『ロバみみ』

言いたい!でも言えない…。ならば、穴を掘ってでも叫びたい! そんな想いから綴り始めた独り言のようなブログです。 

・『万獣こわい』

2014年03月21日 | ・ロバみみの芝居小屋
今年一発目の観劇は、ねずみの三銃士。
先日、クドカン作・河原雅彦さん演出の「万獣こわい」を観て参りました。

生瀬勝久さん、古田新太さん、池田成志さんという顔ぶれ。

観劇ゴコロをくすぐられなきゃ嘘ですよね。
ですが、ねずみの三銃士モノはお初。なぜか。

幕が開いてからまだ日が浅かったせいもあって、ロビーにはむせかえるほどの花・花・花。
ぶっさんと範頼様からなにかきてるかなーと思って探してみましたが、徒労に終わりました(笑)

さて、内容はというと、笑えますが非常にエグかったです……。

あらすじを知っていたら、チケットを買うのをやめてたかもしれません。

というのもこの作品、尼崎監禁殺人事件がモチーフになっているんです。

うーんと、これから観劇予定の方は、このあたりでサヨナラして下さいね。
そして、感想はロバみみ個人のものですので、あしからず。

ストーリーは、生瀬さんと小池栄子さんの営む喫茶店「どんづまり」に、
マンションで何年も監禁されていた夏帆ちゃんが逃げ込んできたその日から、
幸せになれるはずだった二人の運命の歯車が狂いだし、暴走し始めます。

かくまって助けたはずの女子高生が数年後、
あれよあれよという間に、夏帆ちゃんを引き取った義父の古田さん、
喫茶店の常連客の池田さんまでをも巻き込み、喫茶店「どんづまり」の中で、ボスとして君臨。
4人の大人たちのピラミッドの頂点に立ち、その命さえも脅かします。
(ちなみに小松さんは生瀬さんの義理の弟という役どころです)

自分の手は汚さずに、大人たちの心を支配し、追い詰めるわけです。

あの事件当時、何度ニュースを見てもよくわからなくて、
たまたまNHKでやってた事件を追う番組を興味の赴くままに見たんですが、
ロバみみ、怖くなって気分が悪くなって、途中でギブアップ。
テレビを消しました……。

もうね、再現ドラマのクォリティがハンパなかったんです。
おそるべし。NHK。

あの事件のニュースを見て、思いませんでしたか?

何故、そんな事件に巻き込まれてしまったのか?
何故、一人の中年女性から大の大人が逃げ出せなかったのか?

と。

あのNHKの再現ドラマを見ていたら、ゾッとしました。
普通に暮らしていただけなのに、こんなささいなことで、
大の大人が巻き込まれ、追い詰められ、あげく命まで落とすことになるのかと。

そんなこんなで、最後まで見れなかったあの精神的苦痛を、
ねずみの三銃士で味わうことになろうとは……。

いやいや、誤解なきように言っておきますが、
作品としては、すごくよくできています。

クドカン、すごいな。

って、本当に思いました。

じわじわと支配されて、まさに「どんづまっていく」人間のありさまを
刻々と描いています。
落語の「饅頭こわい」とリンクさせてるところもさすがの腕前。

きっかけはささいなこと。

そこから「なぜ?」「どうして?」と尋ねられても、
「こうです」と一言で応えならないことの積み重ねで、
ドツボにはまっていく大人たちの心理ドラマが舞台の上で繰り広げられます。

あとは、観る側の心の問題だと思います。

ロバみみは、ほっこりしたり、切なくなったり、泣いたりバカ笑いした果てに、
救いのある物語が好きだし、人の人生はそうであって欲しいと思っているので、
実に苦しい時間になりました。

いや、しつこいようですが、
ほんと、もちろん笑えますよ。

だって、あの演劇界の三匹のオッサンの面白さは折り紙つきでしょ?
期待値大の小池さんも、舞台ごとにいい味出してる小松さんも。
夏帆ちゃんに関しては、よくこのダークヒロインを引き受けたなーと思いましたが(笑)

観劇後、心がザワザワして、黒い煙がぐるぐるしてしまったロバみみは、

「今、すごいキャラメルボックスとか観て浄化されたい」

と、思いました(笑)

いつもお芝居や映画を観たあとは、舞台のハシゴや本を読んだりして
記憶の上書きをしないようにしてるんですが、
この日ばかりは、鞄から本を取り出してガシガシ読みました(笑)

これは、お芝居を観る人には避けて通れない現実。
観終わるまでは、どんな気持ちになるかわからない。

でも、だからこそ、面白いわけです。

今回もいい経験をしたロバみみです。

さあ、4月は観劇ラッシュのロバみみ!
楽しみです。