ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

10/03/22 歌舞伎座御名残三月(5)菊吉の「弁天娘女男白浪」

2010-04-19 23:54:50 | 観劇

2008年5月に菊五郎一世一代の「青砥稿花紅彩画」を観た。菊五郎自身もその後で弁天小僧をやるとは思っていなかったと筋書の役者インタビューで語っている。まぁ、大詰の極楽寺屋根立腹の場などはもうなかなかということだろうが、今回くらいの見取り上演ならさよなら公演に出さないのも勿体ないだろう、くらいの気持ちで見たのだが・・・・・・。予想を嬉しく裏切ってくれた舞台だった。
【弁天娘女男白浪】
 浜松屋見世先の場、稲瀬川勢揃いの場
今回の主な配役は以下の通り。
弁天小僧菊之助=菊五郎 南郷力丸=吉右衛門
浜松屋幸兵衛=東蔵 伜宗之助=菊之助
鳶頭清次=團蔵 浜松屋番頭=橘太郎
忠信利平=左團次 赤星十三郎=梅玉
日本駄右衛門=幸四郎

「浜松屋見世先の場」も脇までいい役者が揃って隙がない。先に店の中を探りにくる悪次郎の菊十郎の渋い声も嬉しいし、番頭の橘太郎も手慣れた役に磨きがかかっている。浜松屋幸兵衛の東蔵も伜宗之助も菊之助もいいし、鳶頭の團蔵の舞台写真が1枚欲しいほどだったが残念にもラインナップになかった。菊之助のこの役は初役だというが、オヤジさまの弁天を1ヶ月しっかり目に焼き付けておいて欲しい。

そして何といっても弁天の菊五郎と南郷の吉右衛門である。吉右衛門の南郷がとにかくカッコイイ!弁天にアニイと慕われる大きさ、弟分への愛情がたっぷり滲む南郷なのだ。菊・吉の息の合った台詞のやりとりの間のよさ、調子のよさにゾクゾクした。菊五郎もいつもより気合が入った弁天だが、吉右衛門の南郷は世話物の中でも最高の芝居を観たように思った。芸の花の極みのようなこんな芝居を見せられるからベテラン勢の舞台をはずすことができないのだ。
菊五郎がお嬢様から弁天小僧の正体を現す芝居の一挙手一投足、ためてからフッと力を抜いて男声になってというのも堪能。「知らザァ言ってきかせやしょう」からの名台詞にも濃厚な味がある。
幸四郎の日本駄右衛門もバランスよくおさまってくれているし、菊五郎劇団で固めた世話物に吉右衛門ががっぷり組んだ舞台をさよなら公演に仕組んでくれたことに感謝、感謝!

最後の弁天と南郷がじゃれ合いながらの花道の引っ込みも、今回ほど面白く感じたことがない。男色の愛人関係にあるだろう二人の馬鹿っぷるぶり。ハイハイご馳走様とでも言いたくなるような目も当てられないようなジャラジャラしたやりとりを見せてもらうのは大いに楽しいものだ。それをしっかり楽しませるような脚本になっているのだが、役者の力で大きな差が出るものなのかと見せつけられた。

さよなら公演にふさわしい舞台に満足して第二部を打ち出されて帰宅。
写真は1階下手売店奥のてぬぐい額展示コーナーで「白浪五人男てぬぐい」を見つけた。五人男の衣裳を並べたデザインが素敵だったが、しっかり売り切れていた。
3/22御名残三月大歌舞伎(1)菅原伝授手習鑑「加茂堤」
3/22御名残三月大歌舞伎(2)菊吉の「楼門五三桐」
3/22御名残三月大歌舞伎(3)玉三郎の「女暫」
3/22御名残三月大歌舞伎(4)菅原伝授手習鑑「筆法伝授」


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