仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

石狩挽歌

2006年12月17日 | エンタメ
テレビで『知るを楽しむ/人生の歩き方…死こそわが友/作家なかにし礼」という番組を見たのだが、この人はなかなか壮絶な人生を歩んできた人のようだった。
父が満州で酒造会社を経営していたことから何不自由の無い裕福な暮らしをしていたものの、対ソ連戦が始まったこと(1945年)を契機に人生が一変。
1年余りの逃避行を経て小樽の父の実家で過ごしたが、兄が増毛でのニシン漁(投機)に失敗してその地も追われ・・・というような話だった。
各地を転々として、その後に過ごした青森ではいじめにあっていたそうで、もしかしたら自分に落ち度があるのかもしれないと真剣に考えたが、そこまで思いつめてもなぜ自分がいじめられなければならなかったのか一切理由が解らなかったという。
これは4回シリーズだったが、一番面白かったのは、そういった話が出た第2回と第3回だったか。
東京でシャンソンと出会って訳詞を始めた話、石原裕次郎との出会いの話。
何より、この人は真面目な人なのだろうということが推測できて、そこが一番興味深かった。
また、なかにし氏が作詞した歌謡曲『石狩挽歌』は、家族の増毛での体験を元にした歌だそうで、そのキッカケというのがまた面白い。
直木賞作家で有名人だから番組で取り上げられ、それをたまたま目にし耳にできた話であって、他にも大勢こういった悲惨な体験をした人はいるのかもしれない。
しかし、人生の中の僅かなチャンスを逃すことなく大成した人の話というのは、それなりに学ぶところがあるものだ。
面白いシリーズだった。

ナビィの恋

2004年11月22日 | ムービー
『ナビィの恋』(1999年/中江裕司監督)を見た。
日本語に字幕がつく日本映画を見るのは確か『ウンタマギルー』(1989年/高嶺剛監督)以来2回目のことだと思う。
主人公の祖父、東金城恵達(登川誠仁)が蛇味線を抱えて沖縄歌謡を歌う場面が多いのだが、それがまた良い。
「じゅりぐわぁ小唄/十九の春」という歌がほぼ全編を通して歌われ、沖縄らしさをこれでもかという具合に表していたので、東金城奈々子(西田尚美)が島の祭で松田聖子の歌を歌う場面では、やはり強烈な違和感を感じた。
北海道が舞台の映画も数多く有るものの、風景や自然環境に感動させる狙いが多く、これほどに特有の地元文化を表現することは出来ないだろう。
音楽を多用すれば良いというわけではないのだが、♪石狩挽歌♪じゃ何だか陰気すぎる。
f^_^;
物語は、昔の恋人サンラー(平良進)が60年ぶりに東金城ナビィ(平良とみ)を島に迎えに来るという内容。
♪今宵は月の美しい十三夜♪木も草も花も恋をします♪私たちが恋をして何が悪いのでしょうか♪という台詞が印象的なのだった。