
金曜日、東北大学脳科学グローバルCOEというところの大隅典子さんにご招待を頂いて、文部科学省の「情報ひろば」ラウンジにて催された「サイエンスカフェ」に出演してまいりました~
いやホント、こういうアカデミックな場所に出演するのは初めての ぬえ。一度は打合せをさせて頂いたのですが、やはり当日になるまで、何を話してよいやら、お客さまは何を求めておられるのかわからず、心臓バクバク状態でした~。が、ぬえのこと、始まってしまえばやっぱり喋りっぱなしになりました。(;^_^A すんません、お招き頂いた身でありながら。。
さて開演になりまして、やっぱり ぬえは舞台人ですから、やはり実演を見て頂いてナンボだろうと思いまして、黒頭と面だけを着けて『弱法師』の一部を舞って、これをもとにして大隅先生と討議をする、という形にしました。『弱法師』は親に捨てられ、悲しみのあまり盲目となった境遇でありながら心は仏さまを信じて澄んでいる。そして日想観を勧められて観想しているうちに、心眼が開いたようにあたりの情景を見るようになり、歓喜のあまりあちこちと歩き廻って、通行人にぶつかって転倒、盲目の身の現実に引き戻される。。この、心眼が開いたと錯角していゆく心の変化を「イロエ」という短い舞? で表現します。

この「イロエ」が不思議で、台本上はまったく必要のない舞なんですよね。ところが、この舞は彼の心理状態の変化を感覚的にとっても雄弁に語ります。彼がだんだんと夢の世界。。というか幻想の中に埋没していく様子がよく表現される。こういうところは能の演出の優れているところだと思いますが、心理的にお客さまの心にどういう作用を引き起こすものなのか。。?? ぬえにも興味があるところです。
大隅先生も「脳がどうやって感動ということを生み出すのか」という事をスライドを駆使して説明されました。。が、脳の働きというのはまだまだ解明されていない点も多いのだそうです。なるほど、そりゃあ脳は人間の器官の中でも最も複雑なものでしょうから、なかなか全貌が解明されるまでには年月が掛かるでしょう。それでも今回は大隅先生も ぬえの活動を尊重してくださって、ぬえに歩み寄ってお話してくださったと思いますし、結果的に良い催しだったと思います。あなありがたや。
また、かなり遅い開演時刻にもかかわらず集まって下さったお客さまは、この日の話題になる能についてもよく調べておられたようで、これまた驚きでした。本当に知識欲にあふれている、というか、面について、能の演技の意味について、いや、驚くべき核心を突いた質問も出て、お答えする ぬえも興味津々。最後の方では「美」というものが人間の心の作用であるのか、それとも もともとこの世に先に存在しているものなのか、なんて話題になりました。面白いですね~。大隅先生から、質疑応答は必ず行ってほしい、とあらかじめ言われていましたが、なるほど、これほど活発に質問が出るとは ぬえも予想外で、刺激的な展開でした。
今回は ぬえも能を知って頂くには最高の機会と考えて所蔵品の面や装束、小道具類の展示をさせて頂きました。そのうえ前日あたりに思いついて展示品の解説をさせて頂いたのですが、思いつきのアイデアだったものでその開始時刻も当日になって決めたような有様で。。たまたまその時刻近くにお出でましになったお客さまだけに聞いて頂く形になってしまい、申し訳ありませんでした。
この時も東北大学の方からも展示があったのですが、それはなんと脳神経などの顕微鏡写真で、美しく輝く星空のように見える細胞組織などの写真は、企んで撮ったものではないそう! ぬえは、やっぱり美というものは生命の中にすでに存在するんではないかなあ? と考えたのでした。
終演後、面・装束類を自宅に帰してから、これまた ぬえからお願いしていたのですが、東北大学のみなさんと打ち上げ。もうすでに夜9時半を廻っていて、世間では二次会状態の時間からでしたが、まあ~、とお~~っても遅くまで ぬえが引っ張り回してお付き合いさせてしまいました~。後で知ったのですが、大隅先生は翌日にも発表がおありだったようで。。う~~む、それでも最後までお付き合い頂いた大隅先生のお気遣い。。これまた申し訳ありませんでした~ (・_・、)
そんなこんなで初めての体験だったサイエンスカフェ。ぬえにはとっても良い経験になりました。お客さまには喜んで頂けたかしらん。これが基になって、能楽堂に足を運んで頂けるお客さまが増えるといいなあ。
最後になりますが、今回お招き頂いた東北大学脳科学GCOEのみなさま、同じく主催の日本学術会議、文部科学省の関係各位、遅い時間にお集まり頂いたお客さま、そして写真撮影に快く協力してくださった山口宏子さんに心より感謝申し上げます~ m(__)m
一昨日は,楽しいサイエンスカフェの機会をどうもありがとうございました.
能楽堂の舞台は,平日のため,会社勤めの私は休みを取っていけるかどうか微妙なところですが,興味をもつきっかけとなりました.なにせ,能を見たのは小学校時代に学校単位で見に行って以来ですから...
面のことを質問させていただいたものです。
能と脳科学のコラボが、なぜかこの3月末に2件あり、両方行ってみましたが、こちらが本当に素晴らしかった。
大隅先生のたくらみが見事だったのと、ぬえさまが能楽師でありながら能を外から見る作業(離見とは違う意味ですが)を、能を体得する以外にもされてきたために、能について言語化されているから、素人にもわかる話になったのではないかと思いました。
またどこかで拝見したく思います。
実演ばかりでなく、貴重な展示品の数々もお持ち込み下さいましたこと、心から感謝申し上げます。
東北地方でのご講演の際には、どうぞお立ち寄り下さいませ。
お二人のコメントのどちらにも「楽しいサイエンスカフェ」「楽しい会」と書いて頂いて、本当に安堵しております。ぬえとしましても初めての経験でしたので、最後まで心配は尽きませんでしたが。。
成功は同じくコメント頂きました催しの事実上の主催者である「仙台通信」さんのお気配りによるものであろうと思います。お招き頂きまして、ぬえも良い経験をさせて頂きました。本当にありがとうございました~m(__)m
そんで、結果的に、やはり「美」というものは、解明されていないけれども生命の内側にすでに存在している、ということを、この度の催しで ぬえは確信しました。
それは器官ではなくて、あの写真画像に映った細胞組織の中に、すでにあるのではないでしょうかね? あの美しさは、まさにこれからこの細胞が宿る主人の意識に訴えかけて、感動を生み出そうとする瞬間の躍動に違いない。(^。^)
その「美」というものを集めることができたならば、これを見所にバラ撒けば、そのまま舞台は大成功に。。違う? (^◇^;)
ぬえさまとともに朝日を拝まさせて頂いたものです。
大変貴重なおはなしと実演有難うございました。
是非とも今度は舞台にて拝見させて頂きたく存じます。
この度は誠にお疲れ様でございました。
ああ、あの!
アナタとは一緒に朝日を見て日想観を観想した仲でございますね~
礼儀正しい、それでいてちょっと発音の甘い、でも発声器官が発達された。。ああ、なんの事やらわからない~(^◇^;)
この度は大変よい催しにお招き頂きまして、ぬえも光栄に思っています。
どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます~ m(__)m