イーハトーブ国王の巡回

国王自ら王国内の野草や動物などの健全性を調べた記録である。度々記録に出てくるテニスは王国の国技であることを申し添える。

心血管疾患のリスクを減少させるαリノレン酸が豊富 クルミ

2022-10-10 20:09:02 | 趣味・特技
クルミ科 (Juglandaceae); クルミ属(Juglans)
学名: Juglans L.
和名: クルミ
英名: Black walnut, Walnut


 クルミ科クルミ属の総称でその中にはカシグルミ、オニグルミ、ヒメグルミ、シナノグルミ等の食用となる
クルミが含まれる。
 高級木材として家具などに用いられている。
食用としては菓子や餅などに用いられているが、特にビタミンEを多く含むほか、脂質含量が高く、その中でもオメガ3脂肪酸として注目されるαリノレン酸を多く含む。
 盛岡短期大学の千葉俊之氏の研究によれば、脂質含量は国産のオニグルミ、ヒメグルミでは59.9~64.1%、カシグルミや外国産クルミで60.3~71.2%となっている。また、それぞれの脂肪酸組成を分析した結果では国産のオニグルミ、ヒメグルミでは、リノール酸が67.2~72.6%、オレイン酸が11.5~17.6%、αリノレン酸が7.7~12%となっている。同じくカシグルミや外国産クルミではそれぞれ59.1~65.4%、13.6~20.7%、9.8~16.1%となっている。
 αリノレン酸含量がダントツに多いのはエゴマ油やアマニ油だが、クルミも種実類ではかなり多い方である。
伝統的にクルミは健康に良いとされて様々な料理に利用されてきたが、その主役はビタミンEやαリノレン酸である。特にαリノレン酸は青魚に多く含まれるDHAやEPAと同じオメガ3脂肪酸であり、体内でDHAやEPAに変換されるという。これらの脂肪酸の機能としては、様々報告されているが、抗アレルギー、心血管障害の予防に有効であるとされるほか、脳の働きにも有効に作用するとされている。
 健康維持のために意識的にこれらの食品を摂りたいものである。
 クルミの木はあちこちで普通に見られる。特に川沿いや湿った場所でよく見かける。葉は互生で奇数羽状複葉、雄花は10~30cm垂れ下がる。雌花は枝の先の方から上に向かって穂状の花序を咲かせる花柱は赤い色をしているので注意してみると確認できる。
 特にクルミについておぼろげながら思い出すことがある。子供の頃山に行ってクルミの木の枝を採ってきて、その枝を上手に叩くと皮だけを残してきれいにその中の白い木を取り出すことが出来た。おぼろげな記憶では、その皮を刀の鞘のようにして遊んだ記憶がある。夢のような記憶なのでそんなこと出来たのかなと調べてみたら、確かにクルミの皮を使用した鞄などの民芸品が作られているようだ。記憶違いではなさそうだ。


雄花が出始めた。(岩手県紫波町、2014年5月6日)




垂れ下ってきた雄花。(同上)


同上。(花巻市日居城野、2014年5月8日)


雄花のアップ。(同上)


雌花が出て来た。(花巻市星が丘、2014年5月22日)


雌花。(花巻市浅沢、2014年5月20日)


同上。(岩手県遠野市、2016年5月25日)


雄花と雌花。(同上)


実と枯れた雄花。(湯口、2015年5月27日)


実。(花巻市立桜台小学校裏、2014年6月13日)


クルミの実と葉。(花巻市浅沢鳥海神社側、2013年7月2日)


クルミの木。(花巻市桜台アルテマルカン側、2013年6月25日)


同上。(花巻市立桜台小学校裏、2015年4月27日)



常緑広葉樹なのに寒冷地にも分布する シャクナゲ

2022-10-06 21:47:29 | 趣味・特技
ツツジ科 (Ericaceae); ツツジ属 (Rhododendron); シャクナゲ亜属(Hymenanthes (Blume) K.Koch)
; 無鱗片シャクナゲ節; 種(約140種)


「ツツジ科ツツジ属 (Rhododendron) 無鱗片シャクナゲ亜属、無鱗片シャクナゲ節の総称である。」とWikipediaの始めに記載されている。さて、この無鱗片という言葉がよく分からない。色々と調べてみたが専門用語らしく結局分からずじまいだった。ご存じの方がいたら教えて欲しい。
 分類の項目から分かるように、シャクナゲという言葉は種を指すのでは無く分類項目で言えば節に当たる言葉であり、この中に約140種もの種類が含まれるという。日本にも数多くの種類のシャクナゲが自生しているが、その多くは変種であり、種のレベルでは4種または6種に集約されるという(Wikipedia)。
 常緑広葉樹であるにもかかわらず、寒冷地にも生育可能であり、シベリア、カムチャッカ、千島列島を始め北海道や本州の高山、亜高山帯に生育する種類も多いという。独自の越冬方法、能力を持っているのだと思う。そういえば、かなり以前にブータンに行ってきた人から聞いた話で、ブータンにはきれいな花を咲かせるシャクナゲの大きな木がたくさん生えているのだそうだ。ブータンもヒマラヤなのでかなり寒いところだ。
 花は白や赤系統のきれいな花が多い。葉には呼吸困難、吐き気、下痢をもたらす毒があるという。
 果実は蒴果であり、中に多数の種子を含む。


せせらぎ公園に咲くシャクナゲ、ピンクや赤い縁取りの花がきれいに咲いていた。(花巻市星が丘せせらぎ公園、2020年5月6日)










シャクナゲの果実。蒴果であり、成熟すると乾燥して開裂して種を飛ばす。(花巻市星が丘せせらぎ公園、2014年10月18日)


高級ウイスキー用の樽材ジャパニーズオーク ミズナラ

2022-10-03 20:46:37 | 趣味・特技
ブナ科( Fagaceae); コナラ属 (Quercus); ミズナラ( Q. crispula)
学名: Quercus crispula Blume var. crispula
和名: ミズナラ(水楢)


 コナラよりも寒冷な気候を選び、標高もやや高いところを好む。葉は互生し葉身の長さは7~15cmでコナラよりもやや大きい。コナラよりもはっきりした大きな三角形の鋸歯がある。花期は5~6月。雄花は新しい枝の下部の葉脇から垂れ下がるようにつく。雌花は新しい枝の上部の葉脇に1~3個つく。
 コナラのどんぐりは殻斗が帽子のように浅くかぶる感じなのに対して、ミズナラでは殻斗が半分程度かぶる。縄文時代にはコナラやトチノキなどと共にあく抜きをして食料として用いられた。
 木材は高級家具の材料として用いられるが、特筆すべきものとして北海道産のミズナラは、ジャパニーズオークとして高級ウイスキーの熟成用の樽材として用いられているそうだ。樹齢200年~300年のものを使用するので希少であり、その樽で熟成されたウイスキーはキャラや白檀の様な香りがするそうだが、さてどんな香りなんだろう。いずれ、独特の個性を持ち世界的評価も高いそうだ。かなり高価でなかなか手に入らないもののようだが、ウイスキーファンとして一度は飲んでみたいものだ。


新巻公園で見かけた初夏のミズナラ。(岩手県金ケ崎町新巻公園、2020年6月21日)


広域公園の紅葉したミズナラ。(花巻市金矢花巻広域公園、2015年10月15日)


ミズナラの樹皮。(岩手県金ケ崎町新巻公園、2020年6月21日)


ミズナラの葉。(同上)



ミズナラの葉。(岩手県雫石町小岩井農場、2015年5月16日)


ミズナラの雄花。(岩手県西和賀町、2015年5月8日)






ミズナラの雌花。(同上)



どんぐり山のどんぐりはコナラだった コナラ

2022-10-01 16:42:28 | 趣味・特技
ブナ科( Fagaceae); コナラ属( Quercus); コナラ (Q. serrata)
学名: Quercus serrata Murray
和名: コナラ(小楢)


 ひとくちにどんぐりと言っても色々あってややこしい。ちょっと頭に浮かぶものでもコナラ、ミズナラ、カシワ、クヌギ、シイ等色々ある。近所のせせらぎ公園にはどんぐり山という小さな山がある。ここにはその名の通り確かにたくさんどんぐりが落ちている。さて、せせらぎ公園にもたくさん植えられているが、このどんぐりは何の木から落ちてるんだろうと気になっていた。
 色々と調べてみたら、コナラはミズナラと極めてよく似ていて見分けにくいが、ミズナラでは葉柄がごく短く目立たないのに対して、コナラは1から1.2cmの葉柄がある。ミズナラの鋸歯は荒く3角状であるのに対してコナラはこれよりもやや丸みを帯び、先端が鋭く尖る。また、葉身の長さはミズナラよりコナラはやや小さく5~15cmである。どんぐりはコナラは最もどんぐりらしい形であり、殻斗は帽子のようであり実の1/3程を覆うが、ミズナラのどんぐりはコナラよりも殻斗のかぶりが大きく実の半分近くまで覆っている。等の違いがあるようだ。また、コナラの方がミズナラよりも標高が低い所を好み、ミズナラはその名のように材に水を多く含みより標高の高いブナなどが生えている辺りを好むようだ。両者とも春に雄花が尾状に垂れ下がるように咲く。
以上の結果を参考に照合してみると、せせらぎ公園やどんぐり山に落ちているどんぐりはコナラのものと分かった。コナラはせせらぎ公園に限らず、桜台小学校や広域公園に行く途中でも普通に見られるどんぐりの木だった。


コナラのどんぐり。どんぐりらしいどんぐり。帽子をかぶったような感じ。(花巻市立桜台小学校、2015年9月20日)


コナラの雄花。春先に尾状に垂れ下がる。(花巻市湯本、2015年5月3日)


コナラの雌花。(同上)


コナラの葉。(花巻市星が丘せせらぎ公園、2015年6月17日)


コナラの幹。(花巻市立桜台小学校、2020年5月26日)


コナラの樹形。(花巻市星が丘せせらぎ公園、2015年9月28日)


コナラの樹形。小岩井農場に大きなコナラの木が生えていた。牛に踏まれて根が傷まないように柵で囲っているのだそうだ。(雫石町小岩井農場、2015年3月29日)