ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

10/05/23 五月文楽第一部②「碁太平記白石噺」「連獅子」

2010-06-03 23:31:35 | 観劇

「碁太平記白石噺(ごたいへいきしらいしばなし)」は初見。ご一緒したさちぎくさんにお聞きしたところ、歌舞伎でも菊五郎劇団などで上演されているという。いつか観ることになるだろうか。
Yahoo!百科事典の「碁太平記白石噺」の項はこちら
【碁太平記白石噺】浅草雷門の段、新吉原揚屋の段
あらすじは、歌舞伎の演目を紹介されているこちらのサイトからほぼ引用。
江戸にいる姉を頼って奥州から出て来たしのぶは、浅草で悪人に売り飛ばされそうになるが、吉原の揚屋・大黒屋の亭主惣六に助けられ、吉原に連れて来られる。
しのぶの奥州訛りを廓の人々はからかうが、同じ奥州の出の傾城・宮城野がこれを庇う。お互いの身の上を語り合う内に2人が実の姉妹であることが分かり、思いがけない再会を喜び合う。妹から父の非業の最期の様子を聞いて宮城野は仇討ちを決意。話を聞いていた大黒屋の亭主惣六は、逸る気持ちの2人を曽我物語になぞらえて諭し、協力を約束。惣六の意見に心打たれた2人は、周到な準備をした上で仇討ちをすることを改めて決意する。惣六は宮城野の年季証文と吉原大門の通行手形を与え、2人は敵討ちへと出発するのだった。
ネット検索でテキストも見つかったのでリンクしておこう。 

(人形役割)
豆蔵(大道芸人どじょう)=吉田蓑二郎 大黒屋惣六=吉田文司 茶店亭主=吉田玉勢 金貸観九郎=吉田玉志 妹しのぶ=吉田文雀 傾城・宮城野=吉田和生 禿しげり=吉田玉翔 新造宮里=吉田蓑二郎 新造宮柴=桐竹紋臣、ほか
<浅草雷門の段>
口 豊竹始大夫・鶴澤清丈
奥 竹本千歳大夫・鶴澤清介
あらすじでは省略されているが、幕開けは大道芸人どじょうが手品の芸を見せ、稼ぎの銭で酒を飲みにいくところから。茶店に大黒屋惣六が待ち合わせで来て、続けてどじょうに取立てにきた九郎がやってくる。あまりのならず者ぶりに亭主が隠れて一矢報いるところが笑える。
巡礼姿のしのぶが吉原にいる姉を探していると聞きつけた観九郎。吉原に入るに必要な身元引受人になるとしのぶを騙して売り飛ばそうとする。そこを大黒屋惣六が承知して、しのぶを買うと五十両を渡す。大金を懐に飲んだ酒で酔った観九郎を地蔵に化けたどじょうが騙して金を巻き上げるというチャリ場で頼ませてもらった。
この場面は文楽ならでは楽しめる場面といったところかなぁと推測。

<新吉原揚屋の段>
切 豊竹嶋大夫・鶴澤清友
大黒屋に連れてこられたしのぶを花魁の宮城野に引き合わせるために新造たちが連れてくるが、しのぶの奥州訛りを馬鹿にしてなぶる。廓で年上の女郎が入りたての少女をいじめるところはTVドラマで有名になった「JIN-仁-」の原作の漫画に花魁・野風が子どもの頃に生意気だとつねられていたという場面があったなぁと思い出す。
そのお国訛りで宮城野がしのぶの境遇をきき、共通のお守りで姉妹と知れる。しのぶから父が代官に殺された後で母も亡くなり、姉妹で一緒に敵を討ちたい一心で姉を探しにきたという必死の思いを聞き、宮城野も妹に年貢に困った父のために身を売ったという経緯を語る。
敵討ちのために年季あけを待たずに廓を抜け出す決意を固めた二人を大黒屋惣六が諌める。曽我兄弟を引き合いに出して時節を待てと説得するのだが、この惣六という人も野風を抱えた揚屋の主人のように情け深いなぁと、またここでも漫画と重ねてしまう自分が可笑しかった。
嶋大夫が熱く語り、文雀が元気いっぱいに遣う奥州訛り丸出しのしのぶが可愛い。姉の宮城野が全盛の傾城なのに落ち着いて奢ったところがない様子を和生がしっとりと遣うのもいい。
二列目センターという良席で楽しませていただきました。チケットを一緒にとってくださったさちぎくさんに感謝m(_ _)m

【連獅子】
雄獅子=豊松清十郎:豊竹英大夫、雌獅子=吉田勘彌:竹本三輪大夫
子獅子=吉田清三郎:竹本相子大夫、豊竹希大夫
竹澤団七、竹澤団吾、豊澤龍璽、鶴澤寛太郎、鶴澤清公

父母子の「三人連獅子」は2008年8月に歌舞伎座でも一度観ているが、あまり面白くなかった記憶が・・・・・・。
文楽で獅子ものを観るのは初めてなので、興味しんしん。毛振りとかやるのかなぁ??

雄獅子は子獅子を一度ならず谷底に突き落とす。二度目になかなか上がってこないので、雌獅子が谷を覗き込み、川面に映ったその姿に子獅子が励まされて駆け上がる。
前シテから後シテへの着替えは人形だから簡単。長いタテ髪は雄獅子が白、雌と子が赤。歌舞伎と違って顔は元の首(かしら)のままなのも可愛い感じ。
髪を左右に振るだけかなぁという推測ははずれ、しっかりと毛振りをしてくれた。二十回とかではなく、五十回近く回してくれたのではなかったかな。
女方や二枚目を遣う清十郎が勇壮な雄獅子を遣うのを観るのも嬉しい。最後は子獅子を遣っていた清三郎が一番苦しそうだった。一番若いのじゃないのなかぁとちょっと意外で応援したくなった。

五月文楽も実に面白かった。九月は第二部の「桂川連理柵」が初見の狂言になるので楽しみだ。

写真は公式サイトで今公演のチラシ画像の傾城宮城野。
5/14五月文楽第二部①「団子売」
5/14五月文楽第二部②「新版歌祭文」約40年ぶりの本格バージョン
5/23五月文楽第一部①大スペクタクルの「金閣寺」


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4 コメント

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連獅子 (テンプル)
2010-06-04 02:29:27
文楽の連獅子の子獅子を遣う人形遣いは、昔から将来を期待される、若手があたるそうです。
初演当時紋十郎さんが評判をとり、初演の年だけで3回この演目を行ったそうです。
近年では、勘十郎さん、清十郎さんが襲名を受ける前に子獅子をお遣いになられたそうですが、実はこの三体のなかで、子獅子が最もしんどいそうです。肩や腰に相当来ると聞きました。
千秋楽を拝見しましたが、完全に息が上がっているかの清三郎さんが、渾身の力を振り絞っての立ち姿にはなにか神がかったものを感じてしまい、涙があとからあとからあふれてきてしまって・・一緒に観ていた友人に「大丈夫?」(爆)・・別に大丈夫でしたけどね
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★テンプルさま (ぴかちゅう)
2010-06-04 23:17:32
こちらにもコメントを有難うございますm(_ _)m
>文楽の連獅子の子獅子を遣う人形遣いは、昔から将来を期待される、若手があたる......なぁるほど納得です。確かに谷底に突き落とされるところは3人で飛び降りてましたよね。クルイの前にそういうところで体力を消耗してしまうんですね。教えていただきまして感謝です!
それと、貴ブログの紋寿師匠の桐竹紋様の刺繍入りのお染の襟かけの記事に嬉しくなってしまい、先にアップしていた「新版歌祭文」の記事で追記でご紹介させていただきましたのでご報告申し上げます(^O^)/
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桐竹紋の刺繍の件 (テンプル)
2010-06-05 02:27:25
ご丁寧にお取り上げいただきこちらこそうれしゅうございます。
紋壽師匠にもお伝えしておきます。
ちなみに師匠は今月77歳のお誕生日をお迎えになられますので、何よりの贈り物になるかと。
一歳年上の簔助師匠と共にまだまだ頑張って舞台で輝き続けて欲しいと祈念します。
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★「ええねん!文楽」のテンプル様 (ぴかちゅう)
2010-06-08 00:33:14
>紋壽師匠にもお伝えしておきます......光栄に存じます。
「新版歌祭文」の記事にもコメントを有難うございます。そちらに
>師匠が同じの兄弟子弟弟子だったおふたり......とあってなるほどと納得した次第です。なにせ、文楽観劇歴が浅い私です。またいろいろと教えていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
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