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エジプト旅行記 - 仕方噺 4日目 アビドス その2 オンム・セティ

オンム・セティの話

ちょうど3月7日の「世界ふしぎ発見」で「古代エジプト3000年の恋物語 ファラオの愛した巫女」の放送があった。アビドスへ向かうバスの中で、ガイドの小牧さんがオンム・セティの話をしてくれたので、帰国してすぐに「転生―古代エジプトから甦った女考古学者」と、今回の放送の時紹介されていた「転生者オンム・セティと古代エジプトの謎―3000年前の記憶をもった考古学者がいた! 」を読んでみた。

3才(1907年)だったドロシー・イーディは、ロンドン郊外の自宅で階段から落ちてしまう。駆けつけた医者は死亡と診断し、ドロシーを2階のベッドへ運ぶ。1時間後、再び看護婦と共に2階へ上がると、ドロシーがベッドに座りチョコレートを食べていた…。
その後、ドロシーはことある毎に「おうちに帰りたい」、「私のおうちはここではない」と言うようになる。4歳の時、大英博物館に行ったドロシーは、古代エジプト室から動こうとしなかった。ミイラ室では「この人たちは私の仲間…」と言い、両親を気味悪がらせた。7歳の時、父親が買ってきた雑誌の中に、セティ1世葬祭殿の写真を見つけ、「これがあたしの家…」と叫んだ。そして、セティ1世のミイラの写真を見ると「誓ってこの人を知っている。とても優しい人だ」と。10歳の時、大英博物館エジプト・アッシリア室長のウォーリス・バッジに出会い、すぐにヒエログリフを読めるようになってしまう。ドロシー曰く「ずっと昔ヒエログリフを知っていた。ただ、忘れていただけ」だと。
14歳の時、初めてセティ1世がドロシーの元を訪れた。しかも、以前雑誌の写真で見たのと同じミイラの姿で。
29歳になったドロシーは、イギリスに来ていたイマームとの結婚を決意し、いよいよエジプトへ渡ることになる。

エジプトに行ったドロシーの所に、セティ1世は(今度は人間の姿で)頻繁に訪れるようになる。ある晩、義父が「ファラオがいる」と叫びながら、ドロシーの部屋から飛び出してきたこともあったそうだ。そして、ホルラーという(過去の)人物が語った物語で、ドロシーは自分の過去を知ることになる。

自分はベントレシャイトという名前で、巫女として建設中のセティ1世葬祭殿の北にある古い神殿に仕えていた。そして、セティ1世が神殿の工事を視察するためにアビドスを訪れ、庭のそばを通ったときに花を摘むベントレシャイトを見初めてしまった。やがて身ごもったベントレシャイトは、大神官に処女の誓いをたてていたため、自ら命を絶つことになる。

イマームとの間に子供ができ、周囲の反対を押し切りセティと名付けた。しかし、結婚生活は3年で終止符を打ち、イマームはセティが5歳の時に、面倒を見ていないことを理由に息子を引き取ることをドロシーに告げた。
ドロシーが初めてアビドスを訪れたのは1952年の時。そして1956年、51歳の時にやっと永住の地アビドスへ旅立つことになる。オンム・セティという呼び名は、セティの母という意味である。エジプトの村では、結婚している女性を本名で呼ばず、子供の名前を取り誰々の母という呼び方をする。一説によると、邪術を行うときに対象となる人物の母親の名前が必要になるという。(名前を知られないために本名では呼ばない)
オンム・セティは、アビドスのセティ1世葬祭殿修復に力を注ぎ、1981年4月21日聖なる街アビドスで亡くなった。

オンム・セティが生きている間に起こした、数々の奇跡は本を読んでいただいた方がいいだろう。小牧さんも、生前のオンム・セティに会ったことがあるという。私も是非会ってみたかった。

本に書いてあったと思うが・・・
双子の子供は、寝ている間に猫の姿になって歩き回るという。だから、寝ているときに急に起こしてはいけないらしい。あるとき、近所のおばさんが一匹の猫を追っ払った。翌日、男の子が「このおばさんに怒られた」と言った話がある。
セティ1世葬祭殿
オシレイオン。ふしぎ発見ではかなり水が引いていた
セティ1世葬祭殿内部
オンム・セティの貴重な映像は、ナショナル ジオグラフィック 「古代エジプト 永遠の命を求めて」で見ることが出来る。
ナショナル ジオグラフィック 「古代エジプト 永遠の命を求めて」
はこちらから検索してください。
ナショナル ジオグラフィック
日経ナショナルジオグラフィック社

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転生―古代エジプトから甦った女考古学者
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