『ロバみみ』

言いたい!でも言えない…。ならば、穴を掘ってでも叫びたい! そんな想いから綴り始めた独り言のようなブログです。 

・『東京月光魔曲』

2009年12月29日 | ・ロバみみの芝居小屋
何故チケット発売を忘れていたのか…。こんな豪勢な舞台の。
きっと、多分、カミコンやら、剛くん舞台の申し込みやらで
テンパっていたに違いない。

でも、素敵な方に譲って頂けたので無事に鑑賞の運びとなりました。
「東京月光魔曲」。

3時間半の長い芝居でした。
内容は…うーんと、すっごく簡単にいうと、
「姉を愛する弟が邪魔者を殺害する愛のミステリー」…みたいな?

まあ、美しい姉(松雪さん)と愛しあう弟(瑛太くん)。
姉は金銭を介して、複数の男と関係を持っていて
その相手の男達が、自分の妻に次々に惨殺されて行く。
…何故か。
その謎に迫る探偵(橋本さん)と助手(犬山さん)、
そしてミステリー作家(大倉さん)。
様々な人の思惑、そして、人生がからみあう中、
殺人の謎が解けた時、最後に残ったのは姉と弟二人の愛。

って感じ…?

いや、難しかったんですって!
とにかくシーンが細切れで、登場人物も多くて、
そして、それぞれの関係があきらかになるのが遅々とした感じで。

ちょっと盛り込み過ぎ感もあったかなぁ~。
舞台で客にわからせるには、もう少しパーツを大きくした方がいいかも。
なんていうか、ガラスが割れた破片が大きければ
並べてくっつけることもたやすいけど、
ちいさく砕けてしまって飛び散っているので
なかなかもとの形が見えてこない…みたいな。

もちろん面白いんです。
大倉さん、最高です
瑛太くんも、「牡丹灯篭」より断然こっちの役の方が
クセも色気もあってよかったし。
橋本さとしさんも素敵。
他にも伊藤蘭さん、犬山イヌコさん、ユースケさん、山崎一さんと
豪華俳優陣なんです。
見応えは十分にあります

ただ、松雪さん演じる姉の澄子が、何故、売春まがいのことしてるのか、
よくわからなかったし、
ユースケさんと元ジョビジョバの長谷川さんの兄弟が
そんなに物語りに食い込んでる感じがしなくて
残念というか、もったいない気もしました。

もうちょっと、租借しながら観たい感じの作品。
でも、ケラさんテイストはたっぷりで、
ブラックで笑えて、毒があって、そこんとこはよかったです

余談ですが、水谷豊氏が観劇にいらっしゃってました。
奥様を観に来られたんですね~。

・『jam』

2009年12月12日 | ・ロバみみの芝居小屋
自分も、こういう作品のワビサビがわかる大人になったんだなぁ…。
と、思いました。
グリングの「jam」。

青木豪さんの「IZO」の脚本がすごくよかったので、
いつかグリング、観たいと思っていたんですが、
なんと活動休止公演。
そっか、これでしばらく観れないのか~

ストーリーはとあるペンションの一夜の出来事。
妻を亡くしたオーナーと、彼を手伝う義理の妹。そしてその実姉。
泊り客である一組の年の差カップルと、ぶっとんでる今時の青年。
第九の演奏会に向けて集まった指揮者、ピアニスト。
ピアニストに想いを寄せる男性。
閉塞的でありながら、そこから少し外に
にじみでた心模様を描いた作品。

それぞれの事情、それぞれの想いが
少しずつ、じんわりと表面に浮き出てきます。
派手さはないです。
でも、始まりと終わりでは、ほんの少し違っている。
地味に少しずつ、ゆっくりと心が。

他人から見たらくだらないことでも、
本人にとっては手放せない心の痛みだったりする。
もどかしくて、爆発しそうなんだけど、
どこかしけった花火みたいに、歯切れが悪くて切ない。

でも、大人ってそうですよね。
いくらでも、心にカバーをかけて、
辛い気持ちも、いつかやらなきゃという気持ちも隠せてしまう。

劇中、「逃げることは簡単だからズルイ」みたいなセリフがありましたが、
目をそらしてきた思いが、ギリギリの表面張力で
限界を迎えようとしている夜のお話…という印象でした。

抽象的すぎて、伝えきれないですが、
そんな「あいまい」さも、この作品の雰囲気に似て…(笑)

登場人物のヒステリックな若い女の子と、ぶっとんだ男性が
大人たちとのコントラストとして効いていました。
あんな爆発力は、田舎の大人たちにはないの。
どこかあきらめて、疲れてたりして。
でも、急発進できなくても、明日に向ってみんな生きてる。
何かを捨てることも、守ることも勇気がいる。
大人って小難しい生き物だと、自分の心の中を一緒に覗きながら
2時間過ごしました。

たまにはこんなシミジミした作品もいいものです。