『ロバみみ』

言いたい!でも言えない…。ならば、穴を掘ってでも叫びたい! そんな想いから綴り始めた独り言のようなブログです。 

・2/12『金閣寺』凱旋公演・千秋楽

2012年02月13日 | ・ロバみみの芝居小屋
「こんな幸福な時間がこの世にあるのか……」

剛くんが溝口から森田剛に戻った瞬間、客席で泣きそうになりながら
まさにそう思いました。

前回、足を運んだ公演に引き続き、千秋楽も神様はロバみみにご褒美席をくれました。
こんなとこから千秋楽観たら、泣いちゃうよ…。

剛くんを大きく育てたこの「金閣寺」という作品と出会えたことは
なんて幸せなことだったんだろう。

たくさんの素敵なセリフを聞けたことも、本当に幸せだったなぁ。
今、生活の中で、いかに言葉をサラッと使っているかがよくわかる。

「誰の目にも見える僕の誇りはないんか」

16歳の男子が、こんな風に自分を突き詰めて言葉を発したりすることが
今、平成の世にあるだろうか。

「君みたいに透きとおった考えでは生きていかれへんのや」

「透き通った」。

「きれいな」でも、「純粋」でもなく「透き通った」。
なんて素敵な表現なんだろう。

言葉フェチのロバみみは本当にうっとりと切ない心で、
溝口の頼りなく心細く、それでいて熱を帯びた言葉の数々を浴びていました。

まさに「最後の1日や」の千秋楽。
剛くんはいつも通り、神がかってた。

ストンと森田剛を削ぎ落として、溝口を受け止めたのだろうな…と思いました。
「俺としてはこう見せたい」みたいな役者としてのエゴとか欲とか、
剛くんって、そういう匂いを感じさせない人。

と、いうか、ないのかも。

そういう剛くんの役への取り組み方とか思い入れみたいなのって、
もしやパンフとかになら書いてあんのかな。
ロバみみはプログラム買わない派なんで、ああいうのって何が書かれてるのか
いまいちよくわからないないんですが……。

舞台も映画も、伝わってきたものだけをお持ち帰りすればいいと思ってるんで、
まあ、勝手なこと書きますが、
「よくわかんねーから」と、とりあえず「こうやって欲しい」という要求を
サラリと飲み込める人のような気がするんですよね。剛くん。

飲み込んで消化したものを、血や肉として身にまといながら、
役としての生を少しずつ自分に宿していく人。
そして、消化できないものは、元来の正直さで吐き出せる人。
それを何回も繰り返して、いつの間にか役の人生を背負ってそこに立てる人。

理屈で呑んで、感性で吐き出す。

そんな印象をいつも強く受けます。

いや、本当のところはわからないですよ。相手はなんせ森田剛ですから(笑)
でもね、ロバみみの中に見える剛くんは、そんな感じの役者さんなんです。

剛くんを好きでよかったな。
こんないい作品を観るきっかけをくれた剛くんに、本当に感謝です。

カーテンコールもひときわ大きな拍手を浴びていました。

ロバみみは恍惚状態だったので、いったい何回出てきてくれたのか覚えてませんが、
高岡くんと大東くんに担がれて、両腕でガッツポーズをぐいぐいしてた剛くん。
笑顔が最高に眩しかったです。

「降ろしてくれ(笑)」

って、小声で高岡くんたちに言ってましたけど(笑)

そしてさすが千秋楽。
金銀テープが噴射されました。
なんか思わず条件反射的に掴んじゃいました。ライブでもないのに。
習慣って怖い(笑)

そしてこれも感極まっててあまりちゃんとした記憶ではないんですが、
セットの後ろに「祝・千穐楽」みたいなのも出て、
何回かカーテンコールがあるうちに「皆様ありがとうございました」みたいなのが
追加されたりしてた気がします。
あとは紙ふぶきもキラキラ降ってきてましたね。

鳴り止まない拍手に何度も出て来てくれた役者さんたち。

「皆さんのおかげで、無事に千秋楽を迎えることができました。ありがとうございました!」

と、座長として頭を下げた剛くん。
ロバみみは惜しみない拍手を贈りました。

これで終りなんですね。

もう、あの濃厚な空間にもういられないのかと思うと淋しいです。
でも、だからいいのかもしれないですね。
「形ある芸術が俺はキライなんでね」と柏木も言ってましたね。確か。
その場限り、一瞬ずつがもう過去へと流れて消えて行くものの
刹那的な美しさってありますもんね。

こんな風におセンチになってるロバみみをよそに、
もうすでに剛くんは軽い身のこなしで、次の仕事に向かっているんだろうな。
置いていかれないようにしなくては!

また新たな感動を、剛くんはきっとくれるから。
それまでにロバみみも負けないくらい感度バツグンに心を磨き上げておくことにします。

コンプレックスの中で絶望の淵を眺めながら、
それでも生きることを渇望していた若者たち。
悩みも苦しみも「生きたい」と思えばこそのもの。
切なくて苦しくて、でも、静かに消えない若い生命力を
物語の中の彼らに見せてもらいました。

剛くん、本当にどうもありがとう。
そしてお疲れ様でした。

・『キツツキと雨』初日舞台挨拶

2012年02月11日 | ・ロバみみシネマ
新宿の角川シネマでのしょっぱなの舞台挨拶に行って来ました。

朝から新宿に行くのも、ちょっとしんどい感じだったんですが、
映画がとってもよかったので、上映後の気分は上々でした。
こういう作品、ロバみみは大好きです。

以下、ネタバレを含みますのでご注意願います。

平たく言えば、木こりと気弱な若手映画監督の心のふれあいを描いたストーリーなんですが、
この役所さん演じる木こりが、最高にチャーミングでした。

無骨で単純で大真面目におちゃめさん。
思わず「クスクス」と笑ってしまうシーンがたくさんありました。
別に笑わせようと思ってないんですよね。
本人、大真面目なんで。
でも、そこが可愛くておかしい。

さりげなく普通に過ぎてしまうシーンやセリフも、
後半に生きてくる伏線だったりして、
脚本も本当にうまいなぁ…と思いながら観てました。

役所さん演じる木こりの岸が、青年監督と助監督と出会って、
成り行き上、ひっぱり回されたあげくに、エキストラでゾンビをやらされたり、
いつの間にか現場を手伝う「使えるヤツ」になっていく展開も無理なく
そして微笑ましく見る事ができる。

最初は若手監督の幸一を、ダメな若いヤツとイラだっていた岸も、
幸一の書き上げた台本を読んで泣き(ゾンビ映画なんだけど)
次第に幸一と映画に興味を持ち始めるわけです。
仮病まで使って嬉々として現場を手伝い、幸一よりなじんでしまうという(笑)

一方、現場で年上のベテランスタッフに囲まれてオドオドしていた幸一も、
岸のペースに巻き込まれて、うまく現場が回り始めた時から、
監督としての立ち居地で、きちんとモノを言えるようになっていく。

少しずつ、小さなことを積み重ねていく丁寧な描き方がすごく好感の持てる作品。
観終わったあと、心がほっこりします。

ロバみみは、現場放棄した幸一が脱走に失敗して連れ戻されるシーンで
「監督できる奴は幸せなんだぞ!」という助監督のセリフが印象的でした。

どうして監督になりたかったのかは語られるけど、
どうやって若くして監督になったのかがわからなかったので、
ちょっと触れてくれたら、嬉しかったかな。
苦労してなったのか、何かで賞をとって運良くデビューしたのか、
それが幸一の弱々しいキャラの裏づけになって、それによって感情移入の仕方が違ってくるから。

あと他には、朝食の味海苔を、お箸でつまむのではなくて、
指にくっつけて御飯に乗せる岸親子のさりげないシーンも、
セリフなくして人物像が伝わってきて、いいなぁ…と思いました。

そして、久々に旬くんの演技にも満足できました。
ずっとモヤモヤしてたけど、こういう姿を見せられると、やっぱりいいなって思います。
主役じゃなかったのもすごくよかった。
役所さんのキャラを引き出す副主人公としての役割を十二分に果たしていました。

で、肝心の舞台挨拶は、旬くんは薄いグレーの着物に蒼い羽織。
ブーツと帽子。着物のインナーにはシャツきてたかな。

それでなんか、今日の旬くんは可愛さを取り戻してた。
キレイな顔になってた。何が違ったんだろ?

挨拶もキチンとできてました。荒川UTBの時はどうしようかと思ったけど。

「役所さん、チャーミングだったでしょ? 僕も大好きです」って言っていました。

思い出深いシーンは、お風呂のシーンだそうです。
あのお風呂のシーンは、ロバみみ、本当にケタケタ笑っちゃったんですけど、
氷点下くらいの気温の中でハダカでガタガタ震えながら撮影したそうです。

キャンペーンで色々出かけた時には、役所さんが普段出ないような番組に一緒に出たので、
「こういう番組に役所さんがっ?」って思ったそうです。

角川のスタッフさんから特注の「キツツキ飴」がプレゼントされたんですが、
棒の先にくっついた飴細工のキツツキを役所さんの肩にとまらせながら写真撮影したり
ちょっと可愛かったです。

最後の挨拶の時、「キツツキの足が折れちゃって…」と監督。
役所さんは「不吉だ」と言ってましたが、
そんなおちゃめな監督の人柄が、映画に出てるんだろうなぁと思いました。

ロバみみは、甘いもの断ちをして映画の撮影がうまく行くように賭けていた幸一が
岸にあんみつを口にねじ込まれて、その願掛けを破っちゃいながらも
映画が無事に完成したから、きっと大丈夫ですよって言ってあげたかったです(笑)

東京国際映画祭で特別賞、ドバイ映画祭で脚本賞、編集賞、主演男優賞を受賞。
そして台湾での上映も決定したそうです。

年配の方も楽しめると思います。
春待ちのこの時期、一足お先に心が温くなる素敵な作品でした。

・1/6『金閣寺』凱旋公演

2012年02月07日 | ・ロバみみの芝居小屋
この日は神様の采配で頂いた超キラキラ席!
だんもんで、朝からソワソワのロバみみ。

「今日一日、つつがなく定時を迎えられますように…」

そしてチャイム。
脱兎のごとく会社を飛び出すロバみみ。いざACTシアターへ。
そして、大好きな剛ちゃんにラブ注入。

初演から幾度となく足を運んでいる作品ではありますが、
こんなに集中力がとぎれずに観れるって、本当にスゴイ作品です。

溝口として舞台の上にいる剛くんの集中力も、かなりなものです。
終ったあと、ぐったりしてないか心配になってしまう程。

自分でもビックリしたんですが、この日、
剛くんの表情を見ていたら、吸い込まれそうになりました。

ものすごい引力。

「なんか、ひっぱられてる気がする…。やばい、体から中身が出そう」

って、思いました。
あの感覚を上手に表現できないのがもどかしいんですけど、
溝口が憑依した剛くんに、ロバみみもとり憑かれて
物語の中に引っ張り込まれそうになるような感じ。

あやうくACTシタアーで幽体離脱しそうになりました。

そんな風に、観客の心を引きずり出してしまいそうになるほど、
剛くんは何かを「解脱」して、ワンステージ高い場所に昇ってしまったのかもしれません。

剛くん、いつの間にこんなスゴイ人になっちゃったんだろう…。

って思ったら、なんだか泣きそうになりました。

金髪で、眉毛整えちゃって、今どきの若い男の子だったのに、
そんなちゃちなイメージをどんどん超えて行って、どんどん塗り替えてしまった。

目を離さずにずっと見てきたつもりなのに、
気付いたら剛くんは、やっぱり選ばれた特別な人なんだって
理屈ではない、ものすごい説得力で客席のロバみみの心を圧倒してくる。

これが泣かずにいられようか…。

「森田剛みたいな男が好きなら、渋谷に行け。似たようなのがゴロゴロいるだろう」

と、よく言われたものでしたが、
剛くんはもう、剛くん一人しかいません。
誰にも似てないし、誰も代わりにはなれないです。

個性と才能に溢れた人たちの世界に生きる厳しさの中、
これだけのものを見せられる強さと誠実さを持つ剛くんは、まぶしすぎる。

柏木と対峙するシーン。
君のような生き方はできないと言い切る溝口が、

「君だって自由には生きられへんやろ…!」

と言い放った言葉の感じにグッと来てしまって、本当に切なかったです。

他にも、憎んでいたお母ちゃんに言う
「気ぃつけて帰りや」と、最後を思わせる一言とか、
小さなセリフにまで、たくさんの想いがつまっていて、
本当に見ても見ても、まだ感じ入るものがなくならない。

剛くんが溝口でいられるのは、あと1週間。
ずーっと観ていたいけど、終りは必ず来てしまうのですね。

この日のカーテンコールは、やっぱり拍手が鳴り止まなくて、
最後にもう一回出て来てくれました。

溝口から解放されて、いつもの笑顔に戻った剛くんに、
ロバみみの肩の力もやっと抜けました。

ロバみみの観劇も、残すところあと1回。

溝口が金閣を眺めるように、ロバみみも最後の日を「しみじみ見たい」です。