ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

08/05/06 菊五郎一世一代の「青砥稿花紅彩画」

2008-05-23 23:59:55 | 観劇

当初のチケットをSOSで救済いただき、急遽GWの最終日に團菊祭夜の部を観た。チケット譲渡サイトで一等席の半額でGETできたのが有難かった。
じっくり考えながら書きたいところだが、ざっくりとアップさせていただく。
【通し狂言 青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)】白浪五人男
序幕 初瀬寺花見の場、神輿ヶ嶽の場、稲瀬川谷間の場
二幕目 雪の下浜松屋の場、同 蔵前の場、稲瀬川勢揃の場
大詰 極楽寺屋根立腹の場、同 山門の場、滑川土橋の場
今回の配役は以下の通り。
弁天小僧菊之助:菊五郎 日本駄右衛門:團十郎
南郷力丸:左團次 赤星十三郎:時蔵
忠信利平:三津五郎 浜松屋宗之助:海老蔵
木下川八郎:松江 大須賀五郎:男女蔵
千寿姫:梅枝 川越三郎:市蔵
薩島典蔵:團蔵 伊皿子七郎:友右衛門
浜松屋幸兵衛:東蔵 柵:田之助
鳶頭清次:梅玉 青砥左衛門藤綱:富十郎

ウィキペディアの「青砥稿花紅彩画」の項はこちら
一昨年の菊之助の「弁天小僧」の記事はこちら
白浪五人男の通し上演は2004年4月歌舞伎座の勘三郎(当時は勘九郎)の弁天小僧での舞台を観たのが初見。その時の筋書を探して目を通して観劇した。
今回の「初瀬寺花見の場」は薩島典蔵が千寿姫に無理やり縁談をすすめ、姫側についている者との確執部分をカット。死んだはずの姫の許婚信田小太郎に化けている菊五郎の登場までがスピーディにすすむ。これはいい。歌舞伎の上演というのはこのように融通無碍にできるものかと感心。
梅枝の千寿姫も初々しくそれでいて落ち着いていて、ベテラン勢の中にいても立派に勤めていてよかった。
時蔵の立役がいい。「桜丸切腹」の桜丸の時もいいと思ったが、今回の赤星十三郎も風情がいい。「神輿ヶ嶽の場」で身投げをした千寿姫の梅枝が時蔵の赤星と並んで嘆き合う様子に立派に父子でつとめているじゃないかと感無量。
三津五郎の忠信利平の登場の姿も着流しではないきちんとした武士の扮装(野羽織・野袴というらしい)で他の役(特に赤星)とのメリハリもきいていていい。
序幕幕切れの「稲瀬川谷間の場」での5人のだんまりでゾクゾクしてしまった。菊五郎・左團次・團十郎のベテランの中に時蔵と三津五郎が入るバランスの贅沢さ。中心になる三津五郎の忠信利平が立派なので全体がきりりと締まった印象を持った。この5人の配役の素晴らしさをここでも痛感。
菊五郎の菊之助と左團次の南郷力丸のバランスも最高!このふたりの息のあった浜松屋の場も贅沢。團十郎の日本駄右衛門に男だと指摘されての見顕わしも軽みのきいた菊五郎の弁天小僧がめちゃめちゃにいい。双眼鏡でアップで見る野暮をしなければ菊五郎もダイエットしたということで豚ではない弁天を堪能できる。左團次の両足の脛に長い傷を見つけてしまい、まさに脛に傷持つ(それが似合う)男だなぁとその足にまだまだ魅力を感じてしまった(^^ゞ
番頭の橘太郎のチャリもきいていて、やりこめられた丁稚と北京オリンピックネタで盛り上げてくれていた。
浜松屋宗之助の海老蔵はやっぱりこういう役はうまくないなぁと思ってしまったが、本当の父が團十郎の日本駄右衛門とわかって見詰め合う場面では客席に笑いが起きた。私も俳優祭の白雪姫の継母と鏡の精を思い出して噴出してしまった。こちらでも父子共演が楽しめた。
「稲瀬川勢揃の場」は花道の逆七三に近い席だったので、揚幕から出てくる五人男がそのあたりで一度とまって見得を切るところをアップで見ることができて感動した。いつもの三階席では絶対に見えないところだ。そこから五人が並ぶ至福の時間を堪能。今回の席のあたりで今後も観る機会が持てるといいな。
大詰の「極楽寺屋根立腹の場」では、まず裏切り者の悪次郎の菊十郎が弁天小僧のお家の重宝の香炉を最後に堀に投げ捨てるあたりの菊五郎とのやりとりが楽しめる。菊十郎の個性的な渋い声が大好きだ。その菊十郎の振付けで菊五郎劇団の大立ち回りを堪能する。菊五郎は頑張って動いている。この場面まで通すのは体力的にもそろそろ限界ということで、今回が一世一代の弁天小僧になるのではないだろうか。その気迫が漲る立腹の表情だった。
極楽寺山門の場は「楼門五山桐」のパロディということで、屋根のがんどう返しに続く門のセリ上がりが見事だ。石川五右衛門ばりに日本駄右衛門がいて、真柴久吉ばりに青砥左衛門藤綱を配すという歌舞伎好きにはたまらない設定が「滑川土橋の場」。今月はこの一役という富十郎の藤綱、冒頭の田之助の柵とともに贅沢な配役。まさに菊五郎の一世一代を大顔合わせで盛り上げた。
この舞台を見逃さずにすんだことに感謝したい。

写真は今月のポスターを携帯で撮影。
明日明後日と演舞場と歌舞伎座の昼の部をレンチャンする予定。


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
感謝!観劇! (さちぎく)
2008-05-24 23:26:45
お蔭様で、花道が見える席で五人男の勢揃いが見られ幸せでした。息子世代を五人男のメンバーに入れず、贅沢かつニンに合った役者ばかりにしたところが、今回の通しを水準高いものにしたように思います。立腹切った時の菊五の顔、忘れないように頭にしっかりしまいました。
大詰のセリフによれば、今の季節の芝居なんですね。
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ご覧になれてよかったですね (六条亭)
2008-06-03 23:16:09
> ぴかちゅう さま

先日は慌しく立ち話で失礼しました。


今回の菊五郎さんによる白浪五人男の通し上演、めったに無い大顔合わせでとても素晴らしかったですから、当日ではなくてもご覧になれてよかったですね。

追って、TBをうちました。
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皆様TB、コメント有難うm(_ _)m (ぴかちゅう)
2008-06-05 00:26:51
★さちぎく様
このたびは救済していただきまして有難うございましたm(_ _)m
>花道が見える席で五人男の勢揃い......やはりこの演目は花道にこだわりたいですよね。代わりに観た日も花道横で幸せを噛み締めました。
贅沢な顔合わせでの当代の最後の弁天小僧、私もしっかり脳裏に焼き付けました!
★六条亭さま
5/24は歌舞伎座脇のお店でご挨拶できてよかったです。その日の夜の部を観るつもりが都合が悪くなり、代わりにGW最後の日に観ることができたのが幸運でした。
実は私も高校時代に玲小姐さんに誘われて有志で観に行った国立劇場の鑑賞教室で「稲瀬川勢揃い」を観ています。当時の菊之助(菊五郎になっていたかな?)の弁天で辰之助の南郷、染五郎の日本駄右衛門だったように記憶しています。だから今回も見逃さずにすんで本当にラッキーでした。なんだかんだとめぐり合わせがいいのかも(^^ゞ
当代菊五郎の最後の通しを大顔合わせで盛り上げて、本当に素晴らしい舞台でした。
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