ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

09/05/16 封切日にゲキ×シネ「五右衛門ロック」

2009-05-18 23:57:35 | 映画(映画館、DVD、TVを含む)

劇団☆新感線の「五右衛門ロック」は早々にゲキ×シネになることを予想して確信犯的に観劇を見送っていた。そうしたらなんと自宅近くのシネコンでの公開もありという予想を上回る嬉しいオマケつきで5/16に封切り。
自転車で10分のシネコンにはなんだかんだと足繁く通ってしまうし、そこで「五右衛門ロック」の宣伝ポスターがババーンと貼られてしまったりすると、いつ観ようかとソワソワする。ところが上映期間が短いことがわかったので急遽、何も予定の入っていない封切日に娘も誘って2回めの上映にかけつけた。

【劇団☆新感線RXシリーズ「五右衛門ロック」】
やはり埼玉の地の映画館では劇団☆新感線もそうメジャーではなく、土曜日の封切日だというのに余裕のよっちゃんで希望する最後列の席がとれた。デニーズランチを食べて少し遅れていったら予告編なしだったようで始まってしまっていて失敗~。しかしながら「五右衛門ロック」のタイトルまでには間に合ったからまぁいいや(^^ゞ
<スタッフ>
作:中島かずき 演出:いのうえひでのり 作詞:森雪之丞
<キャスト>
古田新太、松雪泰子、森山未來、江口洋介、川平慈英、濱田マリ、橋本じゅん、高田聖子、栗根まこと、北大路欣也、他
<あらすじ>「演劇ライフ」の記事が一番詳しいのでご参照を!

先月観た「ムサシ」も巌流島その後のお話だったが、こちらの「五右衛門ロック」も釜茹での処刑後のお話ということでこういう有名なエピソードを踏まえると芝居がつくりやすいのだなぁと妙に納得。
今の日本で一番人気のある泥棒物の「ルパン三世」にもルパンの仲間として十三代目石川五ェ門が登場するくらいだし、今回の「五右衛門ロック」も主要3役がそのパロディ的なキャラクター設定だと思った。五右衛門がルパン三世、真砂のお竜が峰不二子、岩倉左門字が銭形警部だろう。次元や五ェ門は抜きだね。

劇団☆新感線の舞台も時間が長いが、今回は超豪華なキャストそれぞれに見せ場をつくり、これでもかこれでもかというくらい盛りだくさん。楽しさいっぱいお得感いっぱいの舞台だった。

古田新太の五右衛門はその存在感の大きさと愛嬌で大百日鬘のような髪型もどてらのような衣裳から赤褌がのぞくのも魅力的。峰不二子ほど胸が大きくはないけれどお色気たっぷりの松雪泰子のお竜もいい。その動きのいい踊りっぷりには映画「フラガール」を思い出した。綺麗なんだけどコメディも大丈夫なところが劇団☆新感線にはハマる女優だと思う。江口洋介の左門字は三枚目もやれるのかという感じでよかったがギター侍の場面は頑張ってるのはわかるが他の出演者に比べるとちょっとインパクト不足。そうなると冗長な場面に感じてしまうのが残念。
「メタルマクベス」に続き王子役の森山未來は井上芳雄そっくりに見えた。二人とも素顔は地味だが舞台メイクが映えてノーブルな顔になる。歌も頑張っていたがなんといってもダンスで魅せてくれる。川平慈英とのタップ合戦も見応え十分。
橋本じゅんと濱田マリのボノー・シュザク夫妻も可愛くてよかった。まるでパイレーツ・オブ・カリビアンのジョニー・デップみたいな拵えも笑えた。濱田マリはNODA・MAP「走れメルス」以来だと思うがこういうハイテンションがぴったりだし、やっぱりTVの「あしたま」の声と同じ声という馴染み感が嬉しい。
川平慈英はこまつ座の「私はだれでしょう」以来。右近健一と二人でイスパニアの死の商人役って胡散臭さがブルーチーズくらい臭っていて美味しかった(笑)
そして劇団☆新感線初参加の北大路欣也のクガイの存在感が素晴らしい!!高田聖子のインガとお竜の二人の女が惚れ込むのも無理はないし、王子に最後は父の素晴らしさを見せつけるのに人間の大きさを感じさせる魅力いっぱいのクガイだった。

麻薬のような成分を含む岩塩「月生石」の島を消滅させてともに沈んでいくって、宮沢賢治の「グスコーブドリの伝記」のようだと思った。この宮沢賢治の思想も最近読んだ『地獄の思想』で捨身飼虎のような仏教思想だとわかって感心したばかりだったのだが、中島かずきの書く物語はエンタメだけでなくこういうところまで行き着く魅力がある。
まさにエンタメストーリーの中心にはこういうぶれない軸が通っていて、そのキャストが北大路欣也だったというのがまた素晴らしい作品だったと思う。本当の主役はクガイだったんじゃないかという観方もできる。いろいろな角度から楽しめる上質な作品だった。

しかしこれは家でDVDでは観ないだろうなぁ。また次にゲキ×シネで上映する企画がある時に大画面で観たい。あ、うちのTVが14インチだからってわけじゃないですよ(笑)

ゲキ×シネ「五右衛門ロック」公式サイトゲキ×シネ初となるパンフレット発売とあったのでしっかり買う。ページ数は多くないが舞台写真がしっかり入っているのと読むところが充実しているので800円でもこれなら文句なし(笑)写真は私のメビウスの上に置いて携帯で撮影したパンフレット。表紙が実にカッコいい!


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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いぶし銀! (かずりん)
2009-05-19 11:22:40
>宮沢賢治の「グスコーブドリの伝記」のようだと思った。
ほほ~~~う!そうなんですか!
一度読んでみなければ・・・。
ぶれないお話に、ぶれるどころかどっしり根の張った
大木役者がご登場!・・となれば
も~~~♪これはっ!素敵っ!としかいい様が
ないでしょ!!
北大路さん・・・本当に素敵でした!
いや~~~舞台で初めて拝見するまで
華麗なキムタクパパ・・・ぐらいにしか思ってなかったんですよ。
舞台拝見させていただき、目がテン!でした!
やっぱり、いぶし銀は違いますねっ!!(興奮!)
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まさしくルパン三世! ()
2009-05-21 00:59:15
ぴかちゅうさんも公開初日に観に行かれたんですね♪
この作品は、とにかく楽しい”祭”でした。(笑)
とにかく賑やかで、熱くて、そしてちょっぴり切なくて。

ルパン三世大好きなので、キャラ設定も納得でした。
次元は村木仁さん演じた「発破の灸六」
五ェ門は磯野くん演じた「モグラの壱助」でいかがでしょう?(笑)
ちょっとインパクト弱いけど・・・。(^-^;

クガイ王の欣也さまは本当に素晴らしかったですね。
よくぞ新感線の舞台に出演してくださった!って、
感謝しちゃいます。
川平&右近コンビ、、、
ぴかちゅうさんの例えが最高です!!
胡散臭さがブルーチーズくらい臭うって・・・。(笑)

>中島かずきの書く物語はエンタメだけでなく・・・
やはり行き着く所はコレですね♪
秋の新作が益々楽しみになりました。
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皆様TB、コメント有難うm(_ _)m (ぴかちゅう)
2009-05-23 00:41:23
★かずりん様
宮沢賢治の「グスコーブドリの伝記」は若い頃にアニメ映画で観たのですが、どうもすっきりした感じを持てなかった作品でした。彼が在家の熱心な仏教徒とわかってようやく理解できたのでした。
>北大路さん・・・本当に素敵でした!......そうでしょう?!「篤姫」の勝海舟もよかったと思います。堺雅人さんの将軍が亡くなった後はもう北大路さんが一番カッコよかった!(ミーハーですみませんm(_ _)m)
>いぶし銀!......キラキラの黄金色とともにいぶし銀も大好きなんです。歌舞伎役者で言えばまるで仁左衛門さんと吉右衛門さんみたい・・・・・・染ちゃんはお二人から学んでますから楽しみですよ。
★「ARAIA -クローゼットより愛をこめて-」の麗さま
川平&右近コンビの胡散臭さの表現に反応してくださって嬉しいです。まさに美味しい役どころでしたね。
次元や五ェ門はご指摘の二人も頭をよぎったのですが、ちょっとそこまでは持ち上げられないなぁと却下してしまいました(^^ゞ
>クガイ王の欣也さまは本当に素晴らしかったですね。よくぞ新感線の舞台に出演してくださった!......全く同感です。エンタメストーリーの中心のぶれない軸だったし、めちゃくちゃ素敵だったので、彼をめぐってお竜とインガが闘うのも無理もないという説得力にあふれてました!
>秋の新作......演舞場の「蛮幽記」はしっかり生観劇するつもりです!
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だからこんなに心惹かれたんですね! (恭穂)
2009-05-24 21:21:03
ぴかちゅうさん、こんばんはー。
ゲキ×シネ、ご覧になったんですね。いいなあ。
私はDVD待ちになりそうです。
この舞台、1度だけ観劇しました。
4人の名乗りのシーンがとてもかっこよくってぞくぞくしたのですが、
それにもましてクガイ王にめろめろでした(笑)。
私も主役はこの方だと思いますv
島が沈んでいくシーンも、とても胸に迫ったのですが、
ぴかちゅうさんの「グスコーブドリの伝記」のようだ、というお言葉に、
その理由が見えたような気がしました。
このお話、実は私宮沢賢治の作品の中で一番好きなのです。
ので、なんだかとても嬉しくなってしまいましたv
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★恭穂さま (ぴかちゅう)
2009-05-25 01:14:26
宮沢賢治は18歳で法華経を読んで以来、彼の魂そのものになってしまったのだそうです。
本文中で紹介させていただいた『地獄の思想』から以下を引用します。
「賢治の一生は菩薩行の実践であった。(中略)彼はこのような利他愛の菩薩行のために死んだ。賢治の一生は利他行の実践であり、科学は彼にとってもこの利他行の手段であり、文学は彼にとって、この利他行の表現にほかならなかった。」
恭穂さんのお仕事も利他愛にあふれているように私には思えます。この本は玲小姐さんのおすすめでした。是非、恭穂さんにもおすすめです。日本人の思想や文化への理解が深まると思います(^O^)/
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クガイの存在感 (スキップ)
2009-06-08 01:12:20
ぴかちゅうさま
クガイ王、ステキでしたね~♪
舞台でももちろん存在感ありましたが、ゲキ×シネの
映像で観るとなお一層存在感の大きさを感じました。
それにしても、北大路さん、よくぞ新感線に、
それもRXに出てくれましたよね。

>まさにエンタメストーリーの中心にはこういう
>ぶれない軸が通っていて、そのキャストが北大路欣也
>だったというのがまた素晴らしい作品だったと思う
この作品は新宿コマのサヨナラに合わせて作った
夏祭りのような舞台だと聞きましたが、そのエンタメ性
はきっちり押さえつつ、人物設定やストーリーに納得性
を持たせて惹き込んでくれる中島かずきさんのホンは
さすがです。次の作品「蛮幽鬼」も楽しみですね。

>しかしこれは家でDVDでは観ないだろうなぁ。
私もこの作品はスクリーンの大画面で、大音響で観たいです。
ただ、映画館だと、♪五右衛門ロ~ック! と拳振り上げて
一緒に大声で歌えないのが難点です(笑)。
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続・皆様TB、コメント有難うm(_ _)m (ぴかちゅう)
2009-06-09 01:37:13
★「地獄ごくらくdiary」のスキップさま
>北大路さん、よくぞ新感線に、それもRXに出てくれましたよね......北大路さん目当てで新宿コマで観た玲小姐さんが観劇後にさらに褒めまくっていたので私も楽しみにしていたら納得~のクガイでした。「ソフトバンクのお父さんの声の人」と説明してようやくわかってくれた娘もオジサン好みなので一緒になってカッコイイと盛り上がってくれました。
>♪五右衛門ロ~ック!と拳振り上げて一緒に大声で
......舞台を観た方はゲキ×シネでもこれをやりそうになるようですね(笑)
それにしてもゲキ×シネはいいですね。次に自宅近くで「SHIROH」が上映されたら連れていってねと娘にリクエストされました。その前に演舞場の「蛮幽記」は3階席で並んで観る約束もしました。チケ取り頑張らなくては(^^ゞ
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Unknown (hitomi)
2009-06-11 18:52:56
このぴかちゅうさんの記事で凄く観たくなりました!生で見たのは一回だけ(泣)満員でした。こちらにはなかなか来てくれません。
チラシから好きです。
江口さんはインパクト不足ですか。北大路さんは若いころ、四季に出ていてあれから何十年でしょうか。貫禄が付きましたね。
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★hitomi様 (ぴかちゅう)
2009-06-12 02:19:47
>北大路さんは若いころ、四季に出ていて......加賀まりこの『純情ババァになりました。』を読んだら、劇団四季の「オンディーヌ」で北大路さんが相手役だったと書いてありました。この舞台で加賀さんは女優にのめりこむきっかけになったのだとか。
hitomiさんがご覧になった舞台ではないでしょうか?!
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