黒沢永紀オフィシャルブログ (旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

軍艦島トークイベント 開催

2016-10-25 12:58:47 | 軍艦島(端島)
今年は、国内の鉄筋集合住宅が初めて建設されてからちょうど100年!
その第一号は、軍艦島に今も現存します。

それを記念して、
八重洲ブックセンターでトークイベントを開催します。

国内初の鉄筋集合住宅[軍艦島30号棟]築100年記念トークイベント
【軍艦島の秘密と不思議に迫る!】


画像はクリックすると拡大

今年100歳を迎える国内最古の鉄筋集合住宅、
その2年後に建設された、長屋と鉄筋が融合した驚きのアパート、
大正時代の摩訶不思議な建築群、
そして戦中の巨大集合住宅まで、
こんにち、多くの人があたりまえのように生活する集合住宅の、
黎明期の驚きの姿に迫ります。

当日は、東京カルチャーカルチャーのテリー植田氏を進行に迎え、
ディスカッション形式で進めさせて頂きます。

イベント終了後は、ご希望の方々で、懇親会も予定しています。
ぜひお越し下さいませ。

【開催日】
2016年 11/05 (土)

【時間】
14:00〜15:00 (13:30)

【参加料】
500円

【お申し込と詳細はこちら】↓

国内初の鉄筋集合住宅[軍艦島30号棟]築100年記念トークイベント
【軍艦島の秘密と不思議に迫る!】


【主催】
八重洲ブックセンター/テリー植田

【協力】
軍艦島フェア/実業之日本社/三才ブックス/亜紀書房/大和書房/忘羊社
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軍艦島:トンネルコンベア

2016-06-01 00:14:11 | 軍艦島(端島)
ブログをはじめた頃にシリーズでお送りしていた、
「あまり知られていない軍艦島」
約10年くらい前は、公開する媒体がウェブだけだったので、
一生懸命アップしてましたが、
その後、軍艦島の書籍を幾つも書くようになって、
いつのまにかアップすることもなくなってしまいました。

実際、昨年世界遺産に登録され、
あまり知られていないことも、ずいぶん無くなったと思いますが、
ブログにアップしていないことはまだまだあるので、
久しぶりにアップしようと思います。



今回はトンネル・コンベアと呼ばれる施設です。



トンネルコンベアは、俯瞰図の下中央、
スクリーンで囲ったエリアにある地下施設です。







スクリーンで囲ったエリアの拡大俯瞰図。
地下施設なので、当然地上からは見えません。
アルファベットは、続く画像に対応する記号です。







位置的には、内海側の炭鉱施設のあったエリアのうち、
製品になった石炭を蓄えていた「貯炭場」と呼ばれるエリアの地下になります。
右下手前の四角い穴が、トンネルコンベアへの入り口。
奥に見える列柱が、製品になった石炭を運搬した、
ベルトコンベアが載っていた支柱の跡です。







見学コースからほど近い拡大俯瞰図のA地点に、
1.5メートル四方の穴が2つ空いていて、
ここからトンネルコンベアへ出入りできます。
実際に人が出入りしていたのは、
エリア拡大図のAとBの間にある、
下に向いて伸びているトンネルの最下部で、
この場所は、堤防沿いの人道へと通じています。







トンネルコンベアはベルトコンベアの支柱を挟むように平行して2本あり、
その2本のトンネルを繋ぐ連絡通路が、
拡大俯瞰図のB地点で見られるトンネルです。
トンネルコンベアは、コンクリート製のボックスカルバートで、
高さは、2メートルほどです。
壁面には、かつて通電していたであろう電線ケーブルが残っています。







拡大俯瞰図の下の位置にあたるトンネルを右へ進むと、
画像のような漏斗状の構造物が天井に設置されています。(拡大俯瞰図C)
錆による腐食が進行して、下半分が崩れた姿に、
人の手が加えられない40年の時間を感じます。







上の画像のように、入口に近いものは崩壊が進行していますが、
トンネルの奥へ進むと、綺麗な形で残るものもありました。(拡大俯瞰図D)
これがトンネルの中で一番右にあるものです。
トンネルの奥から出入口の方を向いて撮影しているので、
遠くに出入口の光が見えます。

さて、
このトンネルコンベアは、何のために使われていたかというと、
製品になった石炭を、この漏斗状の構造物を通して地上から地下に落とし、
トンネルの床面に設置されたコンベアで運んで、
船積みするための施設でした。

普通の炭鉱には無い施設。
それは、土地があまりにも狭かったゆえに発想された、
軍艦島ならではの極めて特殊な施設でした。

漏斗の下部に取ってのようなものが見えます。
トンネル内での作業員が、手前に引いて、
上にたまった石炭を落とすためのものですね。







トンネルの終点、拡大俯瞰図でEの地点は、
画像にようにブロックで塞がれています。
約2メートルの高さで続くトンネルは、
このブロックの部分だけ、徐々に高くなっています。
上の部分がR状になっていますが、
この部分は地上に露出した部分にあたります。







これがトンネルコンベア終点の地上部分。
その形から斜坑(斜めに造られた坑道)の入口であるとか、
坑内排気口などといわれているのも見かけますが、
この構造物は、製品になった石炭を排出する出口です。







トンネルを出入口の方へ戻り、
最初の頃に見た連絡通路を通って、
もう一つのトンネルへも行ってみます。
拡大俯瞰図の上に位置するトンネルの左側は、
下のトンネルに比べて、左の部分が短く、
連絡通路からほどなくして閉塞しています。







右側は最初のトンネルと同じだけの長さがあり、
同様に、等間隔で漏斗施設が並んでいます。
奥にあるおかげか、
拡大図の下のトンネルに比べていずれの漏斗もほぼ原型を保っています。

あまり知られていないながら、
軍艦島ならではの施設、それがトンネルコンベアです。

シリーズ:あまり知られていない軍艦島 INDEX

軍艦島オデッセイ
オープロジェクト制作による軍艦島総合サイト。
軍艦島を詳しくお知りになりたい方はこちらをどうぞ。
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『誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK』リリース!

2016-01-12 23:32:34 | 軍艦島(端島)

誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK

昨年初頭にリリースさせて頂いた
『奇跡の海上都市完全一周 軍艦島 DVD BOOK』に続く、
DVD BOOKシリーズの第二弾です!

前作は、手持ちドローンによる同録解説で、
軍艦島の島内を隅から隅まで回ったDVDがメインのものでしたが、
今回はDVDとともに書籍も96ページオールカラーの豪華装丁版。

タイトル『誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK』は、
従来、テレビや書籍等で発表されていない軍艦島を集めた作品です。

DVDには、
10年以上にわたって軍艦島を映像作品化 してきたオープロジェクトによる、
昨今流行のドローンを駆使した空撮をまtめた『軍艦島空景』、
岩礁の中を貫く防空壕トンネルと炭鉱施設の地下トンネルを撮影した「探検!軍艦島のダンジョン」、
そして、周囲の護岸の上をノンストップ一周歩いた『軍艦島護岸一周』を収録。
いずれも4Kをメインに撮影された高解像度の映像集。
前作同様、私がコメンタリーを付けさせて頂きました。

また書籍では、
未発表の貴重な写真と知られざる軍艦島のリポートを多数掲載。
現在では見ることのできない海底炭坑の坑道、
および100年後までを予測した軍艦島の未来の姿を、
イラストレーターの東京幻想さんによる描きおろしのイラストで再現。
写真家の酒井透さんによる「軍艦島遠景」をはじめとするグラビアも収録。
DVDに収録された軍艦島のダンジョンの完全踏破のリポートや、
軍艦島の夜、そして軍艦島へ行商で通った人のリポ。
さらに元島民による島の思い出を綴った詩も併載。

DVD・誌面とも、
まだ「誰も見たことのない」映像・画像満載の新作。
お値段は少々高めですが、
DVDと書籍2つ分と思って頂ければ幸いです。

◆誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK◆

価格:3,700円(税抜)
DVD収録時間: 65分
書籍:B5版/96ページ/オールカラー
発売元: 宝島社
発売日: 2016/01/12
ISBN-10: 4800250013
ISBN-13: 978-4800250018

誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK

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『軍艦島カレンダー2016』発売!

2015-12-08 06:15:04 | 軍艦島(端島)

軍艦島カレンダー2016

来年用の軍艦島カレンダーを造らせて頂きました。
以前、2010年の時に一度カレンダーは制作していますが、
今回は祝!世界遺産登録ということで、
前回とは全部違う画像で制作しました。
月めくりで、各月、大きな画像に加えて、
関連する小さい画像&簡単な解説をつけました。

これまで軍艦島関連の書籍や映像はたくさん制作してきましたが、
いずれもわざわざ開かないと見ることができないものばかり。
カレンダーなら、掲示しておくだけで、
いつでも見られると思います。

まもなく今年も終わり。
来年のカレンダーでお悩みの方は、ぜひ!

◆軍艦島 黒沢永紀 2016年 カレンダー 壁掛け◆

価格:1,500円(税抜)/1,620円(税込)
仕様: 月めくり/オールカラー/マット紙
発売元: ウイング
販売元:トライエックス
発売日: 2015/09/02
ASBN: B014PE4GV0

軍艦島カレンダー2016

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『軍艦島~廿世紀未来島を歩く~』BD版裏リース!

2015-07-07 02:13:35 | 軍艦島(端島)

軍艦島オデッセイ~廿世紀未来島を歩く~BD版

2008年に既発のDVD『軍艦島~廿世紀未来島を歩く~』を、
BD晩で発売させて頂きました。

閉山後30年ぶりに島を訪れたもと島民が、
廃墟軍艦島の島内を歩いているうちに、
徐々に昔の記憶が甦って来る。
楽しかった子供のころの思い出から、特殊な生活、
過酷だった炭鉱の仕事、そして閉山。
約10年前の島内のウォークスルー映像と過去の映像がオーバーダップし、
軍艦島の全貌が明らかになって行く。

元島民としてナレーターを勤めるのは、
実際に島民でもあった声優で、
おしくも昨年亡くなられた石森達幸氏。

特典映像には軍艦島の雛形炭鉱だった中ノ島と、
石森達幸さん×鐘ヶ江貞子さん(島内の酒屋さん)のインタビューを収録。

さらにコメンタリートラックでは、
軍艦島を世界遺産にする会の理事長、坂本道徳氏をむかえて、
今は亡き民間の軍艦島研究者の第一人者だった小島氏とオープロジェクトで、
お話をうかがいます。

ドローン空撮など多少の再編集を施して奇麗な画質になったBD版を、
この機会に是非ご堪能ください。

◆軍艦島~廿世紀未来島を歩く~◆

価格:4,800円(税抜)
収録時間: 45分(特典:中ノ島10分、島民インタビュー5分)
発売元: 日活
販売元:ハピネット
発売日: 2015/07/02
ASBN: B00USZREM4
EAN: 4907953055858
軍艦島オデッセイ~廿世紀未来島を歩く~BD版

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『オール讀物』で軍艦島を執筆しました

2015-07-03 16:03:59 | 軍艦島(端島)

オール讀物

文藝春秋社の月刊誌『オール讀物』で、
軍艦島を執筆させて頂きました。

7ページなので、軍艦島の凄いところと、
世界遺産がらみの話題に絞って書きました。

思えば、これまで軍艦島に関してはたくさん執筆してきましたが、
最初に島を訪れた時に感じた廃墟軍艦島に関しては、
一度も書いたことがなかったので、
冒頭に、ルポ風にまとめてみました。
この部分は次号が出るまで、
オール讀物のサイトで立ち読み出来ます。
※「軍艦島 未来への襷」をクリック

オール讀物

またモノクロですが、巻頭グラビア8ページも軍艦島です。

1冊まるまる読むのはしんどい~っていう方は、
是非ご覧になって下さいませ。

◆『オール讀物』◆
グラビア:二十世紀を牽引した軍艦島
本文:軍艦島 未来への襷

価格:1,000円(税抜)
新書: 366ページ~
出版社: 文藝春秋社
発売日: 2015/6/25
ASIN-10: B00Z7L028W

オール讀物

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『軍艦島 奇跡の産業遺産』リリース!

2015-06-18 04:48:01 | 軍艦島(端島)

軍艦島 奇跡の産業遺産

軍艦島の新刊、『軍艦島 奇跡の産業遺産』
を出版させて頂きました。

これまで軍艦島関連の書籍は、
『軍艦島全景』『軍艦島入門』と出させて頂いてますが、
いずれもカラー画像や図を中心としたものでした。
今回は新書判ということで、文章が中心です。
写真も掲載していますが、モノクロで量も少ないので、
写真や図がないとわかりにくい建築や炭鉱の話は少なめにし、
かわりに昨今話題の世界遺産関連の話や生活の話を多めにしました。

また、
タレントの石原良純さん、千秋さん、
ラストレーターの蛭子能収さん、DJのDAISHI DANCEさん
国会議員の秋野先生の各氏に頂いたコラムも収録してあります。
みなさん、ありがとうございました!

過古作と同じ人間が書いているので、ダブる内容もありますが、
一生懸命書きました(笑)
是非ご覧になって頂けたらと思います。

◆軍艦島 奇跡の産業遺産◆

価格:850円(税抜)
新書: 242ページ
出版社: 実業之日本社
発売日: 2015/6/11
ISBN-10: 4408111465
ISBN-13: 978-4408111469

軍艦島 奇跡の産業遺産

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東スポさん、連載開始!

2015-01-06 19:30:48 | 軍艦島(端島)

東京スポーツ「軍艦島は未来都市だった」
※画像をクリックすると拡大します。

東スポさんで、
「軍艦島は未来都市だった」の連載、今日から開始で~す。
軍艦島に端を発し現代にも通じるものや事柄の話。
毎週火曜日の第3面で8回の連載です!
是非ご覧になって下さいませ~

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『軍艦島 DVD BOOK 奇跡の海上都市 完全一周』まもなくリリース!

2014-12-30 02:21:56 | 軍艦島(端島)
制作に追われる日々。
ブログらしい記事も更新出来ないまま、
またまたお知らせ記事となってしまいます。

扱いは書籍ですが、内容的にはDVDで、
映像作品としてはオープロジェクト3年ぶりの軍艦島の新作です。

『軍艦島 DVD BOOK 奇跡の海上都市 完全一周』宝島社

軍艦島を題材としたDVDはこれで4作品目ですが、
思えば、これまでの拙作品をはじめ、数々のテレビ番組も、
軍艦島を「点」のように編集したものばかりです。
つまり、島内の特定の場所を繋ぎ合わせて作られているというか。

そこで今回は、島内をノンストップで完全一周踏破したら、
実際、どのくらい時間がかかり、
そして、それぞれの建物はどのように繋がっているのか?
がわかるのではないかと思いました。

おりしもジンバルタイプのステディシステムを入手したので、
アクションカメラのGoProを装着し、
私、黒沢が、ぐるっと一周、ノンストップで撮影すると同時に、
同録で島内の施設を解説しまくってしまおう、という企画です!

さすがにノンストップなので、
途中、お聞き苦しい所も多々ありますが、
ちゃんと繋がっていないGoogleストリート・ビューにご不満の方々をはじめ、
軍艦島のリアルタイム・バーチャル・ウォークをお楽しみください。

◆ 軍艦島 DVD BOOK 奇跡の海上都市 完全一周 ◆
著 者:オープロジェクト
出版社:宝島社
発売日:2015年1月10日
A4板ブックスケース入り/90分/オールカラー/特製ブックレット(8P)付
定 価:1,300円(+税)
ISBN-10: 4800235650
ISBN-13: 978-4800235657

『軍艦島 DVD BOOK 奇跡の海上都市 完全一周』宝島社

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軍艦島:建物の存続

2014-10-02 01:15:40 | 軍艦島(端島)
以前にシリーズでアップしていた<知られざる軍艦島>
軍艦島の中でもよく知られた場所や有名なエピソードの数々は、
既に拙『軍艦島オデッセイ』や書籍、DVDなどでお伝えしてきましたが、
そこではあまり触れてこなかったエピソード等をアップするシリーズ。




※画像はクリックすると拡大します。

画像は読売新聞の2014年9月22日の記事です。
日本建築学会が2012年~14年にわたって建物を調査した結果、
幾つかの建物が「大破」という診断を受けていたという内容です。

国内最古の鉄筋アパートである30号棟は、
既に5年前に崩壊していてもおかしくない「マイナス5年」という診断だそうです。
確かに30号棟は、いつ崩壊してもおかしくないとおう話をよく聞きますし、
また、実際に見ても、素人目にもそれは納得がいきます。

今回の発表で30号棟以外に「大破」と診断されたのは、
18号棟、61号棟、58号棟、そして65号棟です。

18号棟は30号棟から2年遅れた大正7年に建築が始まった建物。
当初16号棟と17号棟が構想で建設され、
18号棟はそれを追う形で立てられた棟ですが、
16号棟や17号棟をさしおいて、18号棟だけが大破と診断されたのは、
やはり屋上農園による影響でしょうか。

そして島内最大の建物である65号棟が、「一部」と注釈があるものの、
「大破」の診断を受けていたのも、とても意外な気がしました。

確かに新65号棟と呼ばれる部分は、
屋上のコンクリートフェンスが完全に崩落するなどしていますが、
とりあえず棟内を歩く限り、柱に大きなクラックが見られる所も少なく、
もっと深刻な建物は他にもある様な気がします。

「大破」とは5段階ある建築物の崩壊の度合いで、
「崩壊」の手前の状態を表すそうです。
柱は鉄筋が完全に剥き出しになるくらいに剥落し、
また壁面のクラックもかなり進行した状態のようです。



ここで志免炭鉱の竪坑櫓のことを思い出しました。
志免炭鉱の竪坑櫓は、その多くの部分で、コンクリートが剥落し、
内部の鉄筋だけが剥き出しになっている部分が多々あります。
その破壊進行度は、素人目からは「大破」にみえます。
しかし、その鉄筋は、
現代の鉄筋とは比べ物にならないくらい太く、密度も半端ないもので、
たとえ表面の総てのコンクリートが剥落しても、
竪坑櫓が崩壊することはない、と聞きました。

大破度マイナス5年と診断された30号棟は、
まだ国内に鉄筋のアパートが一棟も建っていない時代の建物。
その建設には、当時の炭鉱の坑道を造る技術者が多く関わったと言われています。

マイナス5年がマイナス6年、7年と重ねるごとに、
大正時代の技術者達の力が証明されて行くのだと思います。


◆シリーズ:あまり知られていない軍艦島◆
INDEX
 
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軍艦島:残った理由

2014-09-27 06:24:54 | 軍艦島(端島)
以前にシリーズでアップしていた<知られざる軍艦島>
軍艦島の中でもよく知られた場所や有名なエピソードの数々は、
既に拙『軍艦島オデッセイ』や書籍、DVDなどでお伝えしてきましたが、
そこではあまり触れてこなかったエピソード等をアップするシリーズ。
今回は、なぜゴーストタウンが誕生したのか?です。



軍艦島は今年、炭鉱が閉山して40年を迎えます。
ご存知の方も多いと思いますが、
軍艦島は島丸ごとが廃墟となって現存しています。
住宅棟の中を見れば、まるで一瞬にして人が消えたかのように、
閉山時の生活の様子を残したまま、時が止まっています。
すなわち軍艦島はまぎれもなくゴーストタウンです。

土地がふんだんにあるアメリカで、
ゴールドラッシュ時代の村がそのまま丸ごと残っている例は良く見かけますが、
土地の狭いニッポンにおいて、ゴーストタウンが残ることは、
きわめて希な例と言えるでしょう。

ではなぜ軍艦島はゴーストタウンとして残ることができたのか。



『HASHIMA 端島の案内』と題された画像は、
閉山の頃に発行された軍艦島案内の小冊子の表紙です。
中には、軍艦島がどういう島だったのかという簡単なリード文や、
島内図等をまじえたシンプルな説明が書かれていますが、
最後の見開きのページを見ると、


※画像はクリックすると拡大します。

なんとそこには企業誘致の案内が記載されています。

離島環境の項目には1月末現在約2,100人の人口は、
とあるので、おそらく閉山の年である昭和49年(1974)の1月だと思います。
周囲の土地からかなり離れていて、騒音や悪臭の心配がない
と、軍艦島の隔離された環境を強調しています。

その他、海上輸送や地耐力、用水、電力、電話などの項目で、
人間の活動に必要な設備が整っていることを強調しています。

そして最後に企業誘致優遇措置の項目には、
「端島は現在産炭地域振興対策対象地域に指定されており、
地許長崎県ならびに高島町は勿論、国としても、
端島への企業誘致に大きな熱意を示しており、
附表の諸優遇措置が講ぜられている。」
とあります。
戦中、戦後を通して国の政策とともに歩んだ炭鉱は、
その後の支援も、国の保護のもとに進行していたことがわかります。

現在の軍艦島を見ると、
住宅棟の残りっぷりに比べて、炭鉱施設が殆ど残っておらず、
そのギャップに不思議さを感じますが、
人々が離島した1974年の春からわずか半年後の写真を見ると、
炭鉱施設のあったエリアは、ほぼ現在と同じ姿をしています。
これは、企業誘致のために、
クレーン等の炭鉱以外の操業でも需要があるもの以外、
必要のなくなった炭鉱関連施設を故意に解体したためだったんですね。

うろ覚えですが、確か誘致売却価格は1億円だったと思います。

そして、このパンフレットには明記されていませんが、
閉山後27年経って企業誘致が行なわれない場合は、
三菱はその総てを自治体へ無償譲渡する、
という取り決めでスタートしたそうです。

結局、あたらしい操業主を待ち続けた軍艦島は、
その夢もむなしく、ただ時ばかりが流れて行き、
27年後の2001年、
かねてより軍艦島が所属していた高島町へ無償譲渡されて、
希代稀に見るゴーストタウンが誕生したわけです。

◆シリーズ:あまり知られていない軍艦島◆
INDEX
 
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小島さん!安らかに。

2014-09-05 04:12:23 | 軍艦島(端島)

小島隆行氏

画像は、このブログでも何回も紹介させてもらった、
軍艦島の民間研究家の第一人者、故小島隆行氏。

今年の8月30日で、氏が亡くなって5年になります。

そしてこの画像は、三年前の冬に亡くなった、
軍艦島の写真家、柿田清英氏による撮影。
柿田氏は拙監修による『軍艦島超景』の写真家で、
小島氏同様、このブログでもなんどもご紹介させて頂いてます。

画像は2005年の10月に、
柿田氏と小島氏が同時に軍艦島の島内にいる場所に、
私も一緒にいあわせた時のものです。

撮影場所はトンネルコンベアと言って、
出来上がった製炭を出荷するためのコンベアがその内部にあった、
鉱業所エリアの地下施設です。

この日、かねてより気になっていたトンネルコンベアを見学すべく、
小島氏&柿田氏とともに初めて内部へ入りました。

雨の降った翌日だったせいか、
トンネルの内部はかなり湿度が高く、カメラのレンズ曇りが消えるまで、
相当時間がかかったのを覚えています。

小島氏とは幾度も一緒に島に渡り、
多くのことを現地で教えて頂きました。
当時オープロは、まだ島内の撮影に気をとられていて、
小島さんのお話を記録する時間的余裕がなく、
小島さんがしてくれた島内での話は殆ど記録してませんが、
今でも普段気がつかないようなポイントを、
丁寧に説明してくれた小島さんの声を思い出します。

このまま順当に行けば、軍艦島は来年、世界遺産に登録されます。

小島さんは特に世界遺産になってもならなくても、
軍艦島を思う気持ちは全然かわらなかったと思いますが、
それでも世界遺産への活動に参加していた時期もあるので、
やはり、その想いはひとしおだったと思います。

小島さん!やすらかにお休みください。

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『未来世紀 軍艦島』

2014-08-11 13:33:32 | 軍艦島(端島)
ずっとアップして来た、この春~夏にリリースされた軍艦島関連書籍。
今回は、特に編集とかには関わってませんが、島内図等でちょっと協力させてもらった写真集です。
『未来世紀 軍艦島』酒井透(ミリオン出版)

『未来世紀 軍艦島』ミリオン出版

現在の姿を撮影した写真だけの大判写真集。
大判だけあって、前回まで紹介して来た書籍と比べると、
写真の見応えは充分です。

オールデジカメフルサイズで撮影された写真は、絞り込みも半端なく、
寸分のブレがない、テンションの高い写真が並びます。

また、彩度の高い写真が多い昨今、
懐かしいフィルムニコンのような色彩も酒井さんの意図したところでしょうか。
そういう意味では、写真の原点に帰った軍艦島の写真と言えると思います。

特に影を重視した仕上げによって、
被写体ではなく、被写体の間にある闇を捉えているのは新鮮です。
現在の廃墟軍艦島に見え隠れする闇は、
過去の時間が造り出した歴史の闇の残滓なのかもしれません。

ただ、撮影された被写体自体が既出の物件が多く、
せっかくこれだけの豪華な印刷だったので、
従来、見たこともない光景も見てみたかったと思います。

是非ご覧下さい。

◆ 未来世紀 軍艦島 ◆
著 者:酒井透
出版社:ミリオン出版
発売日:2014年5月21日
158ページ/カラー/ 29.6 x 21.2 x 1.8 cm
定 価:3,500円
ISBN-10: 4813022456
ISBN-13: 978-4813022459

『未来世紀 軍艦島』

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『GREAT HASHIMA 大いなる端島』リリース

2014-08-10 22:56:52 | 軍艦島(端島)
前回に引き続き、この春から夏にかけて、
監修や編集等に関わって来た軍艦島関連書籍の紹介です。



今回は『GREAT HASHIMA 大いなる端島』端島閉山40周年記念事業実行委員会(忘羊社)

『GREAT HASHIMA 大いなる端島』忘羊社

軍艦島は今年、閉山40周年を迎え、
春から夏にかけては市内で閉山40周年に関連するイベントが行なわれました。
7月に長崎県美術館で行なわれた『大・端島展』と題する写真展、
そしてそれに付随するイベントやシンポジウムもその1つです。
主催は「端島閉山40周年記念事業実行委委員会」で、
私も実行委員として、微力ながらお手伝いさせて頂きました。

その実行委員が写真展で展示した写真をまとめる形で発行したのが、
『GREAT HASHIMA 大いなる端島』(忘羊社)です。

掲載写真すべて操業時の軍艦島の写真です。
既に発行された写真集からの転載も多く、
それらの写真集をお持ちの方には、記憶にある物とだぶるかと思いますが、
出展となる写真集が限定の物だったり端島労働組合発行の物だったりと、
一般ではなかなか入手困難なものも多いので、
それらをご覧になっていない方は、ご覧になる価値があると思います。

更に、冒頭に並べられた、
30号棟が立つ前の島内の様子をはじめとした幾つかの写真は、
従来全く未発表の極めて貴重な写真といえます。

また従来発売されて来た操業時の写真集は、
炭鉱の中でも鉱員の方が撮影された光景をまとめた物が多く、
ある意味、かたよった視点での写真集でした。
しかし今回の写真集には、
下請け会社で仕事をした大橋さんと高橋さんの、
いわゆる「組」の写真が収録されているので、
そういう意味では軍艦島での仕事と生活を、
より正確に伝える写真集といえると思います。

また従来の写真集は、記録的な要素が強く、
その印刷は決して良質とは言えませんでしたが、
この写真集は写真としても見応えもある印刷で、
より一層、操業時の軍艦島を肌で感じることができると思います。

是非ご覧下さい。

◆ GREAT HASHIMA 大いなる端島 ◆
著 者:端島閉山40周年記念事業実行委員会
出版社:忘羊社
発売日:2014年7月5日
160ページ/モノクロ/21 x 19.8 x 2 cm
定 価:2,500円
ISBN-10: 4907902026
ISBN-13: 978-4907902025

『GREAT HASHIMA 大いなる端島』

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『軍艦島 離島40年 人々の記憶とこれから』リリース

2014-08-09 00:09:21 | 軍艦島(端島)
前回に引き続き、この春から夏にかけて、
監修や編集等に関わって来た軍艦島関連書籍の紹介です。



今回は『軍艦島 離島40年 人々の記憶とこれから』坂本道徳著(実業之日本社)

『軍艦島 離島40年 人々の記憶とこれから』実業之日本社

前回に引き続き、
軍艦島を世界遺産にする会の理事長の坂本道徳さんの著書。
坂本さんはこの春、2冊の書籍を出版されました。

2003年に世界遺産にする会の活動を開始され昨年でちょうど10年でしたが、
その節目に併せて、10年の想いを形にした2冊です。
執筆は昨年でしたが、出版までに時間がかかり、
形になったのは11年目ということになりました。

前回の記事で紹介した『軍艦島 廃墟からのメッセージ』は、
島内に残る物や廃墟となった軍艦島から、
軍艦島とはなにかをフォトエッセイの形でまとめたものですが、
この『軍艦島 離島40年 人々の記憶とこれから』は、
坂本さんが実際に住んでいた時の思い出話と、
この10年間の世界遺産活動の足跡をまとめたものです。

第2章の『島に生きて』は、
2003年に発売された『軍艦島の遺産』(長崎新聞社)に掲載されたものをベースに、
かなり肉付けされて読み応えのある形になったものです。
既に『軍艦島の遺産』をご覧になった方も、
島での生活やその感情がはるかに伝わるので、
是非読んで頂ければと思います。

第4章『世界遺産へ向けての挑戦』は、
ゴミの島とも言われた軍艦島がいかに世界遺産の推薦にまでなったかの経緯や、
その中で坂本さんがなにをなして来たかの記録です。

そして最後の『課題と未来への展望』は、
坂本さんがこの10年間、時には大変な思いをしながらも軍艦島に拘り続け、
軍艦島を通して伝えて来た坂本さんの魂の叫びです。

往々にしてその外観だけが取り上げられがちな軍艦島ですが、
この著書には、軍艦島を通して、
何を感じ、何を考えるべきかが書かれています。

是非ご覧になって下さい!

なお本書では、巻頭グラビアに拙画像を使って頂きました。

◆ 軍艦島 離島40年 人々の記憶とこれから ◆
著 者:坂本道徳
出版社:実業之日本社
発売日:2014年5月29日
240ページ/一部カラー/18.8 x 13 x 2.4 cm
定 価:1,800円
ISBN-10: 4408110647
ISBN-13: 978-4408110646

『軍艦島 離島40年 人々の記憶とこれから』

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