ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

08/07/26 歌舞伎座昼の部①「義経千本桜 鳥居前」

2008-07-30 00:33:23 | 観劇

七月大歌舞伎昼の部は「義経千本桜」の海老蔵の狐忠信関連の通し上演。昨年3月に昼夜の通し上演を観ていて、比較もできるので大いに楽しみにしていた。千穐楽夜の部観劇を目前に簡単に書いていこう
昨年3月の「序幕 鳥居前」の記事はこちら
【義経千本桜】「鳥居前」
今回の主な配役は以下の通り。
佐藤忠信実は源九郎狐=海老蔵
源義経=段治郎 静御前=春猿
武蔵坊弁慶=権十郎 早見藤太=市蔵

幕開けに段治郎の義経の声が響くのが実にいい。舞台の真ん中に亀井・片岡・伊勢・駿河を従えてすっくと立っている姿も実に見栄えがする。よくぞここまでという感慨が湧く。

春猿の静御前は美しい・・・・が、くねくねしすぎ。台詞回しもふらふらしすぎ。静御前は元々白拍子=遊女だし、義経の愛妾なのだから、いくら置いていかれそうで死にたくなるほどの動揺の場面とはいえ、そういう立場の女であることをはずしてはいけないのではないか。これじゃ、おぼこ娘の静ちゃんという感じだ。時代物での大役抜擢の荷が勝ちすぎたかもしれない。

この場面の武蔵坊弁慶の拵えは道化っぽい。権十郎だとすぐに気づかなかったが手堅かった。市蔵の藤太も半道敵の感じを手堅く出していた。一昨年はここは笹目忠太だったので、次の「吉野山」に藤太が出る出ないで変えてしまう歌舞伎の融通無碍なところがいい。役名だけでなく台詞も違うらしい(なんとなくしかわからなかったが(^^ゞ)。
静御前が藤太の手に落ちるところを海老蔵の狐忠信が登場して救うのだが、この登場が実によかった。菱皮の鬘に火焔隈、馬簾付き四天に仁王襷をしめて荒事の拵え。お江戸ではやんややんやと受けそうなスーパーヒーローの登場という感じ。火焔隈にはさらに白い狐面によくあるような黒のラインが点々と切れ目を入れていて、実に狐に見えた。まさにスーパーお狐さまだ。筋書の舞台写真よりも売店の舞台写真よりも点々の離れ具合がより誇張されていて顔の拵えも工夫を重ねているんだなぁと感心。

この役は昨年の菊五郎よりも、今回の海老蔵の方が荒事の魅力が引き立って感じ取れた。初役だというがニンに合っていて立派な忠信だ。それにしても藤太の台詞に「その源氏車(四天に模様あり!)は忠信だな」というのがあったが、そういう説明も入れないとこの演出になってすぐの頃(昔昔)もこれが忠信だと観客もわからなかったんだろう。そもそもこの場面、伏見稲荷の鳥居前だというのが作者の着想の良さ。あれもこれも面白い。
今回つくづく「鳥居前」は歌舞伎の典型的な役柄を並べて楽しむ一幕でもあったのだろうということを、今回あらためて納得して観ることができた。

写真は歌舞伎座前の絵看板のケースのところ。七月らしく笹に長方形の短冊状のものがいろいろな色で舞っている。毎年そうなのかもしれないが今回初めて気づいて嬉しかった。
「吉野山」「川連法眼館」と続けて書く予定。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿