同潤会青山アパートの跡地に建てられた<表参道ヒルズ>
表参道の道側はガラス張りでしたが、
裏側へ回ってみると、やはりコンクリ打ちっ放しでした。
例によっていくつもの巨大なコンクリートが
バランスをとりながら互い違いに積み重ねられたようなつくりですが、
これはちょうど向かいに建つ、
同じ安藤忠雄氏設計の<フォレストプラザ表参道>とのバランスも
考慮したような造りに見えます。
それにしてもコンクリ打ちっ放しはいつのまにか街にあふれました。
80年代にはあれほど新鮮に感じた打ちっ放しも、
時代が経って随分と色あせたものに見えます。
安藤忠雄氏の手掛ける建築は、打ちっ放しである以上に優れたデザインなので、
色褪せることは少ないと思いますが、
そうでない多くの打ちっ放しは、
今みるとただの建築途中の建物にみえなくないものもあります。
かつて西武百貨店が、
ハイテックやローテックというキーワードで非装飾的なイメージを展開し、
一世を風靡したことがありました。
それは「重厚で装飾的な程いい」的なそれまでの百貨店のイメージを、
一気に「鈍長で古~い」イメージに陥落させた、凄く新鮮なものだった記憶がありますが、
しかし、その軽快な素材むき出しのイメージも時代が経ってみると、
すごく安っぽいただの手抜きにしか見えなくなっていたのを思い出します。
むき出しのコンクリも、
安っぽい装飾をするよりは遥かに新鮮かつ高級なイメージだったものの、
時代が経ってみると、すごく味気ないイメージに見えてきます。
しかしそれはあくまでも普段の生活の中にある建物としての感覚で、
軍艦島の建築群しかり、工場の廃墟しかり、給水塔の廃墟しかり、
むき出しのコンクリは、廃墟になって絶大な効果を発揮します。
たぶん不可能ですが、いい感じになった80年後の表参道ヒルズは、
みてみたいものです。
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