。最後にタチアザミだが、葉に鋸歯(きょし、葉の縁のギザギザのこと)があるが、深い切れ込みは無い、花が上向きに咲くこと、蕾の感じなどから全体的に1番近いと思われた。しかし、図鑑には総苞は反り返らず、上向きか直立と記載してある。見つけた花では総苞は反り返っていて、むしろノリクラアザミに似ているのだ。しかし、花が上向きに咲くことや葉の特徴などからタチアザミとして分類するのが適切と思われた。似たような事例が「みちのくの山野草」というブログにも報告されていた。こちらの方は同じ花巻の「胡四王山」で見つけた事例だ。朕が今回見つけた花は花巻では頻度は多く、森の中や土手にごく普通に生えている。つまり、この手のタチアザミは花巻界隈では一般的な形態だということになる。
近所の公園で見つけた。植物体全体の感じがよく分かる。花は上向きに咲く。(花巻市星が丘せせらぎ公園、2013年8月12日)
同上、別な株を少しアップして撮影。蕾の総苞がめくれ上がって立ち上がり、殆ど球形に近いイガイガになっているのが特徴的だ。(同上、2013年9月6日)
別な場所で見つけた株。前掲のものよりも総苞のめくれ上がりが強い感じがする。(花巻市笹間、2013年9月9日)
花を上から拡大。(花巻市星が丘せせらぎ公園、2013年8月12日)
花を横から拡大。総苞がめくれ上がっている。これはむしろノリクラアザミの特徴。(同上、2013年8月13日)
注1:山渓ハンディ図鑑2 増補改訂版「山に咲く花」