『ロバみみ』

言いたい!でも言えない…。ならば、穴を掘ってでも叫びたい! そんな想いから綴り始めた独り言のようなブログです。 

・『8月の家族たち』

2016年05月15日 | ・ロバみみの芝居小屋
「8月の家族たち」を観にシアターコクーンに行ってきました。

もうこの劇場で、蜷川さんをお見かけすることもないのだなぁ……と思ったら、
すごく淋しかったです。

お加減がよくないと伺っていたのですが、
夏を待たずに逝ってしまわれましたね。
また日本の宝が……。

でも、55歳以上の方を団員として集めた、さいたまゴールド・シアターを手がけた蜷川さん。
きっと、きっと「天の国・芸術劇場」の芸術監督に就任して、
また豊富な人材を発掘しながら素敵な作品を作っていくのだろうと思います。

心からのご冥福をお祈り致します。

そして、夏に蜷川作品として世に出るはずであった「ビニールの城」。

このようなお知らせがありました。

蜷川さん監修として追悼上演。

剛くん、魂こめて、天国まで届けて欲しいです。

さて、ケラさんの「8月の家族たち」です。

二回の15分休憩を挟む、三幕3時間15分の作品。

「ながっ」

と、タイムテーブル見て思ったのですが、面白くてあっという間でした。

ケラさんの群像劇は、ブラックだけど笑えて、笑えるけどシビアで好き。

物悲しさを感じても、後味の悪さは私個人は感じないので、
いつも不思議な演出家さんだなぁと思いながら劇場を後にします。

お話は、父親の失踪をきっかけに、薬中毒の母親(麻美れいさん)の住む実家に
三人の娘(秋山奈津子さん、常盤貴子さん、音月桂さん)が帰ってきて巻き起こる家族のゴタゴタです。

それぞれが秘密と問題をかかえていて、それが少しずつ明るみに出ていく。

この母と娘を軸に、木場勝己さん、犬山イヌ子さん夫妻と、
長女のムコ・生瀬さん、次女の秘密の彼氏・中村さん、三女の胡散臭い婚約者・橋本さとしさんが
からみに絡んで、こじれていくんだけど、秘密はどんどん暴露されていく。

久々に、休憩早く終わらないかな。続きが観たい。

って、思いました。

私的には、やっぱり秋山奈津子さんが本領発揮ですごいよかったです。

「鉈切り丸」の時には、もっと弾けた秋山さんが観たいなぁって思っていたのですが、
今回は弾けています。

長女らしさ爆発してました。

ギャーギャーわめいているようでも、セリフが聞き取れるし、
ヒステリックなすごみが笑いを誘います。

「アタシが仕切ってんのよっ!」

の、一言には爆笑しました。

生瀬さんとワインのコルクを抜く時の細かい演出まで笑えました。

麻美さんも色っぽくて素敵でした。
犬山さんは、なんであんなに面白いんだろう。

すっとぼけた感じの木場さんとは夫婦漫才みたいでした。
秋山さんと生瀬さんのカップルもどつき漫才みたいでおもしろかったし。

でも、それぞれの登場人物にもドラマや葛藤があって、
ホント、おもしろかったです。

それぞれの自分の人生を歩いている娘たちが、
ちょっとイカれた老いた母の面倒はどうするかとか、
結婚だの離婚だの、思うようにいかない子供の心配だのって、
客席の年齢層を見たら、他人事ではないと思う方も多かったはず。

笑いながらも、

笑えねぇな、こりゃ。

という、現代人の心の闇をかすめつつの3時間15分。

冒頭シーンでちょっと落ちそうになりましたが、
最終的には、食い入るように観ている自分がいました。

井上ひさしさんも亡くなり、そして蜷川さんも亡くなり、
本当に淋しくなってしまいましたが、
偉大なる作家・演出家なきあとの演劇界。

素敵な舞台人の方々のお力で、是非、盛り上げていって頂きたいと思いました。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。